
桑の葉というと、「血糖値が気になる人が飲むお茶」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
確かに桑の葉には、食後血糖との関係で研究されている**DNJ(1-デオキシノジリマイシン)**という特徴的な成分があります。
しかし、桑の葉のおもしろさはDNJだけではありません。
研究で桑の葉を分析すると、
- カルシウム
- 鉄
- β-カロテン
- たんぱく質
- 繊維質
- ポリフェノール
- DNJ
など、実にさまざまな成分が出てきます。
ある研究では、乾燥した桑の葉粉末100g中にカルシウム約787~2,227mg、鉄19~35.7mg、粗たんぱく質15.3~30.9gという値が報告されています。
「桑の葉って、そんなに栄養があるの?」
と驚く数字です。
ただし、ここには一つ大切な注意点があります。
桑の葉粉末を一度に100g食べる人はいません。
「100g当たりでは栄養豊富」という話と、「実際に1杯飲んだときにどれだけ栄養を摂れるか」は別の話なのです。
この記事では、桑の葉にどんな栄養・成分が含まれているのかだけでなく、
「その成分にはどんな働きがあるのか」
「粉末とティーバッグでは同じなのか」
「栄養豊富という言葉をどう理解すればよいのか」
まで、研究結果をもとに分かりやすく解説します。
※本記事は桑の葉およびその成分に関する栄養学・研究情報を紹介するもので、特定の商品による疾病の治療・予防効果を示すものではありません。
桑の葉にはどんな栄養・成分が含まれている?

桑の葉は、カイコの餌として古くから知られてきた植物です。
ところが、人間の食品として成分を分析してみると、意外に多彩な栄養成分を含んでいることが分かります。
6種類の桑(Morus alba)の葉を調べた研究では、乾燥桑葉粉末100g当たり、次のような範囲が報告されています。
| 成分 | 乾燥桑葉粉末100g当たりの研究値 |
|---|---|
| 粗たんぱく質 | 15.31~30.91g |
| NDF(繊維質の指標) | 27.60~36.66g |
| カルシウム | 786.66~2,226.66mg |
| 鉄 | 19.00~35.72mg |
| 亜鉛 | 0.72~3.65mg |
| β-カロテン | 8,438~13,125μg |
| ビタミンC | 100~200mg |
ここで注目したいのは、同じ「桑の葉」でも数値にかなり幅があることです。
品種が違えば成分量も違います。
さらに実際の桑の葉では、栽培条件、収穫時期、葉の成熟度、加工方法などによっても成分量が変わる可能性があります。
したがって、この表は「すべての桑の葉がこの数値」という意味ではなく、桑の葉という植物が持っている栄養的な特徴を見るための参考値と考えてください。
1.カルシウム|桑の葉で特に目を引くミネラル
桑の葉の成分表を見て、まず目に留まるのがカルシウムです。
先ほどの研究では、乾燥桑葉粉末100g中に、
約787~2,227mg
のカルシウムが含まれていました。
カルシウムは、人の体に最も多く存在するミネラルで、主に骨や歯を形成するために必要な栄養素です。
桑の葉が「ミネラルを含む青汁原料」として紹介される理由の一つが、このカルシウムです。
しかし、
「桑の葉はカルシウムが多い」=「桑の葉茶1杯で大量のカルシウムが摂れる」
ではありません。
この違いについては後ほど詳しく説明します。
2.鉄|赤血球に関係する重要なミネラル

同じ研究では、乾燥桑葉粉末100g中の鉄が、
19.00~35.72mg
と報告されています。
鉄は赤血球のヘモグロビンに多く存在する、人の体に必要なミネラルです。厚生労働省も、鉄不足は貧血につながることを説明しています。
桑の葉にはカルシウムだけでなく鉄も含まれている。
ここも「桑の葉=血糖値のためだけの植物」と考えると見落としやすい部分です。
ただし、植物中の鉄は摂取した量がそのまま全量吸収されるわけではありません。
桑の葉だけで鉄を補おうとするのではなく、普段の食事の中に取り入れる一つの食品として考えるのがよいでしょう。
3.β-カロテン|緑色の葉ならではの成分
桑の葉は鮮やかな緑色をしています。
乾燥桑葉粉末を分析した研究では、β-カロテンが100g当たり、
8,438~13,125μg
含まれていました。
β-カロテンは緑黄色野菜にも含まれるカロテノイドの一種です。
つまり桑の葉は、「お茶」という名前から想像するよりも、成分的には緑色の葉そのものを食品として利用していると考えた方が分かりやすい食品です。
特に粉末タイプでは、抽出液だけではなく葉そのものを摂取します。
桑の葉パウダーが青汁として利用される理由も、ここにあります。
4.意外に多い「たんぱく質」

桑の葉で意外なのが、たんぱく質です。
複数品種の乾燥桑葉粉末を調べた研究では、粗たんぱく質が、
15.31~30.91%
含まれていました。
最大値だけを見ると、
「桑の葉の約3割がたんぱく質?」
と驚きます。
確かに乾燥した葉の成分として見ると、かなり興味深い数字です。
たんぱく質は筋肉だけの栄養ではありません。筋肉、臓器、皮膚、毛髪など体を構成するほか、酵素や抗体などにも使われる重要な栄養素です。
ただし、ここでも100g当たりの数字だけで判断しないことが大切です。
仮に粗たんぱく質15~31%の桑葉粉末を1g摂取した場合、単純計算ではたんぱく質は約0.15~0.31gです。
肉や魚、卵、大豆製品の代わりになる量ではありません。
「桑の葉は高たんぱく食品だから、これでたんぱく質を補給しよう」
という使い方ではなく、
植物として見ると、葉の中に意外なほど多くのたんぱく質を含んでいる
というのが正確な理解です。
5.食物繊維|粉末とティーバッグで大きな違いが出る部分
桑の葉の魅力としてよく挙げられるのが食物繊維です。
研究では乾燥桑葉粉末の**NDF(中性デタージェント繊維)**が27.60~36.66%と報告されています。
ここは少し注意が必要です。
NDFは植物の繊維質を評価する指標ですが、日本の食品表示でいう「食物繊維」とまったく同じ測定値ではありません。
したがって、
「桑の葉には食物繊維が36.66g入っている」
とそのまま置き換えるのは適切ではありません。
それでも、桑の葉が繊維質を多く含む植物であることは分かります。
食物繊維は人の消化酵素では消化されない食品成分で、整腸作用など体内でさまざまな働きをすることから「第6の栄養素」と呼ばれることもあります。
そしてこの繊維質は、ティーバッグと粉末の違いを考えるうえで非常に重要です。
ティーバッグでは桑の葉をお湯で抽出し、最後に葉を取り出します。
一方、粉末では桑の葉そのものを飲みます。
したがって、葉の繊維質まで摂りたいのであれば、粉末の方が理にかなっています。
6.DNJ|ほかの栄養素とは少し違う「桑の葉らしい成分」
ここまで紹介したカルシウム、鉄、β-カロテンなどは、桑の葉だけに存在するものではありません。
桑の葉を特徴づける成分として特に注目されているのが、
DNJ(1-デオキシノジリマイシン)
です。
DNJは糖に似た構造を持つ成分で、消化管で糖質を分解するグルコシダーゼに作用することが研究されています。
国際農林水産業研究センター(JIRCAS)も、DNJが桑葉に含まれ、食後血糖との関係で研究されていることを報告しています。
ここが桑の葉のおもしろいところです。
桑の葉には、
カルシウムや鉄などの「普通の栄養素」
と、
DNJのような桑葉を特徴づける「機能性成分」
の両方が含まれています。
DNJと血糖値については研究がかなり進んでいるため、別記事でヒト試験の実際の数値まで詳しく検証しています。
関連記事:
桑の葉で血糖値はどのくらい下がる?ヒト試験・研究論文から分かっていること
7.ポリフェノール|桑の葉にはルチンやクロロゲン酸も
桑の葉からはポリフェノール類も見つかっています。
桑葉抽出物を分析した研究では、主要なポリフェノール成分としてクロロゲン酸やルチンなどが確認されています。
ポリフェノールというと緑茶のカテキンや赤ワインなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、植物はそれぞれ異なるポリフェノールを持っています。
桑の葉も、
「DNJだけが入った葉」ではなく、ミネラル、ビタミン類、繊維質、たんぱく質、ポリフェノールなどが共存する植物食品
なのです。
「桑の葉はカルシウムがすごい」は本当?100g比較の落とし穴
桑の葉の栄養について調べていると、
「カルシウムが○○の何倍」
「鉄が○○の何倍」
といった説明を見かけることがあります。
100g当たりの成分値を比較すれば、そのような数字になる場合はあります。
しかし、ここで一度考えてみましょう。
乾燥した桑の葉粉末を100g、一度に食べるでしょうか?
普通は食べません。
そこで先ほどの研究値を、仮に乾燥桑葉粉末1gに単純換算するとこうなります。
| 成分 | 100g当たりの研究値 | 1gに単純換算 |
|---|---|---|
| カルシウム | 787~2,227mg | 約7.9~22.3mg |
| 鉄 | 19.0~35.7mg | 約0.19~0.36mg |
| 粗たんぱく質 | 15.3~30.9g | 約0.15~0.31g |
| β-カロテン | 8,438~13,125μg | 約84~131μg |
※研究値を100分の1にした単純計算であり、市販の桑葉粉末の含有量を示したものではありません。
この表を見ると、桑の葉の見え方が少し変わります。
100g当たりでは非常に高い数値でも、実際に摂取する量では当然その100分の1になります。
だからといって、「桑の葉は栄養がない」という話でもありません。
重要なのは、
「○○の何倍」という派手な比較ではなく、少量でもさまざまな成分を一緒に摂れる葉物食品である
と理解することです。
この方が桑の葉の本当のおもしろさに近いと思います。
桑の葉「茶」と桑の葉「粉末」は、栄養の摂り方が違う

関連記事:
桑の葉茶は粉末とティーバッグどっち?違い・メリットを徹底比較
「桑の葉の栄養」を考える際に、もう一つ見落としてはいけない点があります。
桑の葉茶と桑の葉粉末では、摂取しているものが違います。
ティーバッグ
桑の葉にお湯を注ぎ、
水に抽出された成分を飲む
方法です。
飲み終わった桑の葉は茶殻として残ります。
粉末
桑の葉そのものを細かく粉砕し、
葉を丸ごと飲む
方法です。
そのため食物繊維をはじめ、葉そのものに含まれる成分を利用するという意味では粉末に利点があります。
一方、すべての成分が「粉末でなければ摂れない」わけではありません。
例えばDNJは水抽出で分析でき、JIRCASでは実際に桑葉ティーバッグからもDNJが確認されています。
つまり、
「丸ごと栄養を摂りたいなら粉末」
「お茶として飲みやすく続けたいならティーバッグ」
と考えると分かりやすいでしょう。
詳しくは、こちらの記事で比較しています。
桑の葉が「青汁」と相性がよい理由
ここまで読むと、桑の葉が青汁の原料として利用される理由も見えてきます。
桑の葉は、
「何か一つの栄養素だけを大量に補給する食品」
というより、
- ミネラル
- カロテノイド
- 繊維質
- たんぱく質
- ポリフェノール
- DNJ
などを含む緑色の葉そのものです。複数品種を調べた研究でも、乾燥桑葉にはこれらの多様な栄養成分が確認されています。
そして粉末にすれば、その葉を茶殻として捨てずに丸ごと摂取できます。
「野菜を食べる」のとまったく同じではありませんが、
桑の葉を“健康茶”としてだけでなく、“葉を丸ごと使った青汁素材”として見る
と、その魅力が分かりやすくなります。
結局、桑の葉にはどんな働きが期待されている?
桑の葉については、「○○に効く」という一言でまとめるより、成分ごとに分けて考える必要があります。
カルシウム
骨や歯を形成するために必要な栄養素です。
鉄
赤血球のヘモグロビンに多く存在する、人体に必要なミネラルです。
食物繊維・繊維質
人の消化酵素では消化されず、整腸作用などが知られています。粉末であれば葉の繊維質そのものを摂取できます。
DNJ
糖質を分解する酵素との関係から、食後血糖について研究されています。
ポリフェノール類
桑葉にはクロロゲン酸、ルチンなど複数の植物成分が確認されており、さまざまな研究が行われています。
ここで重要なのは、
「その栄養素に働きがある」ことと、「桑の葉を少量飲めばその働きが十分得られる」ことは同じではない
という点です。
栄養は基本的に毎日の食事全体で考えるものです。厚生労働省も、主食・主菜・副菜を組み合わせ、食事全体のバランスを取ることを勧めています。
桑の葉は薬や栄養剤の代わりではなく、日々の食生活の中に取り入れられる植物食品の一つとして考えるのがよいでしょう。
桑の葉の本当の魅力は「DNJ+葉そのものの栄養」
桑の葉は、血糖値との関係だけで語られることが多い植物です。
しかし成分を詳しく見てみると、
カルシウム、鉄、β-カロテン、繊維質、たんぱく質、ポリフェノールなど、多彩な成分を持つ葉であることが分かります。
さらに桑の葉には、食後血糖との関係で研究されているDNJという特徴的な成分があります。
つまり桑の葉には、
葉物植物としての栄養
と
桑の葉ならではの機能性成分
という二つの側面があるわけです。
これが桑の葉のおもしろさではないでしょうか。
ただし、「栄養豊富」という言葉だけを見て、100g当たりの数字を実際の摂取量と混同しないことも大切です。
桑の葉粉末なら葉そのものを摂る。
ティーバッグなら、水に抽出される成分をお茶として無理なく取り入れる。
それぞれの特徴を理解し、自分の目的や生活スタイルに合った方法で利用するのがよいでしょう。
よくある質問
桑の葉で特に特徴的な成分は何ですか?
カルシウム、鉄、β-カロテン、繊維質などさまざまな成分が含まれていますが、桑葉に特徴的な機能性成分として研究されているのが**DNJ(1-デオキシノジリマイシン)**です。
桑の葉は野菜不足の代わりになりますか?
桑の葉にもさまざまな植物由来成分がありますが、桑の葉だけで野菜に含まれるすべての栄養を補えるわけではありません。食事全体のバランスを基本として利用するのがよいでしょう。
栄養を摂るならティーバッグと粉末のどちらですか?
葉そのものに含まれる繊維質などまで摂りたい場合は、桑葉を丸ごと摂取する粉末タイプが適しています。一方、DNJなど水に抽出される成分もあるため、ティーバッグに意味がないわけではありません。
桑の葉は血糖値にもよいのですか?
DNJを含む桑葉について、食後血糖を対象としたヒト試験が行われています。ただし、「桑の葉茶を飲めば誰でも血糖値が○mg/dL下がる」という意味ではありません。実際の臨床研究については別記事で詳しく解説しています。
関連記事:
・桑の葉で血糖値はどのくらい下がる?ヒト試験・研究論文から分かっていること
・モリンガパウダーの栄養成分表|日本食品分析センターの検査結果を公開
・緑茶の栄養と効能の一覧!お茶の茶葉はビタミンとミネラルの宝庫
参考文献
- Srivastava S, Kapoor R, Thathola A, Srivastava RP. Nutritional quality of leaves of some genotypes of mulberry (Morus alba). International Journal of Food Sciences and Nutrition. 2006.
- Yoshihashi T, et al. Simple and selective quantification of 1-deoxynojirimycin, an antihyperglycemic component in foods. Journal of Food Science. 2010.
- Varghese SM, et al. Polyphenolic constituents in mulberry leaf extract. 2019.
- 厚生労働省「栄養・食生活/栄養素の働き」
山麓園の桑の葉茶 パウダー/ティーバッグのご紹介
山麓園では、以下のように手頃な価格で高品質な桑の葉茶を提供しています。


桑の葉茶ティーバッグ 3g×40包 1000円 送料無料
桑の葉茶パウダー 150g 1100円 送料無料

