
桑の葉茶や桑の葉パウダーについて、「少し時間が経つととろみが出る」「ぬるっとした口当たりがある」「以前飲んでいた商品より草のような香りが強い」と感じる方がいらっしゃいます。
当店に寄せられたレビューにも、とろみや青い香りを好む声がある一方で、その口当たりが苦手という声があります。初めて飲む方だけでなく、ほかの商品から替えた方が違いに驚くこともあります。
桑の葉のとろみには、葉に含まれる水と関わりやすい多糖類などが関与すると考えられます。また、香りや口当たりは、原料と加工方法、作ったときの条件によって変わります。
水溶性食物繊維の中には、粘性を通じて糖質の消化・吸収を穏やかにするものもあります。ただし、桑の葉茶のとろみを感じただけで、その成分量や健康への働きの強さがわかるわけではありません。
この記事では、味の好みやレビューの集計を扱う記事とは分けて、とろみと香りの「なぜ」を、研究と製造の視点から解説します。飲んだ方の味の感じ方は、桑の葉茶の味を分析した記事で紹介しています。
桑の葉茶を初めて知る方は、桑の葉茶とは?味・飲み方・選び方をお茶専門店が解説もご覧ください。
桑の葉のとろみには、多糖類が関わると考えられます
「多糖類」とは、糖が多数つながった大きな分子の総称です。植物に含まれる多糖類の中には、水を抱え込んだり、水中で広がったりすることで、液体の流れにくさ、つまり粘性に関わるものがあります。
桑の葉から熱水などで取り出した成分についても、粘性を調べた研究があります。2009年の研究では桑の葉由来のハイドロコロイド、2020年の研究では抽出方法の異なる桑の葉の多糖類が調べられています。[1][2]
ハイドロコロイドは、水中で粘性などを示す高分子成分を指す言葉です。こうした研究から、桑の葉そのものに、飲み物の口当たりに関わる成分が含まれていることがわかります。
当店の桑の葉パウダーは、桑の葉100%の食品です。とろみをつけるための増粘剤を添加している商品ではありません。
ただし、研究で取り出した成分と、日常的に飲む桑の葉茶は同じものではありません。当店の商品で感じられるとろみが、どの成分によって、どの程度生じているかは、成分分析と粘度測定で確かめる必要があります。
「とろみ=すべて水溶性食物繊維」とは言い切れません
水に溶ける多糖類には、食物繊維として扱われるものがあります。しかし、「水に溶ける多糖類」と「水溶性食物繊維」は、いつでも完全に同じ意味になるわけではありません。
また、粉末を混ぜた飲み物では、水に溶けた成分だけでなく、液体中に分散した細かな葉の粒子も口当たりに関わります。
そのため、本記事では、桑の葉茶のとろみを「水溶性の多糖類などが関与すると考えられる特徴」と説明しています。とろみのすべてを、特定の食物繊維の働きと断定することはできません。
桑の葉の繊維質と、カルシウム・鉄などのほかの成分を含めた全体像は、桑の葉の栄養成分と働きについての記事で解説しています。抽出したお茶と粉末での摂り方の違いも紹介しています。
時間が経つと、とろみを感じやすくなるのはなぜ?
「作った直後より、少し置いた後の方がとろっとする」という感想もあります。
考えられる要因には、葉の成分が水になじむこと、成分の抽出が進むこと、飲み物の温度が下がることなどがあります。
桑の葉から抽出した多糖類の研究でも、粘性は濃度や温度などの条件に左右されることが報告されています。[2]
ただし、当店の商品を混ぜた直後から時間を追って測定した結果ではないため、「何分でどの成分が増える」とまでは説明できません。時間による変化は、こうした性質が関わる可能性のある現象として捉えています。
粉末の量、水の量、飲む温度、作ってからの時間をそろえると、違いを比較しやすくなります。長時間置くことで健康への働きが高まる、という意味ではありません。
水溶性食物繊維の粘性と、食後血糖には関係があります
とろみが食物繊維に関わるのであれば、もち麦や菊芋のように、食後の血糖値に関わる働きもあるのではないか。この疑問には、食品の研究に基づく理由があります。
粘性のある水溶性食物繊維の一部には、消化管内での粘性を通じて、糖質の消化・吸収を穏やかにする働きが知られています。
厚生労働省の情報でも、水溶性食物繊維と血糖値の上昇との関係が説明されています。[3] また、食物繊維は種類によって、腸内細菌に利用されるなどの働きもあります。[4]
ただし、水溶性食物繊維にもさまざまな種類があり、「水に溶ける」「粘りがある」「腸内細菌に利用される」という性質は、それぞれ分けて考える必要があります。
もち麦などのβ-グルカンでは、粘性を比較したヒト試験があります
大麦やオーツ麦に含まれるβ-グルカンは、粘性のある水溶性食物繊維です。
2007年のヒト試験では、加工方法によって粘性の異なるオーツ麦由来のβ-グルカンを比較し、粘性が保たれた試料で、食後の血糖応答がより小さくなったことが報告されています。[5]
この試験は、β-グルカン6gとブドウ糖75gを用いた条件で行われました。粘性が生理的な働きと関係する例ですが、その結果を桑の葉パウダーの一杯へ、そのまま当てはめることはできません。
菊芋のイヌリンは、同じ水溶性でも性質が異なります
イヌリンも水溶性食物繊維ですが、通常はβ-グルカンのような高い粘性を特徴とする繊維ではありません。ヒト試験でも、粘性の低い食物繊維として扱われています。[6]
イヌリンの健康への働きを考える際には、腸内細菌による発酵なども重要です。ヒト試験でも、イヌリンの摂取後に大腸での発酵を示す指標が調べられています。[10] 粘性による作用だけで説明できるものではありません。
| 成分 | 性質・研究の見方 |
|---|---|
| 大麦・オーツ麦のβ-グルカン | 粘性と食後血糖との関係が、ヒト試験で研究されています |
| イヌリン | 水溶性で、通常は粘性が低く、発酵されやすい食物繊維として扱われます |
| 桑の葉の多糖類 | 抽出した成分の粘性が研究されています。市販のお茶での成分量や働きは別に確認する必要があります |
桑の葉茶では「何が、どれだけ含まれるか」が大切です
桑の葉に含まれる成分が、水溶性食物繊維として働き、消化管内でも十分な粘性を示すのであれば、食後血糖に関わる可能性を考えることはできます。
しかし、その可能性と、実際に飲んだときの効果は別の段階です。成分の種類、量、食事との組み合わせ、体内での状態を確かめる必要があります。
当店のパウダーは、一回分の目安を約1.2gとしています。この約1.2gは桑の葉粉末全体の重さであり、水溶性食物繊維だけの重さではありません。
とろみは、桑の葉由来の成分の性質を知る手がかりにはなりますが、血糖値への働きを測る物差しにはなりません。
桑の葉のDNJと、とろみの成分は分けて考えましょう
桑の葉では、DNJ(1-デオキシノジリマイシン)という成分も研究されています。
DNJは、糖の分解に関わる酵素の働きに関係する成分です。DNJを高めた桑の葉粉末を使ったヒト試験では、糖の摂取後の血糖値上昇への影響が調べられています。[7]
一方、多糖類などによる粘性は、飲み物や消化管内の物理的な性質に関わる話です。
桑の葉には複数の成分があるため、これらを一緒にして「ぬめりが強いからDNJも多い」と説明することはできません。とろみから、DNJの含有量を判断することもできません。
DNJと食後血糖の関係を、ヒト試験の条件や結果から詳しく確認したい方は、桑の葉と血糖値についての研究論文の解説をご覧ください。
草のような青い香りは、何から生まれる?

桑の葉の香りは、一つの成分だけで決まるものではありません。葉に含まれるさまざまな揮発性成分が組み合わさって、香りの印象を作ります。
桑の葉と、その抽出物の乾燥工程を調べた研究では、ヘキサナールや(E)-2-ヘキセナールなどの成分が検出されています。(E)-2-ヘキセナールなどは、草のような香りに関わる成分として説明されています。[8]
市販の桑の葉茶10商品を調べた研究でも、香りの成分構成には商品間で違いがあることが報告されています。[9]
このため、同じ「桑の葉100%」でも、葉の青い香りが目立つ商品と、別の香りが目立つ商品では、印象が変わり得ます。
ただし、ここで紹介した成分が、当店の商品で感じられる香りの主な原因なのかは、香気成分の分析をして確かめる必要があります。レビューの「青臭い」「生臭い」という言葉だけで、原因成分を特定することはできません。
他社の桑の葉茶と違うのは、焙煎だけが理由ではありません
「以前の桑の葉茶はさらっとしていたのに、こちらはとろみがある」という場合、乾燥や焙煎の違いは、検討すべき要因の一つです。
山麓園では、桑の葉を低温で乾燥させ、葉の色や風味を生かす作り方をしています。強く焙煎して香ばしさをつける作り方とは、目指す仕上がりが異なります。
ただし、他社の商品との違いを、焙煎方法だけで説明できるとは限りません。原料や製造条件を確認していない製品について、「他社は高温だからとろみがない」と決めつけることはできません。
| 比較する点 | 違いを考えるときの確認事項 |
|---|---|
| 原料 | 品種、収穫時期、葉の状態などが同じか |
| 乾燥・焙煎 | 温度・時間・工程が同じか |
| 商品の形態 | 葉を粉砕したものか、抽出物を粉末にしたものか |
| 粉砕 | 粒子の大きさや分布が同じか |
| 配合 | 桑の葉100%か、ほかの原料とのブレンドか |
| 作る条件 | 粉末量、水量、温度、経過時間が同じか |
この表は、今回のレビューに書かれた違いの原因を特定したものではありません。製品同士を比較するときに確認したい項目です。
粉末の細かさと「溶ける・混ざる」の違い
葉を粉砕したパウダーは、葉の粒子が水やお湯の中に分散した飲み物です。すべてが砂糖のように溶けきるわけではありません。
細かな粒子が固まってダマになった状態と、飲み物全体にとろみがある状態も、同じ現象ではありません。「溶けにくい」という感想には、ダマ、沈殿、とろみがそれぞれ含まれることがあります。
山麓園では自社工場の気流式粉砕機で桑の葉を細かく加工しています。粉砕の違いは粒子の状態や口当たりに関わりますが、細かくしただけで食物繊維の量が増えるわけではありません。
また、機械を替えたことでとろみが増えたかどうかは、変更前後の原料と条件をそろえた比較が必要です。詳しい加工方法は、桑の葉パウダーの気流式微粉砕についての記事をご覧ください。
青い香りやとろみが強い方が、体によいのでしょうか?
桑の葉由来の成分が、香りや口当たりとして感じられることはあります。とろみを、単に「変わった口当たり」として片づけず、植物の成分の性質を知るきっかけとして捉えることはできます。
山麓園が葉の風味を生かす加工を選んでいるのも、原料の特徴を大切にしたいと考えているためです。
しかし、「葉の香りが残っている」ということと、「健康に関わる成分がより多い」ということは、同じではありません。香りの強さから、食物繊維やDNJの量を判断することはできません。
同じように、とろみの強さだけで他社の商品より健康によい、あるいはさらっとした商品には有用な成分が少ない、と結論づけることもできません。
健康に関わる評価には、成分の分析や摂取量、その商品を使った研究が必要です。香りやとろみは、まず製品の特徴として理解し、健康への働きは根拠に沿って考えることが大切です。
桑の葉パウダーについて、成分が含まれていることと、研究で確認された働きを分けて知りたい方は、桑の葉パウダーの成分と研究を整理した記事もご覧ください。
同じ商品でも、購入時期によって違って感じる場合は?
桑の葉は農産物です。原料の品種、収穫時期、栽培条件、葉の状態などが異なれば、成分や風味に違いが生じる可能性があります。加工や保管、飲み方も関係し得ます。
山麓園のパウダーでは、原料の入荷状況によって生産者が変更になる場合がありますが、いずれも熊本県産の桑の葉を使用しています。
ただし、「前回とはかなり違う」「商品を間違えたかと思った」という声を、農産物だからという理由だけで説明しきることはできません。今回ご紹介いただいたレビューについても、個々の製造ロットや保管状態を調べた結果ではなく、原因は特定されていません。
前回と大きく異なる香りや状態がある場合は、注文情報、賞味期限、袋に記載された番号などと一緒に、販売店へお知らせください。異臭が気になる場合は、無理に飲み続けず、ご相談ください。
葉由来の特徴についての説明と、実際の商品状態の確認は、どちらも大切です。
購入時の違いと、作った後の色の変化は、分けて考える必要があります。色や保存については、桑の葉パウダーの色の変化と保存の記事をご覧ください。異臭などが気になる場合は、自然な変化と決めつけず販売店へご相談ください。
とろみが気になる場合は、量と時間をそろえて試してください
口当たりを確かめるときは、最初に粉末の量と水の量をそろえることが役立ちます。小さじの大きさや、すりきり・山盛りの違いでも、濃さは変わります。
山麓園のパウダーでは、小さじすりきり約2.4g、その半分の約1.2gを一回分の目安としています。感じ方を比べる場合は、できれば重さでそろえてみてください。
とろみが強く感じられる場合は粉末量を少なめにし、作ってからの経過時間も確認すると、好みに合う条件を探しやすくなります。少量の水で先に混ぜる方法は、ダマを減らす工夫になりますが、葉の成分によるとろみまでなくす方法ではありません。
水でシェイカーを使う方法も便利です。熱いお湯は密閉して振らず、カップで混ぜてください。
それでも口当たりが苦手であれば、健康のために我慢して飲む必要はありません。飲みやすさの工夫やティーバッグとの選び分けは、味と飲みやすさの記事で紹介しています。
桑の葉茶を初めて知る方は、桑の葉茶とは?味・飲み方・選び方をお茶専門店が解説もご覧ください。飲みすぎや体質との相性については、桑の葉茶のデメリット・注意点の記事で説明しています。
それでも口当たりが苦手であれば、健康のために我慢して飲む必要はありません。粉末と抽出して飲むお茶の違いを確認したい方は、桑の葉茶の粉末とティーバッグを比較した記事をご覧ください。
山麓園の桑の葉茶
山麓園では、熊本県産桑の葉100%のティーバッグとパウダーを販売しています。原料・製法・飲み方を確認して、暮らしに合う形をお選びください。
山麓園の桑の葉茶 パウダー/ティーバッグのご紹介
山麓園では、以下のように手頃な価格で高品質な桑の葉茶を提供しています。


桑の葉茶ティーバッグ 3g×40包 1000円 送料無料
桑の葉茶パウダー 150g 1100円 送料無料
参考文献・参考情報
本記事では、桑の葉から抽出した成分の研究、食物繊維一般の情報、ほかの植物由来の成分のヒト試験を、それぞれの条件に分けて紹介しています。これらは山麓園の商品一杯での効果を確認した試験ではありません。桑の葉茶は食品であり、疾病の治療を目的とするものではありません。
- Lin HY, Lai LS. “Isolation and viscometric characterization of hydrocolloids from mulberry (Morus alba L.) leaves.” Food Hydrocolloids. 2009;23(3):840–848. 桑の葉由来の抽出成分の粘性を検討。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0268005X08000994 - “The Rheological Behavior of Polysaccharides from Mulberry Leaves (Morus alba L.).” Agronomy. 2020;10(9):1267. 抽出方法の異なる桑の葉多糖類の粘性などを検討。
https://www.mdpi.com/2073-4395/10/9/1267 - 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」。食物繊維一般の働き。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-016 - 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」。粘性の違いや腸内細菌との関係。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-05-001.html - Panahi S, et al. “Beta-glucan from two sources of oat concentrates affect postprandial glycemia in relation to the level of viscosity.” J Am Coll Nutr. 2007;26(6):639–644. DOI:10.1080/07315724.2007.10719641. オーツ麦由来β-グルカンのヒト試験。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18187427/ - “Effect of Training on the Reliability of Satiety Evaluation and Use of Trained Panellists to Determine the Satiety Effect of Dietary Fibre: A Randomised Controlled Trial.” PLOS ONE. 2015. イヌリンを粘性の低い対照繊維として使用。本記事ではイヌリンの性質の説明に参照し、この試験を血糖値への効果の根拠とはしていません。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0126202 - Kimura T, et al. “Food-grade mulberry powder enriched with 1-deoxynojirimycin suppresses the elevation of postprandial blood glucose in humans.” J Agric Food Chem. 2007;55(14):5869–5874. DOI:10.1021/jf062680g. DNJを高めた桑の葉粉末のヒト試験。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17555327/ - “Effects of Different Drying Processes on Bioactive Components, Volatile Compounds, and In Vitro Inhibition of Starch Digestion in Mulberry Leaf Extracts.” Foods. 2025;14(6):998. 桑の葉とエタノール抽出物の乾燥・香気分析。当店の低温乾燥を直接評価した研究ではありません。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11941107/ - “Volatile Profiling and Aroma Characterization of Commercial Mulberry Leaf Teas.” Beverages. 2026;12(9):100. 市販10商品の香気成分を比較。当店と特定他社の商品を比較した根拠ではありません。
https://www.mdpi.com/2306-5710/12/9/100 - “Inulin Increases Short-Term Markers for Colonic Fermentation similarly in Healthy and Hyperinsulinemic Humans.” イヌリン摂取後の大腸での発酵を示す指標を調べたヒト試験。菊芋製品や桑の葉茶そのものを評価した試験ではありません。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3937120/

