おくみどりとは?煎茶・抹茶で人気の理由と、茶商が感じる味の特徴

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おくみどり 煎茶・抹茶で人気の理由 茶商が語る、魅力と味の特徴

「おくみどり(Okumidori)」は、煎茶にも抹茶にも使われる、茶商の間でも評価の高い品種です。

私にとっても、晩生(おくて)の品種と聞いてまず思い浮かぶ、なじみの深いお茶の一つです。近年は煎茶の不足を背景に、価格の面でもおくみどりの評価が上がっていると感じます。

一方で、実際にお茶を扱い、抹茶原料づくりにも関わる中では、良い面だけでなく、気を付けたい点も見えてきました。その一つが「えぐみ」です。

今回はお茶の山麓園の立場から、おくみどりの特徴、煎茶と抹茶での印象の違い、そして雨で収穫が遅れた際の経験をお伝えします。

おくみどりは、遅い時期に摘む「晩生品種」

おくみどりは、茶の品種の中でも新芽の生育や摘採の時期が比較的遅い、晩生品種に分類されます。京都府の品種資料でも、晩生で、煎茶に適する品種として紹介されています。pref.kyoto.jp

ここでいう「晩生」は、品種そのものの性質です。同じ茶葉を長く伸ばしてから摘む「摘み遅れ」とは意味が異なります。

早く摘める品種にも、遅く摘める品種にも、それぞれに合った摘み時があります。おくみどりも、その時期にどう仕上がるかを見たい品種です。

煎茶として親しまれてきたおくみどりですが、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)にも使われています。煎茶と抹茶の両方で名前を見かけるのは、用途の広さもあるのでしょう。

同じ晩成品種で名前も似ている「おくゆたか」について詳しい情報
→「おくゆたか」という品種は、どんなお茶?

煎茶不足の中で、価格面でも評価が上がっている

私が相場を見てきた中では、遅い時期に出てくる晩生品種は、早い時期のお茶と比べて安値になりがちな面がありました。

ところが近年は、煎茶が不足していると感じる場面が増え、晩生品種にも良い値段が付くようになっています。おくみどりも、その変化を感じる品種です。

もともと茶商からの評価は高かったのですが、その良さが取引価格にも表れやすくなった、というのが私の実感です。

ただし、価格が上がったことと、お茶そのものの品質が以前より良くなったことは、分けて考える必要があります。相場には、その年の供給量や需要も関わります。ここでお伝えしているのは、仕入れの現場で私が感じている変化です。

八女の抹茶でも、おくみどりが出ると相場の空気が変わる

おくみどりの抹茶 Okumidori Matcha

おくみどりへの評価を感じるのは、煎茶だけではありません。

八女の抹茶原料の相場を見ていても、いったん下がってきた価格が、おくみどりが出てくると、また一段上がるように感じることがあります。

これは統計的に検証した話ではありませんが、茶商として相場を見ていると印象に残る動きです。それだけ、おくみどりを求める買い手がいるのだろうと感じます。

品種名だけですべての品質が決まるわけではありません。それでも、買い手が期待を寄せる品種であることは、こうした場面からもうかがえます。

煎茶と抹茶では、色合いの評価が違う

おくみどりの色については、煎茶と抹茶を分けて考えています。

私の見てきた範囲では、煎茶としての色合いは、さえみどりなど、ほかの品種の方が良いと感じることがあります。おくみどりだから、どのような仕上げでも色が最も良い、という印象ではありません。

一方、抹茶にすると、おくみどりは良い色が出ると感じます。煎茶で見たときとは、また違った良さがあります。

静岡県茶業研究センターの案内でも、おくみどりは、同県の奨励品種の中で碾茶の外観や色の評価が優れる傾向にある品種の一つとして挙げられています。pref.shizuoka.jp

もちろん、産地や栽培、収穫時期、製造条件によって仕上がりは変わります。同じ品種でも、煎茶にした場合と抹茶にした場合で、持ち味の表れ方が違うところがお茶の面白さです。

一番茶でも、えぐみが気になるものはある

おくみどりを扱う中で、私が気を付けたいと考えているのが、えぐみです。

評価の高い品種ではありますが、一番茶でもえぐみを感じるものがあります。「おくみどりの一番茶なら、必ずえぐみが少ない」とは言い切れません。

お茶の説明では、甘みや旨み、色の良さに目が向きがちです。ただ、飲んだときに気になる味がないかという点も、同じように大切だと思います。

このことを強く意識したのが、二番茶の有機の抹茶原料を作った際の経験でした。

雨で収穫が遅れ、強いえぐみが出た経験

2025年、二番茶で有機の抹茶原料づくりに取り組みました。

ところが、収穫の時期が梅雨と重なり、あいにくの雨で予定どおりに摘むことができませんでした。収穫が遅れ、結果として被覆期間は20日間になりました。

そのときにできた原料は、非常にえぐみの強いものでした。

おくみどりは良い品種だと思っていますが、この経験から、摘むタイミングには少し注意が必要だと感じるようになりました。品種への期待があっても、実際の仕上がりを確かめることが欠かせません。

なお、ここで「20日間覆うと、えぐくなる」とお伝えしたいわけではありません。静岡県茶業研究センターは、一般的な直がけ被覆の目安として、碾茶では約2葉期から3週間程度と案内しています。pref.shizuoka.jp

今回の経験だけで、被覆日数とえぐみの因果関係は判断できません。雨による収穫の遅れ、その間の芽の状態、栽培や製造の条件など、いくつかの要素を考える必要があります。

私の中では、肥料の与え方や効き方も関係するのではないかと考えています。ただし、これは現時点での考察であり、原因を確認できたわけではありません。また、この一例から、有機栽培のお茶全体がえぐいと考えることもできません。

実際に作ってみて、予定どおりに摘む難しさと、摘み時を見極める大切さを感じた経験でした。

おくみどりを選ぶときに、見てほしいこと

おくみどりに興味を持った方には、品種名と一緒に、その商品がどのようなお茶なのかも見ていただきたいと思います。

煎茶なら、色合いだけでなく、香りや味についてどのような説明があるか。抹茶なら、そのまま点てて飲むものなのか、ラテやお菓子に使うものなのか。自分の楽しみ方に合っているかを確かめると、選びやすくなります。

また、「一番茶」「国産」「おくみどり」といった表示は選ぶ手掛かりになりますが、それだけで好みに合う味かどうかまでは分かりません。初めてのお茶は、少量から試してみるのもよい方法です。

私自身、おくみどりは、煎茶としても抹茶としても魅力のある品種だと考えています。近年の相場でも、その存在感は増していると感じます。

だからこそ、人気や色の良さに加え、実際の味にも目を向けたい。良さも、原料づくりで難しさを感じた経験もお伝えすることが、お茶を選ぶ際の参考になればと思います。

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