釜炒り茶:香ばしさが魅力のお茶

釜炒り茶とは?

釜炒り茶(かまいりちゃ)は、茶葉を釜で炒ることで製造される日本独特のお茶です。一般的な蒸し茶とは異なり、茶葉が300℃~400℃に熱した釜で炒られることで、香ばしい香りと独特の風味が生まれます。中国や台湾にも似た製法の茶がありますが、日本の釜炒り茶はその独自性と深い歴史で際立っています。

お茶の色は一般的に黄金色と言われる黄色がかった色をしています。(最高級品は緑色の場合があります)

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どんなお茶? 味、香り、飲みやすさなど

釜炒り茶は、その香ばしい香りが特徴です。焙煎されたナッツのような香りと、まろやかでありながら少し甘みを感じる味わいが魅力です。また、渋みが少なく、飲みやすいお茶としても知られています。特にリラックスしたいときや、食後の一杯として最適です。

釜炒り茶の歴史

釜炒り茶の歴史は古く、奈良時代から平安時代にかけて中国から伝わった製茶法が起源とされています。長らく日本の各地で親しまれてきましたが、特に九州地方では、その製法が守られ続けています。現在でも、佐賀県や宮崎県、熊本県などが釜炒り茶の主要な産地として知られています。

1900年代前半は、蒸し製緑茶とそう変わらないほど生産されていましたが、現在では釜炒り茶の割合は全体の0.5%を下回る(*1)と言われています。

*1:茶業研究報告 125:1~6(2018)

釜炒り茶の種類 産地や品種などの違い

釜炒り茶には、産地や茶葉の品種によってさまざまな種類があります。特に九州地方では、佐賀県の嬉野(うれしの)、宮崎県の五ヶ瀬(ごかせ)、そして熊本県の矢部(現山都町)、蘇陽などが有名な産地です。それぞれの地域で気候や土壌が異なるため、香りや味わいに違いが生まれます。

釜炒り茶も、一番茶おすすめ。さっぱりとした旨味と心地よい渋みが楽しめます。

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熊本県の釜炒り茶

熊本県は、日本でも有数の釜炒り茶の産地として知られています。特に山鹿市や八代市では、伝統的な製法である「青柳製法」が採用されています。青柳製法では、茶葉を素早く釜で炒ることで、鮮やかな緑色を保ちながらも、香ばしい香りと甘みを引き出すことが特徴です。この製法により、熊本産の釜炒り茶はまろやかで風味豊かな味わいが生まれます。

嬉野製法と青柳製法

釜炒り茶の製法には、産地ごとに異なる伝統的な技術が存在します。佐賀県の嬉野地区では、「嬉野製法」が採用されています。この製法は、中国から伝わった技法で、中華鍋のような丸い鍋を使って茶葉を炒ります。これにより、茶葉に均一な熱が加わり、香りと甘みが強調されるしっとりとした仕上がりになります。

一方、熊本県の青柳製法は、加藤清正の朝鮮出兵の際に朝鮮人技術者から伝わったとされています。青柳製法では、平鍋を使用して茶葉を炒るため、より早く高温で炒ることができ、鮮やかな緑色が保たれます。この製法では、香ばしさと甘みが際立つ独特の風味が生まれます。

かぶせ茶と露地栽培

釜炒り茶の製法においても、茶葉の育成方法が品質に大きな影響を与えます。特に「かぶせ茶」と「露地栽培」の違いがその代表例です。かぶせ茶とは、茶葉の生育期に直射日光を遮るために覆いをかけて育てる方法です。これにより、茶葉は濃厚な旨味と豊かな香りが生まれ、高級茶として評価されます。

一方で、露地栽培は自然の太陽光の下で育てられるため、茶葉はしっかりとした味わいと爽やかな渋みが特徴となります。釜炒り茶にもこの両者の製法があり、それぞれの製法によって異なる味わいを楽しむことができます。

画像:高級品 かぶせ茶のおくみどり

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釜炒り茶の淹れ方・飲み方

一般的な釜炒り茶は、熱湯(90℃)で1~2分ほどで抽出するのが一般的です。高級なかぶせ茶の釜炒り茶は、少し低めの温度でゆっくりと抽出するのがポイントです。60〜70度程度のお湯で1〜2分ほど抽出すると、香ばしい香りとまろやかな味わいが引き出されます。ティーポットや急須を使ってじっくりと楽しんでみてください。冷茶としても美味しく、暑い季節には冷やして楽しむのもおすすめです。

釜炒り茶の選定のポイント

釜炒り茶を選ぶ際には、香りと鮮度が重要です。新鮮な茶葉は、香りが豊かで色も鮮やかです。また、産地や品種にも注目すると、自分の好みに合った一杯が見つかるでしょう。特に九州産の釜炒り茶は、香ばしさと味わいのバランスが良いことで評価されています。

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参考文献

このブログが、釜炒り茶についての理解を深める手助けとなれば幸いです。

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