お茶でダイエット!緑茶を飲めば本当に痩せるのか?どれくらい体脂肪が下がる?効果を検証!

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そもそも緑茶にダイエットは効果はあるのか?

お茶とダイエットの相関関係は、多くの方がなんとなく分かっているようではっきりと掴めていないのではないでしょうか。

ここ数年は、特定保健用食品(トクホ)のお茶や機能性表示食品のお茶などに「体脂肪を減らす」などの効果を表示した製品がいくつもあります。

世界的にも緑茶のダイエット効果は、脚光を浴びており、テレビや雑誌など様々なメディアで取り上げられています。

お茶には、どのようなダイエット効果があるのか?

●エネルギー(カロリー)消費量アップ

緑茶に含まれる「エピガロカテキンガレート(以下、EGCG)」は、肝臓を活性化し、脂質代謝を上げることでエネルギー消費を高め、体脂肪を燃やします。

最新の研究では、カテキンが、褐色脂肪組織を活性化させることで、エネルギー消費を増加させることがわかってきました。褐色脂肪は、脂肪を主に熱エネルギーに変え、体温などを上昇させる機能を持っています。

褐色脂肪組織についての論文

●脂肪吸収抑制

緑茶のEGCGは、すい臓から分泌される脂肪分解酵素であるリパーゼの働きを抑制し、小腸で脂肪の吸収を阻害します。その結果、血液中の中性脂肪も減り、肥満を予防します。機能性表示食品のペットボトル緑茶で見かける「ガレート型カテキンが脂肪の吸収を抑制」などもこれと同じ作用です。特保などの烏龍茶にも同じく「脂肪の吸収を抑える」働きがありますが、緑茶、烏龍茶、紅茶、普洱茶の中では、緑茶が最も効果が高いことがわかっています。

補足:エネルギー消費されなかった中性脂肪は、皮下脂肪や肝脂肪などになってしまい体重増加の原因や、健康に悪影響をもたらすことも。血糖値が高い状態が続くと中性脂肪も高くなるので、高血糖にも注意。その点、緑茶は、血糖値の上昇を緩やかにする作用もあるので、高血糖の方にもおすすめです。

●脂肪合成の抑制と脂肪分解の促進

動物実験ですが、カフェインとカテキンを同時に摂取すると脂肪酸を合成する酵素を弱めて脂肪の合成を抑制、脂肪分解酵素の働きを高めて、脂肪を減らす働きがあることがわかっています。(Sugiura)

●腸内環境を整えて肥満予防

緑茶が腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことで、腸内環境を改善し、肥満を予防することが、オハイオ大学の研究で分かっています。主にメタボ予防効果として発表されています。

食物繊維を摂ると善玉菌がなお増えるので、腸内環境を整えたい方は、緑茶を粉末にして飲むのがおすすめ。緑茶の食物繊維の量は、なんとゴボウの8倍と言われています。

関連記事:お茶は食べられる!健康効果抜群のスーパーフード

●カフェインによる代謝促進

緑茶に含まれるカフェインも、血流や代謝を高めることで脂肪を燃焼、利尿作用もあることから、老廃物の排出やむくみなどの改善に役立ちます。さらにいえば、余分な水分が排出されることで、体重も減ります。

緑茶には、カフェインの興奮作用を和らげるテアニンが含まれます。コーヒーを飲むと眠れないという人も、緑茶なら心配ありません。

関連記事:テアニンの豊富な品種「さえみどり」

●カロリーゼロ飲料で、摂取カロリーを減らす

緑茶は、カロリーゼロ飲料のため、他の飲み物を代替することで、その分のカロリーをカットできるというメリットがあります。さらに、複数の論文から、継続的に緑茶を飲むことで、食事量が減り、摂取カロリーが減る傾向にあることがわかっています。

関連文献:緑茶の食後高脂血症に及ぼす影響

このように、ダイエットとしての緑茶の効果は、一つでなく複数あって、複合的に効果を発揮していることがわかります。

(追記)●ケルセチンが脂肪燃焼を促進

テレビコマーシャルでおなじみの「金の〇茶」には、「本品は,脂肪分解酵素を活性化させるケルセチン配糖体の働きにより、体脂肪を減らすのを助けるので、体脂肪が気になる方に適しています」とあります。

ケルセチンは、玉ねぎなどにも含まれるポリフェノールです。お茶の品種によって含有量に違いがありますが、「さえみどり」や「そうふう」という品種に多く含まれ、お茶1杯で玉ねぎ半分ほどのケルセチンが摂取できるそうです。カテキンとケルセチンのW効果を狙うなら、そうふうは入手が難しい品種なので、美味しさでも評価の高い、さえみどりという品種を探すと良いでしょう。

(追記)●SGLT2 阻害効果 (腎臓の糖再吸収を抑制)

腎臓が一旦糖質や塩分(ナトリウム)などを排出し、その後、再吸収する働きがあります。

再吸収がなければ、余分な糖や塩分を排出することができるのですが、人間の身体はそのような仕組みになっています。糖尿病などの方の薬に「SGLT2阻害薬」というものがあります。この薬を使用することで、一日当たり400キロカロリーのブドウ糖が排出され、平均-3%体重が減少するそうです。近年、緑茶のエピガロカテキンガレートにSGLT2阻害効果が確認されています。

緑茶はどれくらいのダイエット効果があるのか?

実際に緑茶をどれくらい飲めば、どれくらいの効果があるのか? 複数の異なった論文(以下の表・論文A~Dを並べたところ)による臨床結果をまとめてみました。

論文期間カテキン量体重(開始前)体重(飲用期間後)減少量(率)腹部脂肪
A3カ月540mg67.2kg64.3kg-2.9kg (-4%)-4%
B3カ月540mg63.42kg60.91kg-2.51(-3%)-5%
C3カ月279.5mg72.5kg71.9kg-0.6kg(-0.8%)-7.60%
D3ヶ月665.9mg68.5kg67.8kg-0.7kg(-1%)-2.80%

このほか、若者を対象とした実験では、カテキン400mgを4週間継続摂取し、1%の体脂肪が減少したという結果がみられました。体重は、平均で200g減少、あまり変化が見られなかったことから、体重を減らすためには、1ヶ月は短かすぎる可能性があります。

その他、中高年の男女80名による二重盲試験では、一日カテキン588mgを12週間続けたところ、BMIで0.49、体脂肪が1.37kg減少したそうです。また、男女240名の実験(一日カテキン582.8mg)では、12週間でBMIで0.59、体重で1.59kg減少しています。

先の「褐色脂肪組織を活性化」によるエネルギー消費増加について、海外で興味深い実験もあります。日常生活に近い環境で長時間正確にエネルギー消費量と測定できる、メタボリックチャンバーという部屋型の装置を使った実験では、「カフェイン150mg+カテキン375mg」をランダムに摂取させ、エネルギー消費量の変化を調べています。

この実験では、24時間で78.6キロカロリーの消費量がアップすることがわかりました。この結果を受け、日本でも、似た実験が実施され、同様の結果が得られています。(尚、カフェインだけでは、効果はありませんでした)

海外でも、ペンシルバニア大学「ジェフ・マルホレム博士」によると、

緑茶製剤を用いた11件のヒト試験の最近の分析では、対照群と比較して介入群で平均1.31キログラムの体重減少が報告されました。

日本人だけでなく多人種国家のアメリカでも同様の結果が出ています。

出典:ペンシルバニア州立大学(英語→和訳)

どのくらい緑茶を飲むとよいのか?効果が上がるのか?

カテキン100mg~200mgでは効果は見られなかったとの報告もあることから、たくさんカテキンを摂取する方が、ダイエット効果などが高いことがわかっています。目安として、1日あたり500㎎以上飲むことをおすすめします。急須で出す普通のお茶は、一杯50~70mg含まれています。これだと量的にたくさん飲む必要があるので、濃く出して数杯飲むようにすれば良いでしょう。粉末緑茶も茶葉の栄養をまるごと摂れるので、お勧めです。ペットボトルのお茶のカテキン量は、急須のお茶の半分以下なので、高濃度カテキンのお茶を飲むと効率的です。

・関連記事:急須のお茶とペットボトルのお茶の違い

(ペットボトルの高濃度カテキン茶は、人為的にカテキン濃度を高めているため、危険視される方もいます。欧米などでは、禁止されていたりもします。できれば、急須でお茶を出して飲んでください。参考記事

また、実験では、BMIが高い人ほど、カテキンのダイエット効果が高く、BMI22未満の人(やせ型)には効果がないことも分かっています。

BMIとは?BMIの計算方法

ちなみに、花粉症などアレルギー反応抑制効果のある、メチル化カテキンを含むべにふうき茶は、普通の緑茶よりも吸収され易く、脂肪蓄積抑制効果も1.7倍に増えるという報告があります。

参照論文:「べにふうき」緑茶による脂肪蓄積抑制の作用機序

関連記事:べにふうき茶について

関連記事:べにふうきは茶葉と粉末 どちらがおすすめ?

まとめ: お茶を飲むと、40分のウォーキングまたは、ごはん1杯の半分のダイエット効果

これらの実験結果から、お茶を飲むことで、代謝によるエネルギー消費量がアップしたりなど、実際に体脂肪、お腹周りの脂肪を減らす効果が確認されています。しかし、人によっては、体脂肪は減って、体重はあまり減らない人もいます。特に痩せている人には、効果はないと言われています。BMIが25以上の人なら、12週間で1.5㎏くらいの体重減少を期待できそうです。

いずれにしても、お茶を飲むだけで劇的に痩せるということはありません。色々なメディアでお茶のダイエット効果は、話題となっていますが、激やせ効果などの過度な期待はしないほうがいいでしょう。

しかしながら、12週間でたったの1.5キロといっても、10500キロカロリー消費させるかその分を我慢する必要があります。一日あたりにすると125キロカロリー。お茶を飲まなかったら、一日当たり、125キロカロリーを運動などして消費しなければなりません。ウォーキング1時間で184キロカロリーとすると、125キロカロリー消費するには、約40分ほどのウォーキングに相当します。食事を我慢するとなると、ごはん茶碗1杯(269kcal)なので、その茶碗半分程度の量が125キロカロリーを食べないことなります。これらを休まず、毎日続けることを考えるなら、濃いお茶を毎日飲むだけで、1.5キロ減を達成するのは意外と簡単なダイエット法の1つではないでしょうか?

お茶には、癌や動脈硬化、高血圧、高血糖の予防効果など様々な健康機能があります。また、怪しいダイエット食品のように、副作用を心配する必要もありません。簡単で健康的に脂肪を減らし、痩せたい方には非常におすすめです。

また、さらなるダイエット効果を希望の方は、「緑茶&運動」がおすすめ。Murase氏の研究では、お茶を継続的に飲んで、運動すれば、脂肪分解効果がさらにアップするそうです。

アメリカ、ペンシルバニア州立大学でも、動物実験ですごい効果が見られてます。

16週間後、定期的に運動し、緑茶抽出物を摂取した高脂肪食マウスは、平均27.1%の体重減少と、36.6%の平均腹部脂肪量減少を示しました。

本気でダイエットを目指す方は、「緑茶&運動」を是非やってみた方が良いでしょう。

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この記事のライター:株式会社山麓園 代表取締役 甲斐宣史
お茶の魅力、健康効果などについて情報を発信。楽天やヤフーショッピングの店長としても活躍中。食前にサラダを山盛り、高温調理の食品は避け、米は玄米と決めている健康オタクでもあります。

参考文献

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  • 高濃度茶カテキンの継続摂取が内臓脂肪型肥満女性の内臓脂肪およびメタボリックシンドロームリスクに及ぼす影響, Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療), 36: 237-245, 2008.
  • 肥満男女に対するカテキン含有飲料摂取の効果, Prog Med 25: 1945-1957, 2005.
  • Green tea beverages enriched with catechins with a galloyl moiety reduce body fat in moderately obese adults: a randomized double-blind placebo-controlled trial. Food Funct 7: 498-507, 2016.
  • Tea cat-echins with a galloyl moiety reduce body weight and fat. J Health Sci 51: 161-171, 2005.
  • 日本食品科学工学会誌 56巻7号 p. 412-418
  • ] Tsuchida T, et al. Reduction of body fat in humans by long-term ingestion of catechins. Prog Med. 2002, 22: 2189-2203.
  • Sugiura C, et al. Catechins and caffeine inhibit fat accumulation in mice through the improvement of hepatic lipid metabolism. J Obes. 2012, 2012: 520510. [22900152]
  • Sugiura C, et al. Effects of catechins and caffeine on lipid metabolism in mouse adipo-cytes. International conference and exhibition on nutraceuticals and functional foods. 2011, Abstracts. p.147.
  • Murase T, et al. Reduction of diet-induced obesity by a combination of tea-catechin intake and regular swimming. Int J Obes. 2006, 30: 561-568.
  • 日本食品化学学会誌 2013 年 20 巻 3 号 p. 147-152
  • https://news.psu.edu/story/310179/2014/04/02/research/research-suggests-green-tea-exercise-boost-weight-loss-health
  • Kagaku to Seibutsu 56(6): 408-413 (2018)
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