
「抹茶は血糖値が気になる人に向いている?」
「抹茶ラテでもいい?」
抹茶には、EGCG(エピガロカテキンガレート)をはじめとするカテキン類が含まれています。
カテキンについては、糖質の消化・吸収や血糖値との関係が数多く研究されているため、
「抹茶は血糖値によいのでは?」
と考える人も増えています。
では、研究をまとめて見ると、実際のところどうなのでしょうか。
山麓園では、抹茶そのものを使ったヒト試験だけでなく、より研究数の多い緑茶・カテキンのランダム化比較試験やメタ解析まで確認しました。
その結果、この記事での結論は、
「抹茶と血糖値の関係はYES寄り。ただし、効果は大きくない」
です。
抹茶そのものを使ったヒト試験では、
- 食後血糖値が有意に低くなった研究
- 血糖反応が低い方向を示した研究
- 空腹時血糖値が低下した研究
- 血糖値には差がなかったものの、インスリン反応に変化が出た研究
があります。
一方、明確な改善が確認されなかった研究もあります。
さらに、抹茶と同じチャノキ(Camellia sinensis)から作られる緑茶全体まで視野を広げると、複数のメタ解析で血糖関連指標の改善が報告されています。2013年の17試験・1,133人のメタ解析では空腹時血糖とHbA1cが有意に低下し、2020年の27試験・2,194人のメタ解析でも空腹時血糖は有意に低下しました。2024年に発表された2型糖尿病患者722人を対象とした15研究のメタ解析でも、空腹時血糖、HbA1c、インスリン抵抗性が改善方向を示しています。
もちろん、すべての研究が肯定的なわけではありません。
しかし、研究全体の方向を見る限り、「抹茶・緑茶は血糖値に全く関係ない」と考えるより、「小さいながらも血糖コントロールに有利に働く可能性がある」と考える方が現在のエビデンスには合っています。
この記事では、その根拠を一つずつ見ていきます。
※本記事は抹茶・緑茶成分についての研究情報を紹介するもので、糖尿病などの疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。
- まず結論|山麓園の評価は「YES寄り。ただし効果は小さい」
- なぜ抹茶と血糖値が関係すると考えられているの?
- 抹茶なら茶葉そのものを丸ごと摂取できる
- ヒト試験1|抹茶入りパンで食後血糖値が約20~24mg/dL低かった
- ヒト試験2|抹茶ビスケットでも血糖反応は低い方向
- ヒト試験3|12週間の抹茶で空腹時血糖は低下
- HbA1cについては良い結果とは言えなかった
- ヒト試験4|6gの抹茶粉末でも血糖値に差が出なかった研究
- 抹茶単独のヒト研究だけなら、評価は「可能性あり~YES寄り」
- より大きな「緑茶研究」まで見るとYESの根拠が強くなる
- 2013年|17試験・1,133人で空腹時血糖とHbA1cが改善
- 2020年|27試験・2,194人でも空腹時血糖は改善
- 2021年|2型糖尿病14研究ではNO
- 2024年|より新しい15研究・722人では再びYES
- メタ解析を並べると、全体はYES寄り
- では抹茶も「血糖値によい」と考えてよい?
- ただし「抹茶を飲めば血糖値が大きく下がる」ではない
- 高級抹茶ほど血糖値にはよい?実は逆の可能性も
- 高品質抹茶はアミノ酸が多く、低価格帯はカテキンが多かった
- 「高級=高機能」ではないのが抹茶の面白いところ
- 山麓園の実測値でも一番茶と二番茶で成分が違う
- 血糖値を意識するなら高級抹茶を選ぶ必要はない?
- 抹茶はいつ飲む?食事と一緒が研究には近い
- 抹茶ラテは砂糖に注意
- 抹茶を濃くすればもっと血糖値によい?
- 抹茶と桑の葉ならどちらが血糖値には強い?
- 抹茶を「血糖値を下げる飲み物」と呼んでよい?
- よくある質問
- まとめ|抹茶と血糖値の関係は「YES寄り。ただし小さなYES」
- 関連記事
- 主な参考文献
まず結論|山麓園の評価は「YES寄り。ただし効果は小さい」
研究を大きく分けると、次のようになります。
| エビデンス | 結果 | 山麓園の評価 |
|---|---|---|
| 抹茶入り菓子パン・健常人 | 食後45分・60分の血糖値が有意に低下 | YES |
| 抹茶ビスケット・抹茶飲料 | 血糖iAUCは低い方向。一部時間帯で有意差 | ややYES |
| 抹茶12週間 | 空腹時血糖は低下。ただし対照との差は明確でない | 弱いYES |
| 抹茶粉末6g+白米 | 血糖iAUCには差なし。朝のインスリンピークは低下 | 血糖はNO、代謝面で一部YES |
| 緑茶17試験・1,133人 | 空腹時血糖・HbA1c低下 | YES |
| 緑茶27試験・2,194人 | 空腹時血糖低下、HbA1cは有意差なし | ややYES |
| 2型糖尿病14研究 | 有意な改善なし | NO |
| 2型糖尿病15研究・722人 | 空腹時血糖・HbA1c・インスリン抵抗性改善 | YES |
つまり、
抹茶単独の研究はまだ少なく、結果にはばらつきがあります。
しかし、抹茶に含まれるカテキンについての緑茶研究まで含めると、肯定的な結果の方が優勢です。2013年と2024年のメタ解析は複数の血糖指標で肯定的で、2020年も空腹時血糖については肯定的でした。一方、2021年の2型糖尿病患者を対象にした14研究のメタ解析では有意な改善が確認されていません。
したがってこの記事では、
抹茶には血糖値の上昇を緩やかにしたり、血糖コントロールに小さなプラスの作用をもたらしたりする可能性がある。現在の研究はYES寄り。ただし薬のような大きな効果を期待するものではない。
と評価します。
なぜ抹茶と血糖値が関係すると考えられているの?

抹茶には、
- EGCG
- EGC
- ECG
- EC
などのカテキンが含まれています。
特に研究が多いのが、**EGCG(エピガロカテキンガレート)**です。
ご飯、パン、麺、砂糖などに含まれる糖質は、そのまま吸収されるわけではありません。
消化管の中で、
- α-アミラーゼ
- α-グルコシダーゼ
などの酵素によって細かく分解されたあと、ブドウ糖などとして吸収されます。
茶カテキンについては、こうした糖質の消化に関わる酵素との関係が研究されています。
つまり、
糖質の消化・吸収を少し緩やかにすることで、食後血糖値の急上昇を抑える可能性
が考えられています。
緑茶カテキンと血糖値の詳しい仕組みについては、
緑茶を飲めば、血糖値の上昇が緩やかに?カテキンの血糖値を下げる効果を解説!
でも詳しく解説しています。
抹茶なら茶葉そのものを丸ごと摂取できる
抹茶は普通の煎茶とは飲み方が違います。
煎茶は茶葉へお湯を注ぎ、水に溶け出した成分を飲みます。
一方、抹茶は碾茶を細かく粉砕したものなので、茶葉そのものを飲みます。
そのため、
- カテキン
- テアニン
- カフェイン
- 食物繊維
- β-カロテン
- ビタミンE
など、水に溶けやすい成分だけでなく茶葉そのものに含まれる成分を摂取できます。
ただし、
「茶葉を丸ごと摂れる=煎茶より必ず血糖値に効く」
という意味ではありません。
抹茶と煎茶を直接比較して、抹茶の方が血糖値を下げることを証明した十分なヒト試験はまだありません。
抹茶の原料や製造方法については、
抹茶は何からできる?原料「碾茶」の作り方と煎茶・ぐり茶との違い
で詳しく紹介しています。
ヒト試験1|抹茶入りパンで食後血糖値が約20~24mg/dL低かった
まず、抹茶そのものについて明確にYESの結果が出ている研究です。
2012年、武庫川女子大学の研究グループが、健康な成人を対象に抹茶入り菓子パンと通常の菓子パンを比較しました。
この試験では、抹茶を含む菓子パンを食べた場合、食後45分と60分の血糖値が有意に低くなりました。
報告された数値では、
| 食後時間 | 通常パン | 抹茶入りパン |
|---|---|---|
| 45分 | 約165mg/dL | 約141mg/dL |
| 60分 | 約158mg/dL | 約138mg/dL |
となっています。
単純な差では、
45分:約24mg/dL
60分:約20mg/dL
です。
これはかなり分かりやすい結果です。
この研究についての評価:YES
もちろん参加者数は少なく、これ一つだけで結論を出すことはできません。
それでも、
「抹茶そのものを糖質と一緒に摂取した結果、食後血糖値が統計学的に有意に低くなった」
というヒト試験が存在することは重要です。
したがって、この研究については素直に、
抹茶と食後血糖の関係を支持する結果
と評価してよいでしょう。
ヒト試験2|抹茶ビスケットでも血糖反応は低い方向
2018年には、英国の研究グループが10人を対象として、
- 通常のビスケット
- 抹茶入りビスケット
- 通常ビスケット+抹茶飲料
を比較しました。
食後血糖のiAUC(増分曲線下面積)は、
| 条件 | 血糖iAUC |
|---|---|
| 通常ビスケット | 106.1 |
| 抹茶入りビスケット | 89.2 |
| ビスケット+抹茶飲料 | 81.9 |
でした。
数字だけを見れば、
通常ビスケット > 抹茶入りビスケット > 抹茶飲料併用
という、きれいな方向性です。
ただし個人差が大きかったため、iAUC全体として統計学的な有意差には届きませんでした。
一方、120分・150分の個別の時間帯では、通常ビスケットと抹茶条件の間に有意差が確認されています。
この研究についての評価:ややYES
統計学では「有意差なし」です。
しかし、
「有意差がない=まったく作用していない」
でもありません。
10人という非常に小さな試験で、
106.1 → 89.2 → 81.9
という方向性が出ており、一部時間帯では有意差もあります。
したがって、この記事では、
「明確な証明ではないが、抹茶が血糖反応を低くする方向のデータ」
と評価します。
ヒト試験3|12週間の抹茶で空腹時血糖は低下
一回の食事だけでなく、抹茶を継続して飲んだ研究もあります。
2022年、過体重・肥満の成人を対象として、
- 低カロリー食+抹茶
- 低カロリー食のみ
を12週間比較しました。
34人が試験を完了しています。
抹茶群では、12週間後に空腹時血糖値が有意に低下しました。
ただし、この研究では両群とも低カロリー食を行っており、体重も大きく減少しています。
さらに、血糖値の改善について両群を直接比較すると、抹茶群だけが明確に優れていたとはいえません。
この研究についての評価:弱いYES
ここで、
「抹茶を12週間飲めば血糖値が下がる」
とするのは言い過ぎです。
しかし、
少なくとも抹茶を12週間摂取したグループで空腹時血糖が悪化したのではなく、改善方向へ動いた
ことは事実です。
抹茶の効果だけを切り分けられないので、評価としては弱いYESとします。
HbA1cについては良い結果とは言えなかった
同じ12週間試験では、HbA1cについては注意が必要です。
抹茶群ではHbA1cが、
5.0% → 5.2%
へわずかに上昇しました。
正常範囲内での変化で、研究者はヘモグロビン値の影響なども考察しています。
それでも、
「抹茶を飲めばHbA1cが下がる」ことをこの研究は支持していません。
ここはYES寄りの記事であっても、そのまま紹介すべき結果です。
ヒト試験4|6gの抹茶粉末でも血糖値に差が出なかった研究
2025年には、健康な成人14人を対象としたランダム化二重盲検クロスオーバー試験が発表されました。
白米に、市販のMatcha Green Tea Powder 6gを加え、朝と夕方で食後の血糖・インスリン反応を比較しています。
6gの抹茶粉末には約1.06gのポリフェノールが含まれていました。
結果は、
食後血糖のiAUCについて、抹茶あり・なしで有意差なし
でした。
ここは明確にNOです。
しかし同時に、朝の試験では抹茶粉末を加えた食事で食後30分のインスリンピークが有意に低くなりました。
この研究についての評価:血糖はNO、インスリン反応はYES
この研究から分かるのは、
抹茶の作用は単純に「血糖値を下げる」だけではない可能性
です。
血糖値が同程度でも、それを処理するために必要なインスリンが少なくなったのであれば、代謝上は興味深い変化です。
まだ1試験なので断定はできませんが、「血糖値に差がなかったから完全なNO」と切り捨てる必要もないと考えます。
抹茶単独のヒト研究だけなら、評価は「可能性あり~YES寄り」
ここまでの抹茶研究をまとめると、
- 明確に食後血糖値が低かった研究:あり
- 血糖反応が低い方向を示した研究:あり
- 長期摂取で空腹時血糖が改善方向だった研究:あり
- 血糖値そのものに差がなかった研究:あり
- インスリン反応が改善方向だった研究:あり
となります。
決して、
YES 10件、NO 2件
というほど圧倒的ではありません。
しかし、
「抹茶と血糖値には何の関係もなさそうだ」
という結果でもありません。
抹茶そのものに限定すれば、
「肯定方向のシグナルが複数あり、YES寄り。ただし研究数が少ない」
とするのが妥当でしょう。
より大きな「緑茶研究」まで見るとYESの根拠が強くなる
抹茶も煎茶も、原料は同じチャノキです。
抹茶研究だけでは数が少ないため、主要成分であるカテキンについて判断するときは、より研究の多い緑茶全体を見ることも重要です。
ここまで広げると、結果はさらにYES寄りになります。
2013年|17試験・1,133人で空腹時血糖とHbA1cが改善
2013年には、17件のランダム化比較試験、合計1,133人をまとめたメタ解析が発表されています。
その結果、緑茶摂取によって、
空腹時血糖:-0.09mmol/L
HbA1c:-0.30%
と、いずれも有意に低下しました。
HbA1c 0.30ポイントは、非常に大きな効果というわけではありません。
しかし、
複数のRCTをまとめても改善方向が確認された
という点は重要です。
この研究は明確にYESです。
2020年|27試験・2,194人でも空腹時血糖は改善
2020年にはさらに規模の大きい、
27試験・2,194人
のメタ解析が発表されました。
結果は、
空腹時血糖:平均-1.44mg/dL
と有意に低下しました。
一方、
- HbA1c
- 空腹時インスリン
については有意差がありませんでした。
つまり、
全部の血糖指標が改善したわけではないが、空腹時血糖についてはYES
という結果です。
効果量が-1.44mg/dLですから、決して大きくありません。
だからこそ、
「YES寄り。ただし効果は小さい」
というこの記事の結論とよく一致します。
2021年|2型糖尿病14研究ではNO
もちろん、否定的な研究もあります。
2021年、2型糖尿病患者を対象とした14研究のメタ解析では、
- 空腹時血糖
- HbA1c
- 空腹時インスリン
- HOMA-IR
のいずれについても有意な改善は確認されませんでした。
これは明確にNOです。
したがって、
「緑茶なら糖尿病患者の血糖値を必ず改善する」
とは言えません。
2024年|より新しい15研究・722人では再びYES
ところが、2024年に発表されたより新しいメタ解析では、結果が再び肯定方向へ動いています。
2型糖尿病患者722人を含む15研究をまとめたところ、緑茶介入によって、
- 空腹時血糖
- HbA1c
- インスリン抵抗性
がいずれも有意に改善しました。
研究間のばらつきなど注意点はありますが、
2021年のNOのメタ解析がある一方、より新しい2024年の分析ではYES
という状況です。
メタ解析を並べると、全体はYES寄り
大きな研究を単純化して並べると、
2013年:YES
2020年:一部YES
2021年:NO
2024年:YES
です。
しかも2013年は1,133人、2020年は2,194人を含むメタ解析です。
これを見て、
「研究結果は一致していないので何とも言えません」
だけで終わらせるのは、逆に研究全体を表していないと考えます。
山麓園としては、
緑茶・カテキンと血糖値の研究は、否定的な研究もあるものの、全体としては肯定方向が優勢。したがってYES寄り。ただし効果量は小さい。
と評価します。
では抹茶も「血糖値によい」と考えてよい?
現時点では、
ある程度はYESと考えてよい
と思います。
理由は3つあります。
1.抹茶そのもののヒト試験で肯定的な結果がある
2012年の試験では、食後45分・60分の血糖値が明確に低くなっています。
2.別の抹茶研究でも同じ方向のシグナルがある
2018年の試験では有意差には届かなかったものの、血糖iAUCは抹茶条件で低い方向でした。2025年には血糖iAUCに差はなかったものの、朝のインスリンピークが低くなっています。
3.抹茶の主要成分である緑茶カテキンの研究全体がYES寄り
複数のメタ解析で空腹時血糖やHbA1cなどの改善が確認されています。
したがって、
「抹茶が血糖コントロールに多少プラスに働く可能性は高そうだ」
くらいまでなら、現在の研究全体から十分に言えると考えます。
ただし「抹茶を飲めば血糖値が大きく下がる」ではない
YES寄りだからこそ、効果の大きさも正しく見る必要があります。
2020年の27試験メタ解析では、空腹時血糖の平均差は**-1.44mg/dL**でした。
これは、
薬のような大きな血糖低下作用ではありません。
また、抹茶を使った個々の試験も参加者10~40人程度の小規模研究が中心です。
したがって、
「抹茶を飲めば糖尿病を治せる」
「抹茶さえ飲めば糖質を気にしなくてよい」
という話ではありません。
評価としては、
小さいが、プラス方向の可能性がある
という位置づけです。
高級抹茶ほど血糖値にはよい?実は逆の可能性も
ここからは、抹茶専門店として非常に面白いポイントです。
普通は、
「高級な抹茶ほど、健康成分も多いのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、血糖値との関係で注目されるカテキンについては、必ずしもそうではありません。
高品質抹茶はアミノ酸が多く、低価格帯はカテキンが多かった
2014年に、品質の異なる抹茶について成分を分析した研究があります。
その結果、
高品質抹茶ほど
- テアニン
- アルギニン
- グルタミン酸
が多く、
一方で、
品質が低くなるほど
- EGC
- EC
- EGCG
などのカテキン量が多い傾向が確認されました。
さらにラットによる糖質吸収試験では、低品質抹茶の方が高品質抹茶より強い糖質吸収抑制作用を示しています。
2018年に別の3社の抹茶を調べた研究でも、
高品質=遊離アミノ酸が多い
低品質=カテキンが多い
という同じ傾向が確認されています。
「高級=高機能」ではないのが抹茶の面白いところ
もちろん、先ほどの糖質吸収試験は動物実験です。
そのため、
「安い抹茶の方が人の血糖値を下げる」
とまでは言えません。
しかし、
味としての品質と、特定の機能性成分量は別物
であることは重要です。
高級な一番茶抹茶は、
- 旨味
- 甘味
- テアニン
- 遊離アミノ酸
- 色
- 香り
を重視します。
一方、二番茶・三番茶などでは、
渋味・苦味のもととなるカテキン類が増えやすい
傾向があります。
つまり、
「おいしい抹茶」
「高級な抹茶」
「カテキンの多い抹茶」
は必ずしも同じではありません。
山麓園の実測値でも一番茶と二番茶で成分が違う

山麓園で実際に測定した一番茶5検体と二番茶3検体でも、同じ傾向が確認されています。
| 成分 | 一番茶平均 | 二番茶平均 |
|---|---|---|
| 遊離アミノ酸 | 5.18% | 3.33% |
| テアニン | 2.98% | 1.90% |
| タンニン | 7.02% | 9.90% |
一番茶はアミノ酸・テアニンが多く、二番茶ではカテキン類を含む渋味成分の目安となるタンニン値が高くなっています。
一番茶と二番茶の具体的な違いは、
知覧抹茶「藤」と「葵」はどちらを選ぶ?679件の評価と成分データで分かった目的別の答え
でも詳しく紹介しています。
さらに山麓園で測定した一番茶抹茶と三番茶粉末緑茶では、タンニン値にさらに大きな違いが確認されています。
詳しくは、
一番茶と三番茶では成分がどれほど違う?山麓園の実測データ
をご覧ください。
血糖値を意識するなら高級抹茶を選ぶ必要はない?
現段階では、
その可能性は十分あります。
血糖値との関係で特に研究されているのはカテキンです。
そのカテキンは、必ずしも最高級の一番茶抹茶に最も多いわけではありません。
したがって、
健康目的なら必ず高級抹茶を選ばなければならない
という理由はありません。
むしろ、
- 二番茶
- 後期摘み
- ラテ・業務用グレード
のような比較的カテキンが多くなりやすい原料にも、別の価値がある可能性があります。
これは抹茶を価格だけで「上・下」と評価してはいけない理由の一つでもあります。
抹茶はいつ飲む?食事と一緒が研究には近い
抹茶について、
食前・食事中・食後のどれが最もよいかを直接比較した十分な研究はありません。
ただし、肯定的な結果が出た2012年の研究では、抹茶を菓子パンに入れて糖質と同時に摂取しています。
2018年の研究でもビスケットと抹茶を一緒に摂っています。
2025年の研究でも、白米に抹茶粉末を加えて同時摂取しています。
そのため、血糖値を意識するのであれば、
食事の直前~食事中
に無糖の抹茶を取り入れる方法は、研究条件から考えて合理的です。
緑茶について食前・食事中・食後を詳しく検討した記事は、
緑茶は血糖値が気になるときいつ飲む?食前・食事中・食後を研究から検証
も参考にしてください。
抹茶ラテは砂糖に注意
海外でも人気なのが抹茶ラテです。
しかし、血糖値を意識するのであれば、
抹茶そのものと「甘い抹茶ラテ」は分けて考える必要があります。
抹茶にはカテキンが含まれていても、そこへ大量の砂糖やシロップを加えれば、その糖質によって血糖値は上がります。
例えば、
- 抹茶
- 牛乳
- 砂糖
で作る場合、血糖値へ大きく影響するのは抹茶よりも砂糖の量かもしれません。
血糖値を意識して飲むなら、
無糖の抹茶、または甘さを控えた抹茶ラテ
の方が合理的です。
抹茶を濃くすればもっと血糖値によい?
そうとは言えません。
2012年には比較的少量の抹茶を使った試験で食後血糖に差が出た一方、2025年には6gの抹茶粉末を使用しても血糖iAUCに有意差がありませんでした。
つまり、
抹茶は多ければ多いほど血糖値に効く
という単純な用量反応は確認されていません。
濃くするとカフェインの摂取量も増えます。
普通においしく飲める量を大きく超えて飲む必要はないでしょう。
抹茶と桑の葉ならどちらが血糖値には強い?
山麓園では桑の葉についても、血糖値とのヒト試験を詳しく調べています。
桑の葉では、特徴的な成分である**DNJ(1-デオキシノジリマイシン)**が糖質の消化に関わるα-グルコシダーゼを阻害することが知られています。
DNJ量を調整した桑葉素材を使用したヒト試験では、食後血糖の上昇抑制が比較的明確に確認されています。
そのため、
食後血糖に限定した直接的なヒト試験の分かりやすさでは、現時点では桑の葉の方が一歩進んでいる
と私は評価します。
一方、緑茶・カテキンにははるかに多くの研究の蓄積があります。
つまり、
桑の葉=DNJについて直接的な食後血糖試験が強い
抹茶・緑茶=カテキンについて研究の裾野が広い
という違いです。
詳しくは、
桑の葉で血糖値はどのくらい下がる?ヒト試験・研究論文から分かっていること
をご覧ください。
抹茶を「血糖値を下げる飲み物」と呼んでよい?
ここは表現を分けたいところです。
「血糖値にプラスに働く可能性がある」→ YES
です。
しかし、
「血糖値を下げる飲み物」→ 言い過ぎ
だと思います。
研究全体は肯定方向ですが、効果量は大きくなく、抹茶単独の大規模RCTも不足しています。
したがって、
抹茶は、食後血糖の上昇を緩やかにしたり、血糖コントロールに小さなプラスの作用を与えたりする可能性がある食品
くらいが、研究結果を最も適切に表しているでしょう。
よくある質問
抹茶は血糖値に良いですか?
現時点ではYES寄りです。
抹茶そのもののヒト試験で食後血糖値が有意に低くなった研究があり、別の研究でも血糖反応やインスリン反応に肯定方向の結果があります。
さらに緑茶全体のメタ解析でも、血糖関連指標が改善した研究が複数あります。
ただし、効果は大きくありません。
抹茶を飲むと血糖値は下がりますか?
人によって必ず下がるとは言えません。
抹茶入り食品で食後血糖が低くなった試験がありますが、血糖値に差が出なかった試験もあります。
したがって、「飲めば必ず下がる」ではなく、全体として改善方向へ働く可能性があると考えるのがよいでしょう。
抹茶は糖尿病に良いですか?
緑茶については2型糖尿病患者を対象とした研究がありますが、結果は一致していません。
2021年のメタ解析では有意な改善がありませんでしたが、2024年の15研究・722人のメタ解析では空腹時血糖、HbA1c、インスリン抵抗性が有意に改善しました。
治療の代わりとして抹茶を使うことはできません。
抹茶はいつ飲むのがいいですか?
食後血糖を意識するのであれば、食事の直前~食事中が研究条件には近い飲み方です。
肯定的な抹茶試験の多くでは、糖質と抹茶を同時に摂取しています。
高級抹茶の方が血糖値には良いですか?
そのような根拠はありません。
むしろ品質の異なる抹茶を比較した研究では、高品質抹茶ほどアミノ酸が多く、低品質の抹茶ほどカテキンが多い傾向が確認されています。
血糖値との関係ではカテキンが注目されています。
一番茶より二番茶の方が血糖値にはいい?
人で直接比較した研究はありません。
ただし、一般的に一番茶はアミノ酸・テアニンが多く、後期の茶葉ではカテキン・タンニンが増える傾向があります。
そのため、カテキン量だけを目的に考えるなら、必ずしも一番茶が有利とは限りません。
抹茶ラテでもいいですか?
抹茶そのものは摂取できますが、砂糖やシロップの量に注意してください。
血糖値を意識するのであれば、無糖または甘さ控えめの方が適しています。
まとめ|抹茶と血糖値の関係は「YES寄り。ただし小さなYES」
抹茶と血糖値について研究をまとめた結果、山麓園では、
「YES寄り」
と判断します。
理由は、
- 抹茶そのものを使ったヒト試験で食後血糖値が有意に低くなった研究がある
- 他の抹茶試験でも血糖反応やインスリン反応に肯定方向の結果がある
- 緑茶カテキンについての多数のRCTをまとめたメタ解析でも、血糖関連指標の改善が複数報告されている
- 糖質の消化・吸収にカテキンが関与するという作用機序とも整合する
からです。
もちろん、NOの研究もあります。
しかし、
YESの研究もNOの研究もあるから「何とも言えない」
ではなく、
研究全体の重みを見ると、現時点ではYES側に傾いている
と考える方が実態に近いでしょう。
ただし、そのYESは大きなものではありません。
2020年の27試験・2,194人のメタ解析で、空腹時血糖の平均低下幅は約1.44mg/dLでした。
つまり、
「抹茶を飲めば血糖値が劇的に下がる」のではなく、「日々の食生活の中で、小さなプラスになる可能性がある」
という程度に考えるのがよいでしょう。
そして抹茶には、もう一つ面白い特徴があります。
最高級の一番茶抹茶ほど、血糖値との関係で研究されているカテキンが多いとは限りません。
高級抹茶はテアニンやアミノ酸が豊富で、旨味や香りに優れます。
一方、二番茶・後期摘みなど比較的渋味のある茶葉では、カテキン類が多くなる傾向があります。
つまり、
味を楽しむなら高級一番茶。
カテキンという成分から見ると、必ずしも高級品だけが優れているわけではない。
これも抹茶の面白さの一つです。
抹茶は単に「高いほど良い」「安いほど悪い」と評価できる食品ではありません。
産地、品種、摘採時期、栽培方法、味、そして成分。
それぞれの角度から見ることで、抹茶という食品の価値はさらに広がっていきます。
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桑の葉と血糖値について
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主な参考文献
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※抹茶の品種、摘採時期、被覆栽培、製造方法によってカテキンやアミノ酸などの含有量は異なります。また、研究で使用された抹茶・緑茶抽出物と市販されているすべての抹茶が同じ成分組成であるとは限りません。

