2020年お茶の生産量は、静岡県を抜いて鹿児島県が1位(日本一)になる?!本当か? 検証しました‼

2020年鹿児島県が日本茶の生産量1位になる見込み。変革の年!

富士山と茶畑(静岡県)

長年(半世紀以上)静岡茶は、お茶の生産量ランキング1位に君臨していた

お茶といえば、静岡県が何十年も生産量が1位でした。しかも、お茶の生産量のピークであった平成初期には、2位の鹿児島県の3~4倍の生産量を誇り、圧倒的な大産地でした。特に関東の方なら、静岡茶は絶対的な産地ブランドとして馴染みもあり、同時に人気を誇っています。知覧茶他、鹿児島茶も産地ブランドとして確立してきているものの、小学校から教科書で習ってきた、お茶=静岡のイメージは、静岡県(山梨県)にある富士山が日本一なのと同じくらい日本国民の常識となっています。

湯呑 緑茶

しかし、それが2020年、常識が変わるかもしれないという局面に来ています。昨年も2019年に日本茶生産量、日本一が鹿児島県になるかもしれないという記事を書きましたが、それにも増して今年は、静岡県にとって長年続いた王座が危うい状況になっています。

 

昨年(2019年)のお茶生産量 都道府県別ランキング

j順位 都道府県 生産量(トン)
1 静岡 29500
2 鹿児島 28500
3 三重 5910
4 宮崎 3510
5 京都 2900
6 福岡 1780
7 熊本 1270
8 佐賀 1240
9 埼玉 881
10 愛知 832

出典:e-stat 作物統計(2020年6月25日公表)

1位の静岡県と2位の鹿児島県が僅差で3位の三重県と大きく差が開いている。

2020年静岡県の一番茶の生産量について

静岡新聞によると、2019年は天候不順が重なり、「記録的減産」となったそうです。2020年は、それにも増して2019年の15~20%の減産になる公算が大きいことがわかっています。今年は、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言の最中に新茶のSALEなどは出来るはずもなく、多くの茶業者が苦戦を強いられています。噂ですが、一番茶も買い手がつかず、静岡県などは、公的機関が買い支えている(本当か?)という情報もあります。6月より始まる二番茶も売れ残る可能性が高く、調整(減産)を呼び掛けているそうです。

・参考記事:静岡新聞・静岡茶一茶、初の一万トン台割れも、過去最低

2020年鹿児島県の一番茶、生産量について

鹿児島県、JA県経済連によると、一番茶の取引量は、昨年対比で96%と4%程度減少しています。(本茶は5%減少)

令和2年度取引量 令和元年度取引量 前年対比
 4659トン 4830トン 96%

※鹿児島 JA県経済連ちゃぴおん情報第8報 令和2年6月1日 より

茶市場(JA県経済連)の取引量=鹿児島茶全体の生産量 ではないものの、減産率が平均で4%と考えると、他の地域よりも減少幅が少なかったと言えるでしょう。

・ちゃぴおん JA鹿児島経済連 茶事業部

2020年一番茶 生産量減少の主な原因

生産量減少の理由は、昨年12月~今年3月までの暖冬、4月に入っての強風、気温が上がらず低かったこと、雨が少なかったことが原因で、新芽の生育が抑制されたことが主な原因でした。2019年も大幅な減産となりましたが、2020年はそれにも増して厳しい状況が続いていて、静岡県だけでなく、全国で同じく減産となっているようです。

天候不順だけでなく、農家の高齢化や後継者不足による廃業も一因としてあります。慢性的な緑茶需要の低下から、価格の下落傾向は続いていることが拍車をかけています。とりわけ2020年は、コロナウイルスの影響もあって特に価格(キロ単価)の下落が激しいものでした。

 

2019年の静岡茶と鹿児島茶の生産量を比較

2019年 県別 荒茶の生産量及び割合 農林水産省の発表

 

農林水産省の発表では、2019年の静岡県、鹿児島県の荒茶生産量の差がなんと、1500トンだったと言われています。両県とも3万トン近くの生産量があるので、5%程度の差になります。

【荒茶とは】農家が茶葉を摘んで蒸して揉んで乾燥させてもの。その後、製茶業者が荒茶を買い付け、火入れ(焙煎)や粉や茎などを選別除去し、製品として袋詰めされる

出典:農林水産統計

 

2020年予想される静岡茶と鹿児島茶の生産量

静岡県新聞の5月18日の記事をみると、静岡の一番茶は昨年比で15~20%減産という。それなら、2020年の静岡県一番茶の生産量は8000トン後半から9000トン前半になるのでは?と予想されています。ちなみに昨年(2019年)は、11000トンだったことを考えると、かなり大きな減少と言っていいでしょう。

需要の低下から、単価も5~10%落ちているので、二番茶以降も生産調整が行われ、減産が見込まれるのは仕方ないところでしょう。

そうなってくると、昨年の静岡県の年間荒茶生産量29500トンが15%減少したと想定すると25075トン10%減少で26550トンとなります。

対して、鹿児島県の昨年の荒茶生産量は2万8000トン。生産量が一番茶の減少率と同じく、5%減ったと仮定すると、26600トンの計算になります。

新型コロナウイルスの影響が今後すぐになくなることは想像しがたく、さらにはお茶が余っている状況から、現在(6月上旬)二番茶の価格の下落幅が大きいことを考えると、静岡県の荒茶生産が好転するとは、とても考えられない状況と言えます。

・関連記事:一番茶と二番茶の違い

 

追記(7/12更新):静岡茶市場の情報によると、5月末時点での静岡茶取扱量(累計)は、約940トン。昨年対比(5月末)で約19%減少。6月末時点で約1420トン。昨年対比(6月末)で24%減。大幅な生産調整もあって、さらに生産量の減少幅が大きくなっている。他産地の一例として、熊本県でも、二番茶の値段がつかず、取引会は2回のみで以降全て中止となった。

一方、鹿児島県では、JA県経済連の二番茶取引実績が、昨年対比で約26%減少。6月末時点での一番茶、二番茶合わせた累計では、14%減少という結果だった。

静岡県と鹿児島県の年間茶取扱高に6月末時点の累計減産率を掛けてみた。

※静岡茶市場や鹿児島JA県経済連の取扱量であって、静岡茶や鹿児島県全体の生産量ではありません。どのくらいの割合で減産(昨対比)しているのかを計る参考値としています。

昨年(2019年)生産量 2020年6月までの生産量 昨対比 2020年生産量予想
静岡県 29500トン 76% 22420トン
鹿児島県 28000トン 86% 24080トン

結果、1660トン鹿児島茶の生産量が上回る計算となった。ただし、鹿児島県は静岡県に比べて二番茶以降の生産量の割合が高いことから、そのまま上記のような差になるとは考えられません。さらに、三番茶も生産自粛が(鹿児島)県茶生産協会理事会などで協議されていることから、日本茶生産量一位の座は、際どい結果なるような気がします。正確な結果がわかるのは、2021年2月頃の農林水産省の発表になります。

参照データ(静岡県):静岡茶市場5月~6月取り扱い数量

参照データ(鹿児島県):鹿児島 JA県経済連 茶事業部 ちゃぴおん情報第12報、第13報

結論とまとめ

結論として、2020年、全国お茶生産量1位の座が静岡県から鹿児島県に交代する公算が高くなってきていると言えます。おそらく約100年ほど続いた、静岡県1位という、絶対的事実が変わってしまうのは、歴史、時代が変わっていくような気さえします。

昨年の減産に続く、今年の大幅な減産、茶業界にとって厳しい環境である中、この変化は、歓迎すべきことなのかどうなのかはわかりません。

ただただ、極端な減産と王座交代か?など、歴史的な年として感じます。

しかし、何か歴史的変革が起きた時こそ、新しい何かが生まれたり、好転のチャンスにもなりえます。

鹿児島県 知覧町ゆたかみどり

やぶきた(静岡県は9割)一辺倒だったこれまでのお茶の常識から、多様多品種を栽培する鹿児島県がリーダーシップを発揮し牽引することで、今後の発展のきっかけとなるかもしれません。

関連記事:やぶきた神話、なぜやぶきたばかりなのか?

 

べにふうきゆたかみどりさえみどりも品種によって成分や効能も変わることで、高機能品種茶としてテレビやメディアで紹介されたこともあります。

病気に強い、収量の多い品種が、生産量を支え、味と品質の高い品種が、茶の需要を喚起する。1位の座が鹿児島県に代わることで、このような展開につなげていく可能性は、十分に高まると期待できます。

 

筆者も茶業界の一員として、明るい未来に貢献できるように取り組んでいけたらと思っています。

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