玉露の定義
玉露(ぎょくろ)は、日本茶の中でも特に高級とされる品種の一つで、光を遮ることで育てられる独自の製法により、濃厚でまろやかな味わいが特徴です。栽培方法や製造工程が煎茶と異なり、旨味成分であるアミノ酸が豊富に含まれるため、その風味は深く、まるで甘みを感じるかのような飲み心地があります。
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玉露の製造方法
玉露の製造には、まず茶葉が約20日間ほど光を遮る被覆栽培という方法が取られます。この間、通常よりも多くの肥料が使用されるため、玉露の栽培はコストがかかるという特徴があります。肥料を多く使用することで、茶葉に豊富な栄養が行き渡り、旨味成分がさらに増すのです。このような手間のかかる工程が、玉露の深い味わいを支えています。
玉露とかぶせ茶の違い
玉露とかぶせ茶は、どちらも光を遮る「被覆栽培」で栽培されますが、その被覆期間に違いがあります。玉露は約20日間以上、しっかりと光を遮るのに対し、かぶせ茶は7〜10日間程度と短めです。このため、玉露はより深い旨味とまろやかな甘みが引き立ちますが、かぶせ茶は玉露に比べてやや軽やかで、煎茶に近い爽やかな風味が残ります。かぶせ茶は、玉露のように濃厚ではなく、バランスの取れた味わいが特徴です。
玉露の歴史、文化と魅力
玉露の歴史は江戸時代にまで遡り、京都で最初に作られたとされています。その後、日本各地で栽培が始まり、特に八女や宇治が有名な産地として知られるようになりました。玉露は日本文化の中で特別な地位を占めており、茶道の一環としても楽しまれることが多いです。また、手間暇をかけた製造工程とその独特の風味は、他の茶と一線を画す魅力を持っています。
玉露の産地
玉露は主に、京都の宇治、福岡の八女、静岡などが主要な産地として知られています。それぞれの地域で栽培される玉露は、気候や土壌の違いから風味にも個性があります。特に八女の玉露は、その品質の高さから全国的に高く評価されています。
八女の玉露:通常玉露と伝統本玉露の違い
八女の玉露には、「通常玉露」と「伝統本玉露」の2種類があります。通常玉露は、一般的な玉露と同様に、光を遮る被覆栽培法で作られますが、伝統本玉露は、さらに手間と時間をかけて、より伝統的な製法を守りながら作られます。伝統本玉露では、まず棚を作り、その上に藁をかぶせることで、自然な光の遮断が行われます。そして、茶葉は一枚一枚丁寧に手摘みで収穫されます。この伝統的な製法により、特に香り高く、より深い旨味を楽しむことができるのです。
使用される品種
玉露に使われる主な品種には、「やぶきた」「さえみどり」「おくみどり」などがあります。これらの品種は、茶葉自体の味わいや香りに個性を与え、玉露として仕上げる際の特徴を形作ります。八女では、これらの品種を使った高品質な玉露が生産されています。
玉露の価格帯
玉露はその手間と品質から、他の茶と比べて価格が高く設定されています。100gあたりの価格は一般的に3000円から1万円を超えることもあり、特に高級品や伝統本玉露はさらに高価です。
玉露の淹れ方・飲み方
一般的な淹れ方
玉露を美味しく淹れるためには、低温でじっくりと抽出することが重要です。通常、50〜60℃の温度で2〜3分かけてじっくりと淹れることで、玉露の豊かな旨味を最大限に引き出すことができます。飲む際には、少量をゆっくりと口に含み、その濃厚な味わいを楽しむのがおすすめです。
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氷出し玉露の淹れ方
氷出し玉露は、特に暑い季節におすすめの淹れ方で、氷を使ってゆっくりと茶葉から旨味を引き出します。手順は以下の通りです。
注いで楽しむ: 氷が溶けきったら、ゆっくりとお茶を注いで味わいます。氷出し玉露は、通常の淹れ方とは異なり、非常にまろやかで濃厚な甘みが楽しめます。
茶葉を用意する: 玉露の茶葉を多めに(通常の倍量程度)急須やガラスのポットに入れます。
氷を加える: 茶葉の上に氷をゆっくりと置きます。氷が溶け出すことで、茶葉の旨味がじっくりと抽出されます。
時間をかける: 氷が自然に溶けるまで待ちます。時間がかかりますが、その分、濃厚で甘みのある一杯が楽しめます。
山麓園の八女玉露
山麓園では、八女の高品質な玉露を取り扱っています。八女玉露の豊かな味わいをぜひご堪能ください。
参考文献一覧
上記の内容を参考にしていただき、玉露の魅力を存分に楽しんでいただければ幸いです。