2026年の茶の生産量はどうなる?鹿児島が日本一、静岡は巻き返しへ。日本茶の産地構造が大きく変わっています

令和3年知覧茶(新茶)茶畑 被覆 かぶせ茶 お知らせ
令和3年知覧茶(新茶)茶畑 被覆 かぶせ茶

お茶の生産量といえば、長年「静岡県が日本一」というイメージを持つ方が多いかもしれません。

しかし、近年の茶業界ではその常識が大きく変わっています。
直近の農林水産省統計では、2025年産の荒茶生産量において、鹿児島県が2年連続で全国トップとなりました。農林水産省の令和7年産茶統計では、主産県計の荒茶生産量は6万8,000トンで、前年より2%増加。鹿児島県は3万トン、静岡県は2万4,100トン、三重県は4,860トンとなっています。(農林水産省

2026年の茶の生産量は、まだ年間確定値が出ていません

まず大前提として、2026年産のお茶の年間生産量は、現時点ではまだ確定していません。
茶の生産は一番茶、二番茶、三番茶、四番茶、秋冬番茶と続くため、年の途中では年間の最終生産量を正確に判断できないからです。

そのため、2026年の茶の生産量を見る場合は、次の3つを分けて考える必要があります。

1つ目は、直近で確定している2025年産の荒茶生産量。
2つ目は、2026年一番茶・二番茶の市場状況。
3つ目は、煎茶から抹茶原料である碾茶への生産転換です。

単純に「何トン作られたか」だけを見る時代ではなく、どの茶種が増え、どの茶種が足りなくなっているのかを見ることが重要になっています。

直近確定値では、鹿児島県が茶の生産量日本一

2025年産の主産県別荒茶生産量を見ると、鹿児島県は3万トンで全体の44%、静岡県は2万4,100トンで35%、三重県は4,860トンで7%です。(農林水産省

順位産地2025年産 荒茶生産量
1位鹿児島県30,000トン
2位静岡県24,100トン
3位三重県4,860トン

鹿児島県が強い理由は、平坦な茶園が多く、機械化しやすいことです。鹿児島県は一番茶だけでなく、二番茶、三番茶、四番茶、秋冬番茶まで幅広く生産できる産地であり、三番茶以降の生産量も大きいことが特徴です。鹿児島県の公式情報でも、機械化による低コスト化や、温暖な気候を活かした幅広い茶期の生産が特徴として紹介されています。(鹿児島県公式HP

2026年は静岡の一番茶が回復傾向

一方で、2026年の一番茶を見ると、静岡県は前年より回復する可能性があります。

JA静岡経済連の令和8年一番茶情勢では、2026年は3月から5月中旬にかけて気温が平年より高く、降水もあり、生育は順調だったとされています。少なかった前年の一番茶生産量8,120トンに対して、2026年は130〜140%程度を見込むとされています。(静岡茶市場

つまり、年間生産量では鹿児島優位が続く可能性が高いものの、一番茶だけを見ると、2026年は静岡が巻き返す年になる可能性があります。

ただし、茶の生産量が増えても「煎茶が増えた」とは限らない

ここが、2026年の茶業界を見るうえで最も重要なポイントです。

近年は、世界的な抹茶人気により、煎茶から碾茶への生産転換が進んでいます。農林水産省の茶をめぐる資料でも、茶期別ではリーフ茶向けの一番茶が減少傾向にある一方、ドリンク向けの四番茶・秋冬番茶は増加傾向にあるとされています。(農林水産省

さらに、2025年の茶の輸出額は721億円となり、過去の目標を大きく上回りました。抹茶を含む粉末茶の海外需要が、茶業界全体の構造を変えつつあります。(農林水産省

つまり、荒茶生産量が増えても、それが急須で飲む煎茶として市場に出てくるとは限りません。
抹茶原料の碾茶、ドリンク原料、輸出向け原料に回る分が増えれば、国内で使いやすい煎茶や番茶の原料はむしろ不足しやすくなります。

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2026年は価格も異常な高水準

2026年は、茶の価格面でも大きな変化が起きています。

鹿児島県茶市場では、2026年一番茶の取引量が3,821トンとなり、煎茶が中心の「本茶」の平均価格は1kgあたり5,228円。前年の2,564円から2倍以上に上昇し、1975年以降で最も高い取引額と報じられています。

二番茶についても、静岡茶市場の令和8年二番茶情勢では、鹿児島茶市場の取扱数量が前年最終実績比89.5%、平均単価は180.6%とされています。つまり、数量は前年を下回る一方で、価格は大幅に上昇している状況です。(静岡茶市場

これは、単なる一時的な高騰というより、茶の需要と供給のバランスが変わったと見るべきでしょう。
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2026年の茶の生産量を見るポイント

2026年の茶の生産量は、確定統計が出るまでは断定できません。
しかし、現時点で見えている流れは明確です。

鹿児島県は、年間を通じた生産力の強さで引き続き全国トップを維持しやすい状況です。
静岡県は、2025年に落ち込んだ一番茶の回復が見込まれ、品質面でも評価が高い年になっています。
一方で、煎茶から碾茶への転換、海外向け抹茶需要、ドリンク原料の需要増により、消費者が普段飲む煎茶や番茶の価格は上がりやすくなっています。

これからのお茶選びでは、単に「静岡茶」「鹿児島茶」「八女茶」といった産地名だけでなく、
そのお茶が一番茶なのか、二番茶なのか、煎茶なのか、碾茶・抹茶原料なのかまで見ることが大切になります。

まとめ:2026年の茶業界は、生産量よりも「中身」が重要

2026年の茶の生産量は、まだ年間の確定値が出ていません。
しかし、2025年産の確定統計では鹿児島県が2年連続で荒茶生産量日本一となり、静岡県との差は広がりました。

一方で、2026年の一番茶では静岡県が回復傾向にあり、産地間の競争はさらに激しくなっています。
そして何より重要なのは、茶の生産量そのものよりも、煎茶・番茶・碾茶・抹茶原料のどこに生産が振り向けられているかです。

これからの日本茶は、「たくさん作れる産地」が強いだけではありません。
世界的な抹茶需要、国内の煎茶需要、ドリンク原料の争奪、気候変動、農家の高齢化。
これらが重なり合い、お茶の価格と供給は大きな転換期を迎えています。

2026年のお茶の生産量は、単なる統計ではなく、これから日本茶がどこへ向かうのかを示す重要な指標になりそうです。


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