日本茶の品種ガイド|味・香り・向く製法から選ぶ代表34品種

日本茶を選ぶとき、「静岡茶」「知覧茶」「八女茶」などの産地名を見る方は多いと思います。しかし、ワインやコーヒーと同じように、茶葉の品種に注目すると、味や香りの違いがさらに分かりやすくなります。

たとえば、渋味と旨味のバランスがよい「やぶきた」、鮮やかな緑色と上品な旨味を持つ「さえみどり」、牛乳に負けにくい力強さを持つ「さやまかおり」では、同じ煎茶や抹茶に加工しても仕上がりが異なります。

本記事では、山麓園が実際に取り扱ってきた品種の評価と、公的な品種資料をもとに、代表的な34品種を比較しました。詳しい解説記事がある品種には、各項目からリンクしています。

品種茶の一例、知覧茶のおくゆたか。同じ品種でも、産地、摘採時期、被覆、製造によって色や味は変わります。

最初に知っておきたい|品種・産地・お茶の種類は別のもの

区分何を表している?
品種やぶきた、さえみどり、せいめい茶の木が持つ遺伝的な特徴
産地静岡茶、知覧茶、八女茶、熊本茶茶葉が生産・加工された地域
茶種・製法煎茶、玉緑茶、釜炒り茶、碾茶、抹茶、和紅茶栽培後の加工方法や商品の種類
栽培方法露地、かぶせ、玉露、有機栽培日光の遮り方や栽培管理

「さえみどり」は品種、「知覧茶」は産地、「深蒸し茶」は製法です。そのため、知覧産のさえみどりを深蒸し茶にするといった組み合わせが成立します。

詳しく解説している品種

主要品種については、来歴、栽培特性、味わい、弱点、抹茶適性などを別記事で詳しく解説しています。

品種詳しい解説
やぶきたなぜ日本茶は「やぶきた」が多い?
さえみどり鮮やかな水色・旨味・抹茶適性を詳しく解説
あさつゆ「天然玉露」と呼ばれる理由
さやまかおり力強い香味を持つ品種の特徴
つゆひかり味・成分・将来性を深掘り
せいめい煎茶・碾茶・抹茶原料としての率直な評価

好みから選ぶ早見表

求める味・用途候補になる品種
渋味が苦手・甘味重視さえみどり、あさつゆ、さえあかり、せいめい、はるみどり
日本茶らしいバランスやぶきた、おくみどり、めいりょく
濃さ・飲み応えゆたかみどり、おくゆたか、さやまかおり
香りを楽しみたい静7132、香駿、蒼風、あさのか、ゆめわかば
抹茶・被覆茶に注目さえみどり、せいめい、つゆひかり、さえあかり、おくみどり、ごこう、さみどり、宇治ひかり
抹茶ラテ・製菓さやまかおり、ゆたかみどり、つゆひかり、品種を組み合わせたブレンド
釜炒り茶の香ばしさたかちほ、やえほ、おくみどり、やまかい
和紅茶・半発酵茶べにふうき、べにひかり、べにほまれ、みなみさやか、みなみかおり、香駿、蒼風

これは品種の一般的な傾向です。実際には、一番茶か二番茶か、被覆の有無、摘採の早さ、蒸し度、火入れ、保存状態によって印象が変わります。

代表34品種のクイック比較

品種味・香りの要点向く製法・用途抽出目安
やぶきたうま味・渋味・香りのバランスがよい、日本茶の基準となる味
爽やかな青葉香。製造や火入れで表情が大きく変わる
煎茶、深蒸し茶、玉緑茶、和紅茶、ブレンド75~85℃・60~90秒
さえみどり鮮やかな水色、上品な甘味・うま味、渋味の少ない端正な味
華やかでやさしい香り。被覆すると高級感のある覆い香
上級煎茶、深蒸し茶、玉緑茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶65~75℃・60~80秒
あさつゆ「天然玉露」と呼ばれる濃厚な甘味とうま味。渋味は少なめ
品種特有の濃い香り。好みが分かれることもある
深蒸し茶、かぶせ茶、玉緑茶、ブレンド60~70℃・60~90秒
ゆたかみどり濃厚で飲み応えがあり、被覆と深蒸しで色とコクを引き出しやすい
青葉・青菜を思わせる力強い香り
深蒸し茶、煎茶、かぶせ茶、抹茶ブレンド75~85℃・50~70秒
おくみどり濃緑色で、まろやかなうま味と落ち着いた後味
穏やかな青葉香。主張が強すぎず合組にも使いやすい
煎茶、かぶせ茶、玉露、碾茶、抹茶70~80℃・60~90秒
おくゆたか晩生品種らしい厚みとうま味。被覆茶で濃厚さを出しやすい
落ち着いた青葉香と、やわらかな甘い余韻
煎茶、深蒸し茶、玉緑茶、かぶせ茶70~80℃・60~90秒
かなやみどり旨味と渋味に厚みがあり、火入れによって香ばしさが映える
若草香。製造によって乳香やナッツ様の印象が出ることも
煎茶、深蒸し茶、火入れを生かした仕上げ茶75~85℃・約60秒
めいりょくすっきりして透明感があり、食事に合わせやすい
爽やかな青葉香
煎茶、深蒸し茶、日常茶75~85℃・約60秒
はるみどり角が少なく、甘味とうま味がやさしく続く
穏やかな新緑香
煎茶、深蒸し茶、水出し茶70~80℃・約60秒
きらり31透明感のある甘味とうま味。渋味が穏やかで品質をまとめやすい
ほのかな花香と清涼感
上級煎茶、かぶせ茶、被覆茶70~80℃・50~70秒
おおいわせ早生で、適期に摘むと甘味とうま味が豊か
新茶らしいみずみずしい香り
煎茶、深蒸し茶、早出し新茶65~75℃・60~80秒
山の息吹早生らしい明るい甘味と軽快な飲み口
新緑を思わせる爽やかな香り
煎茶、新茶、水出し茶75~80℃・50~70秒
おくひかり晩生で、コク・甘味・渋味のまとまりがよい
落ち着いた山のお茶らしい青葉香
煎茶、山間地の高級茶75~85℃・50~70秒
せいめい水色がよく、味の癖が少ない。碾茶ではうま味・苦味・渋味のバランスに期待
煎茶では穏やか。碾茶・抹茶では抹茶らしい香りを出しやすい
かぶせ茶、煎茶、碾茶、抹茶、粉末茶煎茶は70~80℃・60秒。抹茶は商品設計による
つゆひかり甘味とうま味があり、香味の癖が少なく使いやすい
爽やかで清潔感のある香り
煎茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶、ブレンド70~80℃・50~70秒
さえあかりさえみどりに近いうま味と明るい色。成分値も比較的高い
煎茶では品種香の好みが分かれるが、抹茶では欠点になりにくい
煎茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶、有機茶65~75℃・60~80秒
ごこう濃厚なうま味と甘味。被覆茶らしい厚みがある
海苔様の覆い香、蜜を思わせる香り
玉露、碾茶、抹茶60~70℃・60~90秒
さみどりまろやかで厚みのあるうま味。宇治の被覆茶を代表する品種の一つ
上質な覆い香
玉露、碾茶、抹茶60~70℃・60~90秒
宇治ひかり気品のある甘味とうま味、長い余韻
上質な覆い香と品種特有の香り
玉露、碾茶、抹茶60~70℃・60~90秒
あさのか渋味が比較的少なく、やわらかな甘味
花や果実を思わせる甘い香り
煎茶、かぶせ茶、香りを生かした仕上げ70~80℃・約60秒
静7132軽快な味わいで、香りの個性が主役
桜葉を思わせる香り。クマリンに由来する特徴香
煎茶、水出し茶、香り系商品75~85℃・40~60秒
香駿(こうしゅん)すっきりとした味で香りが立ちやすい
花、ハーブ、スパイスを思わせる複雑な香り
煎茶、萎凋香緑茶、半発酵茶、和紅茶75~85℃・40~60秒
蒼風(そうふう)軽快で、甘い余韻がある
白い花や柑橘を思わせる香り
煎茶、萎凋香緑茶、半発酵茶、和紅茶75~85℃・40~60秒
やまかい香りが立ち、後口は比較的シャープ
青葉香に独特の品種香が重なる
煎茶、釜炒り茶、香りを生かした仕上げ約80℃・約50秒
ふくみどりすっきりした甘味で、飲み飽きにくい
爽やかな青葉香と穏やかな花香
煎茶、水出し茶75~80℃・50~70秒
ゆめわかばやさしい甘味と穏やかな渋味
甘い花香。和紅茶にすると香りを生かしやすい
煎茶、萎凋香緑茶、和紅茶煎茶75~80℃、紅茶95℃
べにふうき力強く、緑茶では渋味が出やすい。紅茶では厚みがある
スパイス、樟脳、花を思わせる個性的な香り
和紅茶、半発酵茶、緑茶紅茶95℃・2分30秒~3分
べにひかり甘味があり、丸い口当たり
果実や蜂蜜を思わせる香り
和紅茶、ミルクティー95℃・約3分
べにほまれ厚みのあるボディとしっかりした渋味
マスカテル、樹脂、熟した果実を思わせる香り
和紅茶、ミルクティー95℃・約3分
みなみさやかやわらかな甘味と軽い渋味
白い花や柑橘を思わせる香り
煎茶、半発酵茶、和紅茶煎茶75~80℃、紅茶95℃
みなみかおり軽いコクと甘味
果実や花を思わせる香り
煎茶、半発酵茶、和紅茶煎茶75~80℃、紅茶95℃
さやまかおり骨格が強く、渋味とボディがある。被覆するとバランスが改善
力強い茶香。抹茶では牛乳に負けにくい
煎茶、かぶせ茶、抹茶ラテ、製菓、ブレンド80~85℃・40~60秒
たかちほすっきりした味と心地よい渋味
釜炒り製法による香ばしさが映える
釜炒り茶、玉緑茶80~90℃・40~60秒
やえほ軽快で素直な味わい
青葉香と釜香が調和しやすい
釜炒り茶、煎茶80~85℃・40~60秒

抽出目安はリーフティーを急須で淹れる場合の大まかな基準です。茶葉の細かさや蒸し度、使用量によって調整してください。抹茶・和紅茶などは、それぞれの製品に適した方法で淹れます。

主要な煎茶・緑茶品種

やぶきた

味・香り:うま味・渋味・香りのバランスがよい、日本茶の基準となる味。爽やかな青葉香。製造や火入れで表情が大きく変わる。

向いている製法・用途:煎茶、深蒸し茶、玉緑茶、和紅茶、ブレンド。抽出目安:75~85℃・60~90秒。

詳しい解説:なぜ日本茶は「やぶきた」が多い?

山麓園の見解:産地や作り手による変化が大きく、煎茶では外せない基準品種です。抹茶では色や成分を優先して別品種を選ぶ場合がありますが、伝統的な日本茶らしい香味を求めるなら有力です。

さえみどり

味・香り:鮮やかな水色、上品な甘味・うま味、渋味の少ない端正な味。華やかでやさしい香り。被覆すると高級感のある覆い香。

向いている製法・用途:上級煎茶、深蒸し茶、玉緑茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶。抽出目安:65~75℃・60~80秒。

詳しい解説:さえみどりの特徴を詳しく解説

山麓園の見解:色、水色、上品な旨味、香り、成分値の総合力が高い品種です。一方、牛乳を多く使うラテでは繊細な長所が埋もれ、価格に見合わない場合があります。

あさつゆ

味・香り:「天然玉露」と呼ばれる濃厚な甘味とうま味。渋味は少なめ。品種特有の濃い香り。好みが分かれることもある。

向いている製法・用途:深蒸し茶、かぶせ茶、玉緑茶、ブレンド。抽出目安:60~70℃・60~90秒。

鮮やかな水色をしたあさつゆ。写真は山麓園が取り扱った茶葉・ロットの一例で、すべての同品種が同じ色や形になるわけではありません。

詳しい解説:あさつゆの特徴と魅力

山麓園の見解:濃厚な甘味とうま味が魅力ですが、品種香が強く、好みが分かれることがあります。さえみどりは、あさつゆの長所をより上品にまとめた印象です。

ゆたかみどり

味・香り:濃厚で飲み応えがあり、被覆と深蒸しで色とコクを引き出しやすい。青葉・青菜を思わせる力強い香り。

向いている製法・用途:深蒸し茶、煎茶、かぶせ茶、抹茶ブレンド。抽出目安:75~85℃・50~70秒。

知覧町で生育するゆたかみどりの茶園。写真は山麓園が取り扱った茶葉・ロットの一例で、すべての同品種が同じ色や形になるわけではありません。

おくみどり

味・香り:濃緑色で、まろやかなうま味と落ち着いた後味。穏やかな青葉香。主張が強すぎず合組にも使いやすい。

向いている製法・用途:煎茶、かぶせ茶、玉露、碾茶、抹茶。抽出目安:70~80℃・60~90秒。

嬉野製の釜炒り茶・おくみどり。写真は山麓園が取り扱った茶葉・ロットの一例で、すべての同品種が同じ色や形になるわけではありません。

おくゆたか

味・香り:晩生品種らしい厚みとうま味。被覆茶で濃厚さを出しやすい。落ち着いた青葉香と、やわらかな甘い余韻。

向いている製法・用途:煎茶、深蒸し茶、玉緑茶、かぶせ茶。抽出目安:70~80℃・60~90秒。

知覧茶のおくゆたかの茶葉と水色。写真は山麓園が取り扱った茶葉・ロットの一例で、すべての同品種が同じ色や形になるわけではありません。

おくゆたかについての詳細ページ

かなやみどり

味・香り:旨味と渋味に厚みがあり、火入れによって香ばしさが映える。若草香。製造によって乳香やナッツ様の印象が出ることも。

向いている製法・用途:煎茶、深蒸し茶、火入れを生かした仕上げ茶。抽出目安:75~85℃・約60秒。

めいりょく

味・香り:すっきりして透明感があり、食事に合わせやすい。爽やかな青葉香。

向いている製法・用途:煎茶、深蒸し茶、日常茶。抽出目安:75~85℃・約60秒。

はるみどり

味・香り:角が少なく、甘味とうま味がやさしく続く。穏やかな新緑香。

向いている製法・用途:煎茶、深蒸し茶、水出し茶。抽出目安:70~80℃・約60秒。

きらり31

味・香り:透明感のある甘味とうま味。渋味が穏やかで品質をまとめやすい。ほのかな花香と清涼感。

向いている製法・用途:上級煎茶、かぶせ茶、被覆茶。抽出目安:70~80℃・50~70秒。

おおいわせ

味・香り:早生で、適期に摘むと甘味とうま味が豊か。新茶らしいみずみずしい香り。

向いている製法・用途:煎茶、深蒸し茶、早出し新茶。抽出目安:65~75℃・60~80秒。

山の息吹

味・香り:早生らしい明るい甘味と軽快な飲み口。新緑を思わせる爽やかな香り。

向いている製法・用途:煎茶、新茶、水出し茶。抽出目安:75~80℃・50~70秒。

おくひかり

味・香り:晩生で、コク・甘味・渋味のまとまりがよい。落ち着いた山のお茶らしい青葉香。

向いている製法・用途:煎茶、山間地の高級茶。抽出目安:75~85℃・50~70秒。

被覆茶・碾茶・抹茶で注目される品種

せいめい

味・香り:水色がよく、味の癖が少ない。碾茶ではうま味・苦味・渋味のバランスに期待。煎茶では穏やか。碾茶・抹茶では抹茶らしい香りを出しやすい。

向いている製法・用途:かぶせ茶、煎茶、碾茶、抹茶、粉末茶。抽出目安:煎茶は70~80℃・60秒。抹茶は商品設計による。

詳しい解説:せいめいを煎茶・碾茶で見た率直な評価

山麓園の見解:新品種で、熊本では若い茶園も多いため評価はまだ途中です。深蒸し煎茶では水色と飲みやすさ、碾茶では色・味・抹茶香に将来性を感じています。

つゆひかり

味・香り:甘味とうま味があり、香味の癖が少なく使いやすい。爽やかで清潔感のある香り。

向いている製法・用途:煎茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶、ブレンド。抽出目安:70~80℃・50~70秒。

熊本県産つゆひかりの茶葉と水色。写真は山麓園が取り扱った茶葉・ロットの一例で、すべての同品種が同じ色や形になるわけではありません。

詳しい解説:つゆひかりの特徴と今後の可能性

山麓園の見解:山麓園では、抹茶適性、比較的高い成分値、香味の癖の少なさを評価し、積極的に仕入れている品種です。

さえあかり

味・香り:さえみどりに近いうま味と明るい色。成分値も比較的高い。煎茶では品種香の好みが分かれるが、抹茶では欠点になりにくい。

向いている製法・用途:煎茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶、有機茶。抽出目安:65~75℃・60~80秒。

山麓園の見解:研究ではさえみどり並みの品質とされますが、実際の官能品質では最高級のさえみどりが上と感じる場合があります。多収・病害抵抗性・有機適性と抹茶品質の両立が大きな長所です。

ごこう

味・香り:濃厚なうま味と甘味。被覆茶らしい厚みがある。海苔様の覆い香、蜜を思わせる香り。

向いている製法・用途:玉露、碾茶、抹茶。抽出目安:60~70℃・60~90秒。

さみどり

味・香り:まろやかで厚みのあるうま味。宇治の被覆茶を代表する品種の一つ。上質な覆い香。

向いている製法・用途:玉露、碾茶、抹茶。抽出目安:60~70℃・60~90秒。

宇治ひかり

味・香り:気品のある甘味とうま味、長い余韻。上質な覆い香と品種特有の香り。

向いている製法・用途:玉露、碾茶、抹茶。抽出目安:60~70℃・60~90秒。

香りを楽しむ品種

あさのか

味・香り:渋味が比較的少なく、やわらかな甘味。花や果実を思わせる甘い香り。

向いている製法・用途:煎茶、かぶせ茶、香りを生かした仕上げ。抽出目安:70~80℃・約60秒。

静7132

味・香り:軽快な味わいで、香りの個性が主役。桜葉を思わせる香り。クマリンに由来する特徴香。

向いている製法・用途:煎茶、水出し茶、香り系商品。抽出目安:75~85℃・40~60秒。

香駿(こうしゅん)

味・香り:すっきりとした味で香りが立ちやすい。花、ハーブ、スパイスを思わせる複雑な香り。

向いている製法・用途:煎茶、萎凋香緑茶、半発酵茶、和紅茶。抽出目安:75~85℃・40~60秒。

蒼風(そうふう)

味・香り:軽快で、甘い余韻がある。白い花や柑橘を思わせる香り。

向いている製法・用途:煎茶、萎凋香緑茶、半発酵茶、和紅茶。抽出目安:75~85℃・40~60秒。

やまかい

味・香り:香りが立ち、後口は比較的シャープ。青葉香に独特の品種香が重なる。

向いている製法・用途:煎茶、釜炒り茶、香りを生かした仕上げ。抽出目安:約80℃・約50秒。

ふくみどり

味・香り:すっきりした甘味で、飲み飽きにくい。爽やかな青葉香と穏やかな花香。

向いている製法・用途:煎茶、水出し茶。抽出目安:75~80℃・50~70秒。

ゆめわかば

味・香り:やさしい甘味と穏やかな渋味。甘い花香。和紅茶にすると香りを生かしやすい。

向いている製法・用途:煎茶、萎凋香緑茶、和紅茶。抽出目安:煎茶75~80℃、紅茶95℃。

和紅茶・半発酵茶に向く品種

べにふうき

味・香り:力強く、緑茶では渋味が出やすい。紅茶では厚みがある。スパイス、樟脳、花を思わせる個性的な香り。

向いている製法・用途:和紅茶、半発酵茶、緑茶。抽出目安:紅茶95℃・2分30秒~3分。

べにふうきの茶葉。写真は山麓園が取り扱った茶葉・ロットの一例で、すべての同品種が同じ色や形になるわけではありません。

べにひかり

味・香り:甘味があり、丸い口当たり。果実や蜂蜜を思わせる香り。

向いている製法・用途:和紅茶、ミルクティー。抽出目安:95℃・約3分。

べにほまれ

味・香り:厚みのあるボディとしっかりした渋味。マスカテル、樹脂、熟した果実を思わせる香り。

向いている製法・用途:和紅茶、ミルクティー。抽出目安:95℃・約3分。

みなみさやか

味・香り:やわらかな甘味と軽い渋味。白い花や柑橘を思わせる香り。

向いている製法・用途:煎茶、半発酵茶、和紅茶。抽出目安:煎茶75~80℃、紅茶95℃。

みなみかおり

味・香り:軽いコクと甘味。果実や花を思わせる香り。

向いている製法・用途:煎茶、半発酵茶、和紅茶。抽出目安:煎茶75~80℃、紅茶95℃。

コク・ラテ・製菓で生きる力強い品種

さやまかおり

味・香り:骨格が強く、渋味とボディがある。被覆するとバランスが改善。力強い茶香。抹茶では牛乳に負けにくい。

向いている製法・用途:煎茶、かぶせ茶、抹茶ラテ、製菓、ブレンド。抽出目安:80~85℃・40~60秒。

さやまかおりの茶葉と水色。写真は山麓園が取り扱った茶葉・ロットの一例で、すべての同品種が同じ色や形になるわけではありません。

詳しい解説:さやまかおりの特徴

山麓園の見解:ストレートでは渋味が強く感じられる場合がありますが、被覆した一番茶を抹茶にすると、牛乳に負けにくい味の骨格が長所になります。

釜炒り茶・地域性のある品種

たかちほ

味・香り:すっきりした味と心地よい渋味。釜炒り製法による香ばしさが映える。

向いている製法・用途:釜炒り茶、玉緑茶。抽出目安:80~90℃・40~60秒。

やえほ

味・香り:軽快で素直な味わい。青葉香と釜香が調和しやすい。

向いている製法・用途:釜炒り茶、煎茶。抽出目安:80~85℃・40~60秒。

同じ品種でも味が大きく変わる理由

品種は味を決める重要な要素ですが、品種名だけで品質は決まりません。特に次の条件は、品種以上に大きな差を生む場合があります。

  • 茶期:一番茶は一般にうま味が多く、二番茶以降は渋味と力強さが増えやすい
  • 摘採時期:若い芽はやわらかく、摘み遅れると繊維と渋味が増える
  • 被覆:日光を遮ることで緑色とうま味を引き出し、渋味を抑える
  • 製法:浅蒸し、深蒸し、玉緑茶、釜炒り、碾茶、紅茶で同じ品種が別の表情になる
  • 火入れ:香ばしさを加える一方、繊細な品種香を弱めることもある
  • 産地・作り手:土壌、気候、施肥、樹齢、製造技術によって品質が変わる
  • 保存:酸素、湿気、高温、光により、色と香りは低下する

品種の説明は、購入候補を絞るための地図のようなものです。最終的には、実際の商品の茶期、栽培、製法、価格まで確認する必要があります。

品種茶を初めて選ぶときのコツ

  1. 普段好きな味から選ぶ:甘味、渋味、香り、コクのどれを重視するか考える
  2. 一番茶を選ぶ:品種本来の上品な特徴を確認しやすい
  3. 同じ製法で比較する:深蒸しと浅蒸しを比べるより、同じ条件の品種違いを比べる
  4. 最初は低めの温度から:渋味が出すぎるのを防ぎ、うま味と香りを確認する
  5. 品種名だけで高級と判断しない:同じ品種でも品質と価格には幅がある

抹茶では「品種の長所」と「用途」を合わせる

抹茶では、色が鮮やかで渋味が少ない品種が常に最良とは限りません。薄茶として飲む場合と、牛乳・砂糖を加えるラテ、焼菓子では必要な特徴が違います。

用途重視したい特徴候補例
薄茶・ストレート上品な香り、うま味、低い渋味、きれいな余韻さえみどり、せいめい、つゆひかり、さえあかり、おくみどり
抹茶ラテ牛乳に負けない香りと味の骨格、色、適度な渋味さやまかおり、ゆたかみどり、つゆひかり、目的別ブレンド
製菓加熱や糖分の中でも残る香り、色、費用対効果力強い品種、二番茶を含む業務用ブレンド
有機抹茶病害抵抗性、収量、被覆適性、認証と実際の品質さえあかり、せいめいなど

詳しい抹茶品種の比較は、英語の海外バイヤー向けページにもまとめています。

English: Japanese Matcha Cultivars—Flavor, Color, Umami and Best Uses

まとめ|品種を知ると、日本茶選びはもっと面白くなる

日本茶の味は、産地や製法だけでなく、茶の木の品種によっても変わります。

  • 日本茶の基準となるバランス型なら「やぶきた」
  • 鮮やかな緑色と上品なうま味なら「さえみどり」
  • 濃厚な甘味と個性なら「あさつゆ」
  • 抹茶原料としての使いやすさなら「つゆひかり」
  • 新品種と抹茶の将来性なら「せいめい」
  • 有機栽培と品質の両立なら「さえあかり」
  • ラテや製菓に必要な力強さなら「さやまかおり」
  • 花や果実の香りなら「香駿」「蒼風」「静7132」など

ただし、品種は商品の品質を保証する名称ではありません。茶期、栽培、製造、保存まで含めて選ぶことが、品種本来の魅力を楽しむ近道です。


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主な参考資料

執筆・監修:株式会社山麓園 代表取締役 甲斐宣史。品種の官能評価には、山麓園がこれまで取り扱い、比較した茶葉・ロットに基づく見解が含まれます。すべての産地・生産者・商品に同じ味や品質を保証するものではありません。

お茶の山麓園