まだ、本格的な治療や薬は飲んではいないものの、自分で何とかしたい。けれども、どうしたらいいのかわからない…。そんな方も多いと思います。
まずは、高血糖とはどういった状態なのか?誰でも出来る、血糖値を緩やかにしてくれる飲み物(食品)を紹介いたします。
日本糖尿病学会によると、空腹時の血糖値が126mg/dL以上、または75gの糖(グルコース)を摂取し、2時間後の血糖値が200mg/dL以上の場合、もしくは血中の糖化したヘモグロビンの割合の指標である「ヘモグロビンA1c」が6.5%超えると、糖尿病と診断されます。
糖が高くなることによって、網膜の毛細血管が傷つき、出血したり、ひどくなると網膜剥離を起こし、失明してしまうこともあります。糖が高い方は、眼科で定期的に検査をした方が良いでしょう。
高血糖による、腎臓の毛細血管が傷つくことによって、腎機能が低下していきます。尿検査でたんぱく質が出ているようだったら、要注意!!!放っておくと、最終的に腎機能がほぼ停止し、人工透析が必要になります。
糖尿病神経障害は、高血糖により、血管が傷ついたり、動脈硬化を起こすことで、神経に血液や栄養が不足することで起こります。神経には、痛みや暑さなどを感じる「感覚神経」、筋肉を動かす「運動神経」、臓器の活動・血圧などを正常に保つ「自律神経」などがあり、これらに異常をもたらします。
- 足の先がしびれたような不快な感じ(たいてい左右の両足に起こる)
- 足が冷える。または反対に熱くなり、寝るときに布団から足を出して寝る
- 手や足の感覚が鈍る。ただし、鈍っていることに自分では気付かないことが多い
- 足の裏に紙が貼りついているような感じや、皮膚に虫が這っているような感じがする
- 神経痛が起こる(坐骨神経痛、腕や手の神経痛、肋間神経痛など)
出典:日本臨床内科医会より
血液中の余った糖が、たんぱく質と結合し、糖化が進みます。糖化は、皮膚や骨のコラーゲンを脆くし、肌の弛みやシミの原因となり、骨折しやすくなるなどのほか、細胞の機能を低下させることから、老化の原因とされています。
・関連記事:酸化と糖化が老化の原因。
2型糖尿病の方は、インスリン(インシュリン)が効かなくなることで食後に血糖値が高いままの状態になります。対応策として、食後血糖値が上がるタイミングで軽い運動をします。そうすると、血液中の糖が直接筋肉に取り込まれて利用されるため、インスリンを使わずに血糖値の上昇を抑えることができます。
ニュージーランド、オタゴ大学の研究では、食後10分のウォーキングを朝食、昼食、夕食後に行うと、時間を決めずに毎日30分歩く人に比べ、食後血糖値が12%(夕食後なら22%)下がるという結果でした。血糖値の急上昇は血管に重い負担となるため、食後の軽い運動は非常に効果的と言えます。
テレビや様々なメディアでも食後30分がゴールデンタイムで、軽い運動を推奨しています。軽く歩くか、立っているだけでも良いそうです。
まずは、甘いもの、デザートは出来るだけ食べないようにする。甘いフルーツも避け、食べるならば、GI値の低めのものにしましょう。白米、小麦、芋類などの穀物も摂取量を減らすか、玄米、全粒粉など、精製されていないものを選ぶだけでずいぶんと違いが出てきます。糖質の高い食品を食べる場合は、一気にそれだけを食べるのではなく、野菜やたんぱく質と一緒に食べると血糖値の上がり方が緩やかになります。
GI値というのを参考にすると良いでしょう。
食酢は、糖の吸収を抑制し、消化時間を延ばすことで、血糖値の急上昇を防ぐことが知られています。研究では、10mlと20mlの試験を行い、20mlの方が効果が高い結果でした。多く飲む、または、料理に使用することで血糖値の上昇を抑制できます。
食後血糖が高い方必見、血糖値が上がりやすい人ほど、酢の高血糖抑制効果は高くなる傾向にあるそうです。お米を食べた45分後に最も血糖値が高くなりますが、食酢を20ml一緒に飲んだ場合、32mg/dL下がったそうです。60分後には、36mg/dLも酢を飲まない時と比べて下がる結果でした。
補足:食後血糖値が上がりにくい方は、この値よりも効果は下がります。
酢が飲むのが苦手な方は、料理に使用すると良いでしょう。飲む場合と酢飯にして食べた場合は、どちらも総合的には30%ほど血糖値が下がります。
しかしながら、食酢を飲む場合は、酢飯の場合と比べ血糖値の抑制効果のタイミングが早まるので、食前に飲む方が効果が上がります。
砂糖や蜂蜜の入っていない品を選びましょう。入っている物を選ぶと、酢の抑制効果と砂糖や蜂蜜の上昇効果がほぼ同じで効果がゼロになります。人工甘味料を使ったものも、効果があまりないことがわかっています。
牛乳のたんぱく質が、消化を遅らせ食後の血糖値を下げる効果があることを、カナダのグエルフ大学とトロント大学の共同研究でわかりました。さらに、朝食に牛乳を飲むと満腹感が続き、空腹感が減ることで昼食を食べる量が減る効果もあると報告されています。もちろん、食べる量が減ると血糖値の上昇を抑制するだけでなく、ダイエット効果も期待できます。
牛乳のたんぱく質には、主にホエイプロテインとカゼインの2種類があり、先にホエイプロテインが消化され、時間が経ってからカゼインが消化されます。その間、胃を刺激して消化を遅らせるホルモンを分泌し、血糖値の上昇を抑えて、満腹感が持続します。
牛乳を飲んでも特に問題ない人が多いと思いますが、中にはお腹が痛くなる人もいます。そういう方は、控えた方が良いでしょう。牛乳に含まれる乳糖をうまく消化できない人(乳糖不耐症)や牛乳に対する食物アレルギーが考えられます。
参照記事:乳糖不耐症とは?
また、カゼインはエストロゲンに似ているため、女性のホルモンバランスを崩す可能性もあるという報告や、牛乳には女性ホルモンが多く含まれているため、体調が悪くなる人もいるという報告があります。女性ホルモンについては、子供の発達に影響があるという報告と影響ないという意見の双方があります。
参考記事:牛乳が人の体や環境に悪影響を及ぼす?
飲みすぎにも気をつけましょう。消化を遅くするということは、消化に負担がかかるという反面も。また、カルシウムも多く含むため、マグネシウムも摂取する必要性も出てきます。バランスが悪いと心疾患のリスクが高まるとも言われています。
関連記事:高血圧の方が摂るべき食べ物、飲み物 カルシウムとマグネシウムのバランスについて
コーヒーを毎日日常的に飲むと、血糖値が下がると言われています。カフェインとコーヒーのポリフェノールである「クロロゲン酸」やストレスを緩和させる作用が関わっていると考えられていますが、どのようなメカニズムなのかは、まだはっきりとわかっていません。
そのため、統計的な調査結果を見てみましょう。
10年間、40~69歳の男女約5万6千人の方々を追跡した調査(コーホート研究)では、男女ともにコーヒーをたくさん飲む人ほど糖尿病の発症リスクは下がる傾向は明らかと言えます。
特に一日に6杯以上飲む女性は、60%(男性は18%)も糖尿病のリスクが下がっています。
※図1を見ると、コーヒーを1日3~4杯までは、多く飲むほど、全死亡リスクは低下しますが、5杯以上飲むと、3~4杯に比べ、リスクが上昇します。
※図1、及び図2、国立がんセンター「コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」より
図2死因別リスクでも、一日3~4杯が最も死亡率が低く、5杯以上は逆に高くなる傾向にあります。
まとめると、コーヒーはたくさん飲むほど、血糖値を下げるという結果ですが、他の死亡リスクが高くなってしまうので、1日3~4杯までにとどめておいた方が無難でしょう。
また、カフェインについてもWHOの基準では一日400mgまでを推奨しています。コーヒー1杯150mlで60~90mgのカフェインが含まれるそうなので、カフェインに関しても最大で3~4杯までにした方が良いでしょう。コーヒーの他にも緑茶や紅茶、エナジードリンクなどにも含まれるので、コーヒー以外のカフェイン飲料を飲まれる方は、少し控えましょう。
参考記事:コーヒーとカフェインについて
・コーヒーは、アドレナリンの分泌を促すため、飲むと短期的には血糖値が上がります。
砂糖は控えましょう。砂糖+アドレナリンで血糖値が急上昇し、血管にダメージを与えることになりかねません。コーヒーフレッシュ、ミルクも出来るだけ入れない方が無難です。ちなみに、コーヒーフレッシュは、ミルクではなく、そのままでは混ざらない水と油に乳化剤を加えたものです。
糖尿病や血糖値の高い方に今人気なのが、注目の成分「イヌリン」。
菊芋は、イヌリン含有量が約20%と他の食品(ごぼうやたまねぎ)と比べて断トツに多いのです。芋類ですが、ジャガイモやサツマイモと違い、血糖値を上げてしまう「でんぷん」をほとんど含まないのもお勧めの理由。
菊芋に含まれる「イヌリン」は、食後血糖値の上昇を抑制することがわかっています。さらに、イヌリンは、特保や機能性表示食品でおなじみの「難消化性デキストリン」と同じく、水溶性食物繊維ですが、100%腸内細菌のエサとなって、善玉菌のビフィズス菌などを増やし、腸内フローラを健康な状態にするのに役立ってくれます。ちなみに、難消化デキストリンは50%、寒天などの食物繊維は25%しか腸内細菌に利用されません。
①イヌリンが他の食べ物の糖質の吸収を緩やかにすることで血糖値の上昇を防ぎます。
②イヌリンは、他の食物繊維と違い、100%腸内細菌のエサとなり、血糖値調整ホルモン(GLP-1)に作用して、インスリンの分泌を促します。逆に脂肪組織では、分泌を抑制します。
③適切なインスリンの促進と抑制により、インスリンの感受性を良くすることで、インスリンの効果を上げます。
④血糖値だけでなく、中性脂肪を下げたり、糖尿病の指標とされるヘモグロビンA1cの数値も低下すると報告があります。
イヌリンは、糖尿病の方に有効な食事療法として非常に期待されます。
サプリでイヌリンパウダーも売っていますが、それらは砂糖から化学合成したものや、タイなど海外から輸入した原料を使用しているものがほとんど。
できれば、国産で天然の原料である菊芋を利用するのがベスト。菊芋は、生のものや、ティーパックのお茶、パウダー、チップスなどが販売されています。自分の食生活に合った品をチョイスすると良いでしょう。
出典:Wikipedia
参考記事:腸内環境を整える!今話題の「イヌリン」の効果や摂取方法を医師が解説
日本人にとって最も身近な飲み物のひとつ、日本茶。実は、緑茶には食後の血糖値上昇を緩やかにし、糖尿病を予防する効果があります。
1.緑茶のエピガロカテキンガレートが消化酵素の働きを弱め糖の吸収を抑える
2.お茶はインスリン感受性を増大させ、血糖値を下げる
3.お茶は、すい臓を保護してインスリンの分泌を促進
4.お茶のカテキンは、「糖新生」を抑制し、体内で糖を造るのを減らす
5.水出しなど、ポリサッカライド(ポリサッカロイド)も血糖値を下げる
・ポリサッカライドは、菊芋のイヌリンと同じ多糖類で、似た作用が期待できます。
抹茶パンと抹茶が入っていない普通のパン(抹茶以外の成分は同じ)を食べたところ、食後ピーク時の血糖値が15%下がり、血糖値の上がり方が緩やかになったそうです。
ちなみに、緑茶と似た作用(消化酵素阻害)のあるグァバ茶というものがあります。こちらは、試験で糖尿病の患者さんにグァバ茶を飲んでもらい、食後血糖を測定したところ、10.5%低下したそうです。とはいえ、緑茶の方が簡単に入手できるので、どちらかというと緑茶の方がおすすめです。
・PRACTICE Vol.21 No.4 2004 445-448
日本人17413人のコーホート研究(追跡調査)では、一日6杯以上緑茶を飲むと、ほとんど飲まない人に比べ、33%糖尿病の発症リスクが減ったとの結果が発表されています。
緑茶は、飲むだけで大きく血糖値を下げてくれますが、それでだけでなく、高血圧、動脈硬化、認知症予防、抗酸化防止(老化防止)、テアニンのリラックス効果、抗がん作用他、様々な効果があります。
全死亡リスクなら、男性で13%、女性で17%減少するという報告もあります。最も身近な飲み物ながら、これだけの大きなメリットがあるのは、本当にすごい!ということで、血糖値を下げる飲み物ランキング1位にしました。
コーヒーよりも少ないですが、緑茶にも100mlあたり20mg程度のカフェインが含まれます。カフェインには、前述の通り、メリットとでデメリットがあります。しかしながら、緑茶の旨味成分である「テアニン」はカフェインの興奮作用を緩和してくれるので、夜眠れなくなるなどの心配はあまりないと言われています。気になる方は、60℃以下でお茶を抽出するとカフェインの量が少なく、テアニンの割合が大きくなります。
ペットボトルのお茶は少し注意が必要
急須で出すお茶に比べて、ペットボトルのお茶は「カテキン」や「テアニン」などの成分が低くなっています。カテキンを添加された高濃度カテキンのお茶を飲む際も、気をつけた方が良い一面もあります。
あまり利用しない方も多いけれど、大麦やもち麦は、血糖値を緩やかにしてくれる食品として非常に優秀です。これらには、食物繊維が他の穀物よりも豊富で、特に水溶性食物繊維のβグルカンが豊富に含まれています。特にもち麦は、βグルカンが大麦よりも多く含まれています。前述の菊芋のイヌリンのように、水溶性の食物繊維は、糖の吸収を遅らせることで血糖値の上昇を緩やかにします。
研究でも白米と麦ごはんを食べた場合の食後血糖を調べると、大幅に血糖値が下がっていることが確認されています。
他にエピソードとして、日本の刑務所で糖尿病で薬の服用が必要だった方が、(食べる量に違いがないのに)何人も糖尿病が改善され、なんと約半数の方が薬を飲まなくても良いほどに改善したとの報告があります。驚くべき結果です。刑務所では、麦ごはんを日々食べていたことがその理由と考えられています。
麦ごはんや雑穀米などは、身体によいと勧められても、実際に食べ続けれ方は(割合的に)少ないので、大麦やもち麦を番外編としましたが、本気で食生活をを見直したい方におすすめします。
最近では、楽天で大麦パンなども売っているお店があるのをニュースで見ました。試していないので、味の方は分かりませんが、気になる方はページを見てみても良いかもしれません。
もち麦もスーパーや健康食品店、通販等で買えます。種類が色々とありますが、中でも研究で使用されたβグルカンが最も多いと言われる「キラリもち」がおすすめです。
桑の葉茶は、桑の木の葉を乾燥させて作られるお茶で、古くから健康維持のために親しまれてきました。桑の葉はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、その栄養価の高さから健康茶として注目されています。
桑の葉には、糖の吸収を抑える効果があるとされる成分が含まれており、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待されています。このため、糖尿病予防や血糖値の管理に役立つとされています【参考文献1】。
いかがでしたか? 日本に糖尿病の方は1000万人、糖尿病予備軍と言われている方も1000万人、合計すると2000万人も血糖値にお悩みの方がいます。(糖尿病情報センター)
糖尿病になってしまうと、血糖値が上がりやすい体質になってしまい、なかなか正常な状態にはならないと言われていますが、予備軍と言われた方々は、まだ間に合います。
食生活を気をつけて、食後の運動、そして、自分に合った血糖値を下げてくれる飲み物を積極的に摂っていきましょう。(注意点で解説した通り、ものによっては飲みすぎに注意した方がいいものもあります。)
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お茶の魅力、健康効果などについて情報を発信。楽天やヤフーショッピングの店長としても活躍中。食前にサラダを山盛り、高温調理の食品は避け、米は玄米と決めていて健康オタクでもあります。 |