もくじ
ビタミンA、ビタミンEは、油に溶ける脂溶性ビタミン。ビタミンCは、水溶性のビタミンです。それぞれ非常に強力な抗酸化ビタミンとして知られています。それらのビタミンが、血管の中でどのような役に立ってくれているのでしょうか?
動脈硬化のメカニズムは、ストレスや様々な原因で発生する活性酸素によって、血液中の悪玉ともいわれるLDLコレステロールが酸化し、それ(酸化LDL)を免疫細胞がどんどん食べて、プラーク(ゴミ)となって血管壁に堆積します。つまり、血管が狭くなる。これが、動脈硬化の主な原因です。
・参考記事:動脈硬化はどの様にして起きる?
LDLは、悪玉コレステロールとなんとも体に悪そうな名前がついていますが、LDL自体は、悪玉でも悪者でもなく、脂溶性の栄養を全身に届けるという、身体にとって大切な働きがあります。脂肪、ただの油の状態では、血液中を流れることはできないため、脂肪とたんぱく質が結合し、脂肪、脂溶性成分を体中に運搬することができるようになっています。大切な役割があるので、単に減らせばよい、というわけではありません。LDLコレステロールが低い人は、肝臓病他、総死亡率が何倍も高くなり、薬で意図的に減らすのは、かえって危険な場合もあるので注意する必要があります。
血清総コレステロールと循環器疾患死亡との関連性
肝臓病などは、総コレステロール値が高いほど死亡率が低いとの報告もあり、コレステロールが高いと一概に不健康というわけでもなさそうです。
脂質異常症診断基準(空腹時採血)*
LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症 120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症** HDLコレステロール 40 mg/dL未満 低HDLコレステロール血症 トリグリセライド 150 mg/dL以上 高トリグリセライド血症 Non- HDLコレステロール 170 mg/dL以上 高non- HDLコレステロール血症 150~169 mg/dL 境界域高non- HDLコレステロール血症**
(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」2017年版より)
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017では、140mg/dL以上で「高LDLコレステロール血症」に分類されますが、デンマークの大規模なコーホート研究(追跡統計調査)では、140mg/dLが最も死亡リスクが低くなるとされています。
様々な議論があり、国や人種によってガイドラインも違ってくるので、一概にLDL値が高めだからダメだとか、低いから安全だとかそういう基準は判断できない面もあると思います。
コレステロールの約70~80%は肝臓で造られていると言います。仮にコレステロールの低い食生活に変えると、身体がその分多くコレステロールを多く造ってしまうので、食事でコレステロール値のコントロールはなかなか難しいと言われています。
結局のところ、酸化LDL(過酸化脂質)が増えなければ、動脈硬化は進行しないということなので、コレステロール値の高い低いよりも、LDLの酸化を防ぐにはどうしたらよいか?ということを考えるべきでしょう。
ストレスなど、様々な要因により活性酸素が発生します。体には、活性酸素から身を守る抗酸化酵素がありますが、ストレスや紫外線、過度な運動や炎症などにより、活性酸素が多く発生することがあります。抗酸化酵素で十分に除去できなかった活性酸素に晒されると、細胞や脂質は酸化してしまいます。
・活性酸素について詳しい記事:厚生労働省 活性酸素と酸化ストレス
βカロテンとビタミンEには、強力な抗酸化作用があります。ビタミンCは、人が最も多く摂取するビタミンなので、量的に強力な抗酸化力を発揮します。
しかし、ただそれだけではありません。
LDLは、栄養を体に届ける働きと言いましたが、脂質なので、脂溶性のビタミンも溶け込んでいます。そう、LDLコレステロールが活性酸素に晒されても、コレステロールの中に溶け込んでいるβカロテンやビタミンEが身代わりとなって酸化し、酸化LDL(過酸化脂質)になるのを直接ブロックしてくれる、とても有効なビタミンです。
また、例え、ビタミンEが、活性酸素に晒されたコレステロールの身代わりになって酸化しても、今度はビタミンCがビタミンEの身代わりになって酸化を還元します。元に戻った脂溶性のビタミンは再度コレステロールが過酸化脂質になるのを防いでくれるのです。ビタミンA、ビタミンEとビタミンCは同時に摂った方が効果的と言われるのは、このためです。
βカロテンは、カロテノイドの一種で、プロビタミンとも呼ばれ、緑黄色野菜に多く含まれます。体の中で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは、脂溶性のビタミンで主に肝臓に貯蔵されます。そのため、豚レバーや鶏レバーなどの動物性食品に多く含まれます。
ビタミンA自体は、植物にはほとんどふくまれませんが、カロテノイド中でも、βカロテンが最も効率よくビタミンAに変換され、強力な抗酸化作用を発揮します。肌や粘膜を正常に保ち、目の健康に役立ちます。
ビタミンEは、コレステロールだけでなく、主に細胞膜と呼ばれる、細胞の外側の部分に多く存在します。同じく、活性酸素からの攻撃を細胞膜で食い止めることが出来る「バリア機能」で細胞内部のダメージを防ぐことができます。そのため、若返りビタミンとも呼ばれます。
その他、血管を拡張して血行を促進、血栓や血液の凝固を防ぎ、免疫力をアップさせるなどの働きがあります。
ビタミンEは、トコフェロール、トコトリエノール他8種類に分類され、α-トコフェロールが最も生体作用が高いとされています。トコフェロールとは、ギリシア語で子供を産む力を与えるという意味で、元々は抗不妊因子の成分として発見されました。
国民健康・栄養調査によると、ビタミンEの日本人の平均摂取量は 6.7mg(男性7.0mg 女性6.5mg)となっています。
一方で推奨量(アメリカ)は、14歳以上で15㎎となっています。推奨量に達するには、あと2倍超の摂取を目指した方がよさそうです。
表1:ビタミンE(α‐トコフェロール)の推奨栄養所要量(RDA) 年齢 男性 女性 妊婦 授乳婦 生後0~6カ月 4mg 4mg 生後7~12カ月* 5mg 5mg 1~3歳 6mg 6mg 4~8歳 7mg 7mg 9~13歳 11mg 11mg 14歳以上 15mg 15mg 15mg 19mg *適正摂取量(AI)Institute of Medicine. Food and Nutrition Board.
ビタミンEの多い食材のランキングです。
α-トコフェロール : 含有量Top 10 順位 食品名 成分量
100gあたりmg1 し好飲料類/<茶類>/(緑茶類)/せん茶/茶 64.9 2 油脂類/(植物油脂類)/ひまわり油/ハイリノール 38.7 2 油脂類/(植物油脂類)/ひまわり油/ミッドオレイック 38.7 2 油脂類/(植物油脂類)/ひまわり油/ハイオレイック 38.7 5 種実類/アーモンド/乾 30.3 6 野菜類/とうがらし/果実/乾 29.8 7 種実類/アーモンド/いり/無塩 28.8 8 油脂類/(植物油脂類)/綿実油 28.3 8 穀類/こむぎ/[その他]/小麦はいが 28.3 10 し好飲料類/<茶類>/(緑茶類)/抹茶/茶 28.1
・出典:文部科学省 食品成分データベース
なんと1位は、煎茶でした。驚くことに100g中、ビタミンEが64.9mg含まれます。その次は、ひまわりオイルで38.7mg、アーモンドも30.3mgと多いです。
煎茶の茶葉中にビタミンEは多く含まれますが、脂溶性でお湯や水には溶けないので、急須で出すお茶には、ほとんど含まれません。ですので粉末茶がオススメです。
粉末茶とは?
煎茶などの茶葉を石臼やミルなどで挽いて、粉末状にした茶葉です。抹茶との違いは、原料が碾茶か煎茶かの違いです。
・関連記事:お茶の種類について詳しい説明
実際のところ、どれくらいの効果があるのか?
Motoyamaら18)は,冠攣縮性狭心症の患者を対象にして,VE[dl-Į-Toc ace, 300 IU/日,4週間]投与による内皮細胞依存性血管弛緩作用を評価し,VE投与群で有意に血管が弛緩されたことを報告している.
ビタミンC : 含有量Top 10 順位 食品名 成分量
100gあたりmg1 果実類/アセロラ/酸味種/生 1700 2 し好飲料類/<その他>/青汁/ケール 1100 3 調味料及び香辛料類/<香辛料類>/パセリ/乾 820 4 果実類/アセロラ/甘味種/生 800 5 し好飲料類/<茶類>/(緑茶類)/せん茶/茶 260
茶のビタミンC成分量も5位。ビタミンEと同時にたくさん摂れるので、相乗効果を期待
できます。ビタミンEのサプリもありますが、天然のものでなければ(合成されたもの)効果はほとんどないそうです。また、一日分で300mgほどあったりしますが、大量に摂っても効果は上がらないそうです。
さらにカテキンにも強力な動脈硬化予防効果があります。さらに、緑茶カテキン類300mgを一日2回摂取した実験では、摂取後にLDLが酸化されにくくなったとの報告や、血中のβカロテン濃度を上昇させる効果もあるそうです。
・関連記事:お茶のカテキンは、血管老化や動脈硬化を予防!
粉末茶の品質にもよりますが、小さじ1杯で1.7g程度になります。上質なものほど、重みがあります。500mlのペットボトルなどに小さじ1杯分入れ、シャカシャカとシェイクします。これで出来上がりですが、沈殿しやすいので、毎回飲む前に軽く振った方が良いでしょう。
飲むだけでなく、お菓子や料理の材料として使用するのも一つの方法です。
LDLが活性酸素により酸化されてしまうことが、動脈硬化の原因でした。
抗酸化能力の高い「ビタミンE」がLDLコレステロールに溶け込んでいることで、活性酸素による酸化反応から過酸化脂質になるのを防いでくれます。さらにビタミンCやβカロテンを同時に摂ることで、相乗効果があります。
そこで、最もビタミンEの含有量が多く、ビタミンC、βカロテン含有量がトップクラスでこれらを一度にたくさん摂取できる食品は「緑茶」だったのです。
緑茶をお茶として抽出して飲んでも、脂溶性のβカロテンやビタミンEはほとんど摂取できません。可能な限り、粉末茶を飲みましょう。粉末茶がない場合、抹茶でも良いです。
今回は、動脈硬化について書きましたが、お茶は他にもたくさんの健康効果があります。例えば、粉末茶を飲めば、ビタミンKも摂取でき、骨粗鬆症の予防にもなります。
粉末茶は、健康のメリットが大きいので、是非続けて飲んでいただきたいものです。
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