「健康診断の空腹時血糖は正常。でも食後だけグンと上がる」――それが血糖値スパイク(食後高血糖)です。放っておくと血管にダメージを与え、将来の動脈硬化リスクを高める可能性があります。本記事では、仕組み・見分け方・今すぐできる対策まで、エビデンスに基づいてやさしく解説します。
食後1〜2時間に血糖値が急上昇し、時間が経つと下がる“尖った山(スパイク)”のような挙動を指します。食後以外は正常域に収まるため、健診の空腹時採血では見逃されがちなのが特徴です。
空腹時は正常でも、食後だけ高いことがあります。次の検査・指標を組み合わせて評価しましょう。
過去2〜3か月の平均血糖を反映。便利ですが、ピークの鋭さは反映が弱め。貧血などで値がブレることもあります。
飲糖後1時間・2時間の血糖を測定し、食後の反応を評価。空腹時が正常でも、2時間値が高いケースが見つかります。
家庭用自己測定やCGMで食事開始後1〜2時間のピークを確認。一般的な目安として食後180mg/dL未満を目標にする指針が用いられます(個別化が必要)。
薬が必要かは医師と相談が前提。そのうえで、生活習慣の工夫だけでも食後の上がり方は変えられます。
食後すぐに10分程度のウォーキング。その場足踏みや家事でもOK。筋肉に糖を取り込ませることで、ピークの高さを抑える効果が期待できます。
ベジファーストで食物繊維を先に入れ、主食(炭水化物)は最後に。糖の吸収がゆっくりになり、食後の急上昇をやわらげます。
食事と一緒に小さじ1〜2の酢を取り入れると、食後の血糖反応が穏やかになる報告があります。
※胃腸疾患や腎疾患・薬剤服用中の方は、医療者へ事前相談を。
睡眠不足や慢性ストレスはインスリン抵抗性を悪化させます。まずは睡眠時間の確保・就寝前の光とカフェイン調整から。中期的には体重・腹囲の管理が効いてきます。
食事内容を少し意識するだけでも、血糖値スパイクは抑えられます。特に、食物繊維・ポリフェノール・タンパク質を含む食品は、糖の吸収をゆるやかにする効果が報告されています。
水溶性食物繊維は、糖を包み込み吸収速度を下げる働きがあります。特にあずき茶や黒豆茶には、これらの成分が自然な形で含まれています。香ばしい風味を楽しみながら、無理なく続けられるのが魅力です。
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ポリフェノールは、血糖値の上昇を緩やかにする可能性がある抗酸化成分です。
代表的なものには、緑茶のカテキン、桑の葉のDNJ(デオキシノジリマイシン)、黒豆のアントシアニンなどがあります。
これらは糖の吸収をブロックする・インスリン感受性を改善するなどの働きが研究されています。
中でも桑の葉茶は、糖の吸収を抑える作用を持つDNJが豊富で、食後血糖値の上昇を穏やかにすることが報告されています(※参考:日本補完代替医療学会誌 2009年)。
糖質だけの食事は血糖が急上昇します。
魚・卵・豆腐などのタンパク質を一緒に摂ることで、胃の中の滞在時間が延び、糖の吸収がゆるやかになります。
このように、毎日の食卓に「血糖を上がりにくくする素材」を少しずつ取り入れることで、薬に頼らない食後血糖コントロールが可能になります。
参考文献(主要・一次情報)
免責事項:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代替にはなりません。持病・服薬中の方、妊娠中の方は生活改善を始める前に必ず医療専門職にご相談ください。