お茶の農薬はどうなっている?海外と比べて本当に緩い?安全性や流通、検査体制などを解説

お茶の農薬はどのくらい使用されていますか?

という質問がありましたので、お茶の農薬について詳しく解説いたします。

茶畑で農薬を散布する様子

 

 

農薬散布の管理

農薬の散布については、生産農家さんが行いますので、基本的には農家さんが記録しています。 生産量が多い鹿児島茶では、毎回(公社)鹿児島県茶業会議所に生産履歴報告書を提出することになっています。

農薬の散布については、生産履歴報告書の栽培記録(防除)に記録されます。

具体的な報告内容は、出荷番号、生産者名、圃場番号、品種名、前回摘採日、今回摘採日などの情報と、散布日、農薬番号、薬剤名、希釈倍数を記入します。

※圃場番号とは、畑の区画のことです。お茶とは面白いもので、同じ日に同じ品種を摘んだとしても、品質に大きな差がある場合もあります。

つまり、どこの畑で、誰が、いつ、どのような農薬をどのくらいの濃度で散布したかがわかる報告書になっています。質問の「農薬はどのくらい使用していますか?」というのは、どのくらいの量か?という意図でしょう。農薬の使用方法は、農薬の種類別、作物ごとに決められています。単純な農薬の量ということよりも肝心な情報というのは、単純に農薬の使用量ではなく、摘採日のどれくらい前に、どんな農薬を、どれくらい希釈して使用、何回散布したかということが重要です。生産履歴報告書

 

 

 

 

 

生産履歴報告書の書式(様式2)

・一般社団法人 鹿児島県茶生産協会より

 

生産履歴開示について

お茶の流通は、地域によって様々です。宇治茶の市場では、農家が出荷する際に生産履歴を添付しているようです。生産量の多い地域では、同じやり方だと事務作業の負担が大きいことから、生産履歴が必要な場合は、開示請求を行う制度になっているようです。鹿児島県の市場(JA経済連 入札取引)を通した場合、生産履歴開示請求を茶商(ちゃしょう)が行う必要があります。

茶商とは

市場で取引ができる指定の茶問屋のことで、鹿児島県には、29社くらいあります。茶商(指定業者)以外に取引はできないので、例え静岡県の大手さんでも鹿児島県の市場(入札会)に参加はできません。

鹿児島県の茶商一覧

3つの流通経路

①茶商による市場での取引

鹿児島県のお茶市場

鹿児島茶の多くは、茶商から仕入れることになりますが、生産履歴開示を茶商に依頼した場合、2~4週間ほどかかるそうです。市場では、多い日1000点を超えるお茶が出品され、それらを茶商が落札(購入)します。

入札番号、生産者名などがはじめからわかっていれば、早い話なのですが、茶商が茶問屋や小売店に卸すお茶の多くは、数種類から数十種類のお茶を配合したものになります。

どのようなお茶を配合したかを調べ、鹿児島県茶業会議所を通じて全ての生産者に生産履歴開示請求を行います。かなり大変で多くの手間がかかる作業です。生産履歴開示請求は、あくまで、生産履歴を追求できる仕組みがあるということで、頻繁に使用される制度ではありません。

 

②茶商と生産者による相対取引

市場での入札取引と同様に生産履歴請求を行いますが、茶商と農家さんとの直接取引であるため、農家さんに直接請求を行います。取引の際に生産履歴を添付することもあります。

③契約栽培

大手であれば、茶商を通さず農家さんと直取引を行う場合もあります。そうした場合は、納品時に生産履歴を添付してもらうそうです。

残留農薬検査ってどのように行われていますか?

市場での農薬検査について

残留農薬検査は、数百にのぼる種類の農薬を検査するため、費用が1回につき6~10万円程度と言われています。鹿児島茶市場のお茶をすべて検査するとすると、多い日で1000点×10万円以上となり検査費用で1日で1億円を超える日も出てくる計算になります。また、新茶の時期は特に鮮度が重要ですが、検査結果がでるのに10日ほどかかり、仮に毎日1000点の検査をすれば検査結果にさらに時間がかかると考えられます。そうすると莫大な費用がかかるだけでなく、販売機会を失うことにもつながります。そこで、市場では任意のサンプリング検査を行っています。全国の産地でもそうした検査、取組があります。

・例:静岡県によるサンプリング検査の実績

 

農薬の種類について

農薬例

薬剤名残留農薬上限散布期限希釈倍率(倍)
チアメトキサム20ppm摘採 7 日前まで2000詳細資料
プロパルギット5ppm摘採 14 日前まで1500~2000詳細資料
ビフェントリン30ppm摘採 14 日前まで1000詳細資料
エトキサゾール15ppm摘採 21日前まで1000詳細資料
フェンプロパトリン25ppm摘採7日前 まで 1000~2000詳細資料
クロルフェナピル40ppm摘採7日前まで2000
詳細資料

ppmとは、part per millionで百万分の1という単位です。

ppmとは?

海外との残留農薬上限の比較

日本はヨーロッパなどに比べて、残留農薬の基準が甘いという指摘もあります。それを危険視したり、批判したりするサイトも数多く見かけます。国別 残留農薬の上限基準

資料:農林水産省補助事業「平成30年度 輸出用茶残留農薬検査事業 実施報告書」より抜粋

日本の残留農薬基準ははたして海外よりも緩いのか?

中には、500倍も基準が緩いなど大きく主張しているサイトも見受けられます。確かに外国の方が基準が厳しいところが散見されます。しかしながら、上記、世界主要各国の残留農薬上限を見ますと、ヨーロッパの基準が日本やアメリカに比べて数百倍厳しいことがわかりますが、一方で日本はシンガポールや香港と同等で、アメリカにいたっては日本よりも基準が緩いという結果が見て取れます。

オーガニック野菜

ヨーロッパでは、オーガニックが成長産業として重要な位置づけとなっています。背景として、ベジタリアン、食品アレルギー、遺伝子組み換えを嫌う方々が多いということと、以前食料の過剰生産により、農地環境汚染が問題となり、EUでオーガニックを推奨するようになったという歴史があります。

 

つまり、オーガニックの需要が高いため、残留農薬の基準が極端に厳しいと考えるべきでしょう。それだけに、ヨーロッパの基準は、科学的根拠だけではなく、経済的、歴史的、政治的な背景あってのものと言えます。

そうした背景を考えると、単純にヨーロッパの基準に比べ、日本の残留農薬基準が科学的に緩いとか間違っているとは言えないでしょう。あくまで基準値の根拠を詳しく検証するべきです。

参考資料:JETRO 欧州におけるオーガニック食品市場の動向

農薬について

どのような農薬をどういうふうに使用するかは、生産地区によって取り決めがあるそうです。例えば、知覧町と隣の頴娃町では、同じ南九州市ですが、若干の違いがあるそうです。

茶の品種によっても、病原(病虫)耐性などが異なり、使用される農薬の種類や時期、回数も異なります。

農薬について質問される方は、農薬は猛毒と考えている方も多いでしょう。しかしながら、散布した農薬は、時間とともに日々分解されます。動植物や微生物の各種酵素による分解、太陽光線による光分解、そして水による加水分解などによって、使用説明通りに散布されれば、収穫前に分解され、残留農薬は検出されないか、検出されなくとも基準値内になるように計算されています。

残留農薬や食品における安全基準などについて

「お茶は農薬まみれ」などは根拠のない間違った主張

基準内の残留農薬で健康被害の報告はありません。農薬が人間にとって猛毒なら、それを散布する農家さんが最も農薬の被曝リスクを負うことになります。しかしながら、茶産地(静岡県や鹿児島県)の健康寿命は高い傾向にあることから、お茶の残留農薬が健康を損なう可能性は低いと考えられます。「お茶は飲む農薬だ」と危険視する記事も散見されますが、日本人9万人の1990年~2011年の間(約21年間)の追跡調査でお茶をたくさん飲むほど全死亡リスクが下がるという結果が発表されています。

もし、お茶が危険な飲み物という主張ならば、全死亡リスクが下がることは考えにくいはずです。

お茶を飲むダイエットが流行り、その影響で何リットルもお茶を飲み、具合が悪くなった方が何人もいらっしゃたそうですが、それを農薬が原因と主張している医師の方もおられます。お茶に限らず、運動もせず毎日何リットルも水を飲むと水中毒になると言われています。症状も水中毒と似ていることから、農薬中毒を原因とするのは疑わしいのではないでしょうか。そもそも、お茶を何リットルか飲んだくらいで、急性の農薬中毒になるのなら、お茶を毎日10杯以上飲む方はが、慢性的な農薬中毒になる可能性は大きいはずです。しかし、実際には健康寿命が長い傾向にあり、死亡リスクが低下しているので、農薬中毒という主張はおそらく間違っているでしょう。残留農薬を危険視され本やメディアで発信している方もいらっしゃいますが、読んで調べたところ、科学的根拠や統計的根拠はなく、信ぴょう性は低いと考えられます。少なくとも、お茶の場合、残留農薬の害よりも健康増進の効果の方が大きいとデータで実証されています。

 

農薬の危険性、実例の事故

過去5ヶ年の事故及び被害の発生状況

1. 人に対する事故
(原因別)(件(人))
原因H27年度H28年度H29年度H30年度R1年度
(1)マスク、メガネ、服装等の装備が不十分4(4)3(3)6(6)6(7)3(3)
(2)強風中や風下での散布等、自らの不注意により本人が暴露2(3)2(2)1(1)1(1)1(1)
(3)長時間や高温時の作業、不健康状態での散布0(0)0(0)0(0)0(0)0(0)
(4)防除器具の故障、操作ミス、整備不良等による農薬のドリフトや流出0(0)0(0)1(1)0(0)0(0)
(5)ドリフト防止対策の未実施等による農薬のドリフトや流出1(7)1(1)2(8)1(1)0(0)
(6)被覆が不十分であった等、農薬使用後の作業管理の不良3(20)3(7)1(7)4(14)5(17)
(7)保管管理不良等による誤飲誤食11(11)7(7)6(11)3(3)2(2)
(8)運搬中における容器の転落・転倒等の容器破損1(3)0(0)0(0)1(5)0(0)
(9)その他1(12)1(1)2(2)2(4)0(0)
(10)原因不明5(5)2(2)2(2)7(7)0(0)
28(65)19(23)21(38)25(42)11(23)
区分H27年度H28年度H29年度H30年度R1年度
死亡農薬の使用中1(1)0(0)0(0)0(0)0(0)
誤用3(3)0(0)1(1)0(0)0(0)
その他・原因不明3(3)0(0)0(0)4(4)0(0)
小計7(7)0(0)1(1)4(4)0(0)
中毒農薬の使用中10(33)9(13)11(23)12(23)9(21)
誤用9(11)7(7)5(10)4(8)2(2)
その他・原因不明3(14)3(3)4(4)5(7)0(0)
小計22(58)19(23)20(37)21(38)11(23)
28(65)19(23)21(38)25(42)11(23)

・出典:農林水産省  農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況について

農薬の少ないお茶や農薬を気にされる方へ(メリットとデメリット)

①一番茶を選ぶ

 

 一番茶は、肌寒い春先、虫などの発生が少ない時期に摘みますので、他の時期に比べて農薬の散布は比較的少ないか必要ない場合もあります。特に山間部は、一番茶ならまだ寒く虫の発生も少ない時期に摘むため、農薬をほとんど使用しない地域もあります。一番茶は、品質は高いものの、他の時期のお茶と比べ価格も高くなります。

実際のところ一番茶との表記がなく、判別がつきにくいものもあります。新茶はその年の一番茶なので、新茶と表記のあるものを買うと良いでしょう。ちなみにペットボトルの原料となるお茶は、二番茶や三番茶になります。一番茶は高価なのでペットボトル用にはあまり使用されません。

②有機JAS(オーガニック)のお茶を買う

有機JASマーク

 

画像 :農林水産省 有機食品の検査認証制度から引用

有機栽培を選択するのも良いかもしれません。ただ、有機栽培は無農薬ではありません。化学物質を使わないという点では、土壌や環境に優しく、危険は少ないかもしれません。しかし、有機栽培は、もともと持続的農業環境保全のための基準なので、安全という科学的根拠はありません。難点として、有機JASのお茶は、お茶としての品質の高い美味しいものや、深蒸し茶系は少ないようです。お値段的にも同等の品質のもので2~3割高くなります。

・関連記事:有機栽培は無農薬栽培ではない?!意外と知らない有機栽培と無農薬の勘違い

③無農薬と表示されているお茶を買う

一年を通して一切農薬を使用しない完全な無農薬栽培は、お茶ではほぼ不可能か非常に難しいと言われています。しかしながら、ある熱心な農家さんから、病気や虫に強い「さえあかり」ならば可能ということを聞いたことはあります。また、ある四国の農家さんは、虫の天敵である蜘蛛の巣を大量発生させ、それで防虫、無農薬栽培されていることを聞きました。注意したいのは、本来「無農薬」の表記は、有機JASのような認証、認定基準はないため、禁止されていています。それを信じて買っていいものか、信用性があるかは不透明です。

・無農薬の表示は原則的に禁止:特別栽培農産物に係わる表示ガイドライン

④JGAP認証のお茶を購入する

 画像:日本JGAP協会から引用

JGAP認証の茶園は、食品としての安全や労務体制、環境保全、様々なガイドライン基準とし、適切な管理、運営を行うための基準です。有機JASと似ていますが、有機栽培のように有機肥料や自然の農薬を使用するというわけではありません。

 

 まとめ

いかがでしたか? 大抵の方は、農薬は危険、猛毒の様なイメージがあり、出来るだけ避けたいという心理が働きます。しかし、現実問題として、生産効率を飛躍的に上げるためには、農薬は必要不可欠なものです。世界中で農薬は使用され、それぞれの国で科学的根拠に基づき、農薬使用のガイドラインや残留農薬の上限などが設けられています。

残留農薬が基準値内であれば健康被害の報告はないと言えるでしょう。農薬の単位はppmと百万分の1の微小な単位です。人間に害が大きいものや農林水産省も「遺伝子を傷つけてガンを引き起こす物質を、農薬として作ったり使ったりすることは認められません。」と言っています。

・農林水産省 消費・安全政策課:残留農薬は危ないの?

塩にしても、1㎏あたり3gとれば半数の人が亡くなるという毒性をもっています。これよりも毒性の少ないは農薬はたくさんありますし、直接飲んだり食べたりするわけでなく、残留農薬も百万分の1の単位で摂取することになるわけです。

農薬は栄養ではないので、出来るだけ摂取しないようにするのは正しいと思います。しかし、残留農薬を過剰に気にするよりも、私たちの身の回りには、前述の塩分摂りすぎや「喫煙・受動喫煙」、危険と言われる「添加物」や高温調理によるAGE、アクリルアミド、糖化を促進させる生成された糖類などをもっと気を付けた方が、よほど建設的とも思えます。

農薬を使用しなければ、直ちに世界中の人が食糧危機に陥ってしまうのも事実です。過剰に残留農薬を気にするよりも、事実を理解して行動、判断することが推奨されます。

 

ポテチは危険?! 高温調理で発がん性物質「アクリルアミド」などが発生。がんを防ぐには?

高温調理されたポテトチップス

発がん性物質 「アクリルアミド」とは?

アクリルアミドは、AGEs(終末糖化産物)の一種で、その中でも発がん性が高く、危険な成分として知られています。食品を高温調理した際に生成され、特にアスパラギンと炭水化物を多く含む食品を油で揚げるなどの調理した食品に多く含まれます。

どんな食べ物に多いのか?

フライドポテト

例として、ジャガイモをつかったポテトチップスやフライドポテト、その次にビスケットやクッキーに多く含まれます。他に気をつけたいのが、インスタントコーヒー。レギュラーコーヒー(コーヒー豆)に比べ、2倍以上も含有しているため、毎日飲むには注意が必要です。

アクリルアミドの危険性

動物実験では、乳腺、甲状腺や子宮などに癌が発生するリスクが増えることがわかっています。ノルウェーの統計調査では、一日当たり平均、男性で38μg、女性で29μgアクリルアミドを食べていて、この量を70年間食べ続けると1万人に6人が癌になるそうです。アクリルアミドは、遺伝毒性発がん物質というもので、直接遺伝子であるDNAを傷つける性質があります。例え少し食べただけでも癌になる可能性を捨てることはできない、危険性が非常に高いものです。

放射線や農薬は、このくらいの被ばく量ならとか、基準値内の農薬だから食べても安全という基準がありますが、アクリルアミドはここまでは大丈夫といった閾値(いきち)がないのが特徴です。リスクを避けるには、出来るだけ摂取しないという他ありません。

どれだけ食べると危険なのか?ポテトチップスを食べ続けるとどうなる?

平均男性で38μg/日、女性で29μg/日で1万人中6人が癌になるという統計結果でしたが、危険と言われるポテトチップスで言うとどれくらいでしょうか?

食品最大値(mg/kg)中央値(mg/kg)
フライドポテト10.23
ポテトスナック4.60.61
ビスケット類0.770.15

※平成27~28年度に農林水産省が実施したアクリルアミドの含有実態調査結果

μg(マイクログラム)は、100万分の1グラムなので、mgに換算すると、1μg=0.001mgになります。

ポテトスナック(ポテトチップス)を60g入を1袋食べると、中央値で計算すると36.6μg、最大値で276μgのアクリルアミドを摂取したことになります。

国が食品製造業者にアクリルアミドを減らすように指導しているため、近年はポテトチップスなどに含まれる、アクリルアミド含有量はかなり低下しています。しかしながら、実は「アスパラキナーゼ」という食品添加物によりアクリルアミドを分解し減らしているのです。「アスパラキナーゼ」は、細胞障害薬として処方されるものでもあり、副作用も心配されます。

 

マウスの実験では、200㎎/kgのアクリルアミドを食べさせたところ、168時間以内に8割が死亡したとされています。また、継続摂取では、一日あたり0.17mg/kgで癌の兆候が表れ始めます。

人間とマウスは別の生き物ですが、人間(体重50㎏)に換算すると、8.5mgで、アクリルアミドたっぷりのポテトチップを毎日2kgという計算になります。フードファイター以外に、そんなに食べる人はいないから心配ないと考える人もいると思います。しかし、マウスの寿命が2年というのに対し人間の寿命はその40倍。アクリルアミドは体内で分解され、体に蓄積される量は少ないと言われているものの、人生80年以上、長い年月を考えると安心はできません。

結局のところ、動物実験のように人間で臨床試験をすることはできないため、どれくらいの量を食べたら、何が起きるのかなどと説明することはできません。

しかし、アクリルアミドは、様々な食品、加工食品、普通の水(若干)にも含まれるので、毎日の食生活に加えて、一日平均摂取分に相当するポテトスナックを毎日食べると、癌のリスクや神経障害、生殖不全等が増大することが予想されます。

実際、アクリルアミドと同じくAGEsの一種「TAGE」が血中7.24 U/mLは、妊娠率が大幅に低下すると報告されています。研究では、TAGEを下げることで、妊娠率が何割も回復することがわかっています。アクリルアミドも動物実験で、生殖異常をもたらすと分かっているため、血中アクリルアミドの高い方は、なんらかの体の異常をもたらす可能性は捨てきれません。

・アクリルアミドだけではない「テロサイクリックアミン」も危険

バーベキュー 肉が焼ける様子

アクリルアミドは、糖分とグルタミンを高温調理で発生する有毒成分ですが、肉や魚の高温調理は安全なのか?というとそうではありません。

肉や魚に含まれるアミノ酸とクレアチンが高温調理で反応し、「テロサイクリックアミン(HCA)」が生成されます。こちらも、動物実験で発がん性が確認されています。

人間に対して発がん性があるかは、はっきりとされていませんが、WHOの基準で2A~2B「おそらく発がん性がある」と評価、米国国家毒性プログラムでも同様に評価されています。

どれくらい食べると危険なのかなどの基準、ガイドラインはまだできていません。しかし、米国国立がん研究所でも、胃がんのリスクを高めると注意喚起され、米国農務省や英国食品基準庁でも、HCAは発がん性物質であり、生成を避ける調理の仕方などを紹介しています。

できるだけ肉や魚の高温調理を避け、焦げた部分は食べないようにした方が良いというのは間違いなさそうです。

アクリルアミドやテロサイクリックアミンなどの発がん性物質には、お茶(緑茶)が有効!!

熊本産のつゆひかり

アクリルアミドやテロサイクリックアミンは、細胞の突然変異を誘発して発がん作用をもたらします。これらの発がん物質は、あらゆる食品に含まれるため、完全に避けることはできません。

そこで、発がん性物質である、アクリルアミドやテロサイクリックアミンが原因で起きる突然変異を予防する食品に注目してみましょう。その筆頭は、お茶(緑茶)です。お茶は、抗がん作用が広く知られていますが、アクリルアミドやテロサイクリックアミンなどの発がん性物質に対しても有効であることがわかっています。

フライドポテトやポテトチップ中に含まれる発がん物質であるアクリルアミドと茶カテキンをマウスに 投与して、D N Aのアクリルアミド付 加 体 形 成に 対 する 効 果 を調 べ たところ 、茶カテキンが この付加体形成を強く抑制しました [8]。 以上のように、茶および茶成分の抗変異原性は、変異・発がん物質の活性型に直接結合したり、薬物代謝酵素の活性を抑制したり、また変異原物質を体外に排出する解毒酵素(第II相反応酵素)を誘導することによって発揮されると考えられています[9, 10]。 また、茶はこれら変異原物質の生成に対しても抑制効果を示します。ヘテロサイクリックアミン類 やアクリルアミドは 、メイラード反 応と呼 ば れ るアミノ-カル ボニル反 応により生 成します [ 1 1 , 1 2 ]

静岡県立大学 食品栄養科学部 准教授 増田 修一

  • [8] Xie Q, et al. Inhibition of acrylamide toxicity in mice by three dietary constituents. J Agric Food Chem. 2008, 56: 6054-6060. [18624451]
  • [11] Li D, et al. Study on mitigation of acrylamide formation in cookies by 5 antioxidants. J Food Sci. 2012, 77: C1144-1149. [23057639]
  • [12] Oguri A, et al. Inhibitory effects of antioxidants on formation of heterocyclic amines. Mutat Res. 1998, 402: 237-245. [9675297]

 

その他、テロサイクリックアミンの発がん性を抑制する成分として、乳酸菌やビールが挙げられます。

お茶には、あらゆる面で抗がん作用があり、高血圧動脈硬化などを予防し、抗菌、抗ウイルス効果や強力な抗酸化・抗糖化作用も知られています。

ここまで、発がんを誘発すると言われる、アクリルアミド、テロサイクリックアミンについて説明しましたが、高温調理などで生成されるAGEは、その2つだけに留まらず多岐にわたります。お茶は、AGEの吸収を阻害する効果があるため、糖化による老化や病気を予防する効果があります。

高温で調理された食品を食べる際、そして日頃から、お茶を出来るだけたくさん飲むようにしましょう。高い濃度のお茶をたくさん飲んだ方が、効果が高いことがわかっています。皆様の癌のリスクを避け、日々の健康を維持していくため、緑茶が役立ってくれれば幸いです。

 

 

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有機栽培は無農薬ではない?! 意外と知らない無農薬と有機栽培の勘違い

有機野菜

無農薬の・・というと安全というイメージがあります。

大抵の場合、畑は屋外にあるので、農薬を使用せず収穫するのは労力がかかった上に収穫量が少ないという現実にあります。

田舎は豊かな自然環境にあるので、当然のように大量の虫が存在します。その中で作物を栽培するならば、当然虫だらけになります。虫も自然環境の一員なのです。

3月31日撮影 知覧町ゆたかみどり生育状況

無農薬だけれど虫だらけ、または虫食いだらけの野菜やお茶を買う人はいるでしょうか?

天敵を使って虫の発生を抑制し、本当に無農薬でお茶を収穫する人もいます。例えば、大量の蜘蛛を茶木に住まわせ、蜘蛛の巣で害虫を防除する方法です。確かに無農薬ですが、当然のことながら蜘蛛の糸だらけのお茶が出来上がります。もちろん、異物除去はするでしょうが、多少は残っています。

映画にもなった「奇跡のりんご」は、無農薬でりんごの栽培に成功しました。実は、普通に無農薬で栽培すると97%は収穫が減ると言われているので、本当に奇跡だったりします。

・参照:奇跡のりんごについて(wiki)

他の農産物は、りんごほどでないにしろ、無農薬の場合農家さんの収穫量は激減、かかる労力が何倍にも増え、農業としての収益は、とても見込めません。

つまり、農薬は嫌だけれど、虫も嫌だというのは、矛盾しており、ある意味で人間のエゴというべきものなのかもしれません。

 

オーガニック(有機JAS)は、無農薬ではない

有機JASマーク

 

 

オーガニック、有機栽培は無農薬と信じている方も、多いと思います。

実は、そうではありません。オーガニック(有機栽培)は、天然由来の肥料や農薬に限って使用を許された農法です。その実、健康のための制度ではなく、科学由来の肥料や農薬の使用を避けることで、継続的に土壌などの農業環境を保つ制度なのです。(農業の自然循環機能の維持増進)

例えば、窒素肥料が土壌に浸透し、地下水汚染につながったりするなど。

参照記事:肥料と環境

 

つまり、オーガニック(有機栽培)は、環境にはいいが、農産物を食べる人が望む「無農薬で安全、健康に良い」というわけではないということです。

有機JAS規定も全て、環境に係るもので、人体の安全性などに係る規制は一つもありません。

また有機農薬なら、小量だろうが、たくさん使っても、同じ有機野菜ということになります。使用量の規制はありません。

そして、無農薬という表示は、厳格な規定がないため、「無農薬」、「減農薬」などの表示することを禁止されています。

関連記事:本当は危険な有機野菜 安全? 健康にいい? 何の根拠もありません

参照:農林水産省 有機食品の検査認証制度

 

有機栽培とそうでないものの違いは?

有機栽培(オーガニック)の野菜は、天然由来の肥料や農薬が使用されるのに対し、そうでない野菜は、化学的に合成された農薬を使用するという点です。オーガニック=無農薬と思っている方や何となく安全そうなイメージがあることから、農家にとっては、より高い値段で販売できるというメリットがあります。実際の安全性については、後述します。

結局、有機野菜と普通の野菜の安全性は変わらない?

驚く顔

農薬は猛毒ではない

例えば、有機栽培でない野菜を食べ癌になったという話を聞いたことはありますか?残留農薬の基準値は、「人間が一生食べ続けても問題ない量」とされています。例え基準値を多少超えた農作物を1回食べたからと言って、健康被害が起こるとは考えにくいのが現実的な見解と言えるでしょう。有機栽培でない普通の野菜を食べて癌になった、病気になったという人は、事実としていないのが本当のところです。

家庭菜園をされている方が、「農薬を誤ってさわってしまった」、「手にかかってしまった」などの相談を見かけます。おそらく、「農薬=猛毒」と誤解されている方も多いでしょう。しかし、農薬は人間にとっては、猛毒ではありません。安全検査を適切に行い、安全と認められたものだけを販売されています。

天然由来の有機農薬と化学合成された農薬の違いとは

人間が作り出す化学物質は、天然の成分に比べてより危険なイメージがあります。本来自然界において存在しない化学物質が、実は危険だという話もあります。直接的な危険性は、検査を行っているため、あまり変わりません。一方で、化学物質のアレルギーなどの危険性は考えられます。しかし、天然のものでも、ピーナッツアレルギーや小麦アレルギー、花粉症などもあるので、天然成分だから絶対に大丈夫というわけでもありません。

農薬の危険性 どれくらい残留農薬ある食品を食べると死んでしまうのか?農薬(殺菌剤)の例

殺菌剤ダコニールは、お茶の場合、残留農薬としての上限値が1ppmとなっています。1ppmは100万分の1の濃度を指します。実際茶葉から検出される値は、検出されずか、上限値以下になります。マウス実験では、ダコニールの半数致死量が2279mg/kgです。食塩が3000mg/kgであることから、ダコニールの毒性は食塩と大差ないということになります。例として、100万分の1以下の濃度というと、体重70㎏の人が上限値の農薬がかかったお茶を一度に160トン食べないと到達しないという計算になります。

農薬や食品添加物など化学合成させた成分の危険性

人が作り出した化学物質は、天然の物質よりも危険な一面は、無視できません。天然には存在しない、マーガリンなどに含まれる、トランス脂肪酸は、心臓発作の原因として指摘され、アメリカなどでは、使用が禁止されています。他に、人工甘味料で知られるスクラロースは、農薬の開発中に発見された食品添加物。砂糖の数百倍の甘さがあり、化学構造がダイオキシンに似ていることから、糖尿病などのリスクを指摘されています。

このように、天然でない人口の成分は、人間や生物にとって馴染みのない成分なので、体に合わないことも多いのが事実です。危険な食品添加物は、健康維持のため、出来るだけ避けるべきでしょう。しかし、食品添加物と残留農薬とでは、全く話が違ってきます。1ppmは百万分の1の濃度です。食品のように100g対してg単位、mg単位とは、また次元の違う値なので、基準値内の残留農薬で健康を損なう可能性は極めて低いと言えるでしょう。

実際に基準値内の残留農薬で、健康被害に遭ったという報告を聞いたことがあるでしょうか?実は、そういった報告は、少なくとも日本国内ではありません。そして、残留農薬が100%安全かというと、それを証明するには、数万人単位で毎日同じ野菜を食べて、病気になったり、死んだときにその原因を調べ続ける必要があります。そんなことは、出来るはずもないので、つまり、100%の安全を証明することは不可能です。だから、残留農薬は危険性はないけれど、100%安全ということはできない、のが本当のところだと思います。

多くの方が、自分自身の健康のために、有機野菜を選んでそればかりを食べています。しかし、健康を目指すのであれば、無農薬の野菜や、有機栽培の野菜を食べることよりも、たばこをやめたり、塩分の低い食品を避けたり、砂糖などの血糖値を急激に上げてしまう食品を諦めた方が、健康効果としての科学的根拠があり、より健康によいということです。また、食品添加物は健康被害の報告も多いので、出来るだけ避け、高温調理の食品や加工食品も出来るだけ食べないことをおすすめします。

そして、有機栽培も結局、天然由来ではあるものの、農薬には違いないという点を憶えておきましょう。

「毒性学の父」と言われるルネサンス期の医師パラケルススの言葉です。

「全ての物質は毒であり、毒でないものはない。服用量が毒か薬かを決める」

化学物質は危ない?

化学(合成)物質のイメージ一般的に化学物質は「危険」で、天然(自然)の物質は「安全」というイメージがあります。

実際には、世の中の全てのモノは化学物質からできており、化学的に合成された物質も、天然の物質も、同じ物質ならば、性質に全く違いはありません。

天然(自然)由来物質であっても、トリカブトなどの植物やふぐなどの魚介類、細菌がつくる毒素など、危険なものがあります。天然(自然)物質は全て安全で、化学(合成)物質は全て危険ということはありません。

参照:農林水産省のページより

科学合成の農薬や肥料が危険かどうかは、量によるもです。例え有機JASでも、農薬をたくさん使えば、有機JASでない野菜よりも安全とは言えません。

有機栽培と健康寿命の相関関係は見られない

全耕作面積うち有機栽培の占める割合(上位5国+日本)と健康寿命の関連を比べてみました。

有機栽培順位国名有機栽培の割合健康寿命
1イタリア14.5%71.9歳
2スペイン8.7%73.8歳
3ドイツ7.5%71.8歳
4フランス5.5%72.1歳
5イギリス2.9%70.6歳
圏外日本0.2%74.1歳

健康寿命は、人種、食生活や文化、気候により比較は難しいですが、ヨーロッパ上位5国で検証してみても、有機栽培の割合と健康寿命の相関関係があるとは言えません。

単純に考えると日本は、有機栽培の割合が0.2%と低く、イタリアのわずか72.5分の1の割合ですが、健康寿命は74.1歳と世界最高を誇っています。

この結果から、有機栽培が人間の健康寿命に寄与している可能性は低いと言えます。

まとめ:健康と楽しい生活のために

有機(オーガニック)野菜は無農薬ではなく、あくまで農業環境の維持と増進を目的とした規定によるもの。そして、化学合成の農薬でも、人間にとって猛毒となる危険なものではないということを知っておくと良いでしょう。

いつもみかんを納品に来られる農家さんが、言っていました。本当に農薬が危険なら、食べる人でなく、散布中に農薬を被る我々農家がまず死にますよと。

確かに、農家さんの死亡率が極端に高いという話は、聞きません。

農薬事故は、もちろんありますが、過去5年で年間平均25件(40人)となっています。主な原因は、誤飲誤食です。農薬そのものを間違って飲んだり、食べたりしてしまえば、当然おなかを壊したり、気分が悪くなったりするそうです。手に農薬が付着したとかで、洗えば心配するほどのことではありません。

口に入れるものなので、化学合成された農薬、除草剤を使用したものよりも、天然由来の農薬を使用している有機野菜の方が安心できるところはあると思います。また、自然環境の維持に役に立つという点で、エコロジーな一面も選択の大きなメリットとしてあると思います。一方で、価格が高い、欲しい野菜や果物、美味しいお茶が手に入らないなどのデメリットもあります。

残念なことに、残留農薬が気になるから、有機野菜以外は食べない、粉末緑茶は健康にいいと聞くけど、残留農薬が気になるので飲んだり食べたりはしたくないなどの声を耳にすることがあります。

過剰に有機野菜にこだわったり、残留農薬を気にしすぎるのは、健康効果という観点からは、あまり意味がないことです。それよりも、必要なビタミンを摂取し、色々な野菜やお茶などがもつ健康効果を生かした方が、健康的で楽しい生活のためにメリットが大きいと思いませんか?