アクリルアミドは、AGEs(終末糖化産物)の一種で、その中でも発がん性が高く、危険な成分として知られています。食品を高温調理した際に生成され、特にアスパラギンと炭水化物を多く含む食品を油で揚げるなどの調理した食品に多く含まれます。
例として、ジャガイモをつかったポテトチップスやフライドポテト、その次にビスケットやクッキーに多く含まれます。他に気をつけたいのが、インスタントコーヒー。レギュラーコーヒー(コーヒー豆)に比べ、2倍以上も含有しているため、毎日飲むには注意が必要です。
動物実験では、乳腺、甲状腺や子宮などに癌が発生するリスクが増えることがわかっています。ノルウェーの統計調査では、一日当たり平均、男性で38μg、女性で29μgアクリルアミドを食べていて、この量を70年間食べ続けると1万人に6人が癌になるそうです。アクリルアミドは、遺伝毒性発がん物質というもので、直接遺伝子であるDNAを傷つける性質があります。例え少し食べただけでも癌になる可能性を捨てることはできない、危険性が非常に高いものです。
放射線や農薬は、このくらいの被ばく量ならとか、基準値内の農薬だから食べても安全という基準がありますが、アクリルアミドはここまでは大丈夫といった閾値(いきち)がないのが特徴です。リスクを避けるには、出来るだけ摂取しないという他ありません。
平均男性で38μg/日、女性で29μg/日で1万人中6人が癌になるという統計結果でしたが、危険と言われるポテトチップスで言うとどれくらいでしょうか?
食品 | 最大値(mg/kg) | 中央値(mg/kg) |
フライドポテト | 1 | 0.23 |
ポテトスナック | 4.6 | 0.61 |
ビスケット類 | 0.77 | 0.15 |
※平成27~28年度に農林水産省が実施したアクリルアミドの含有実態調査結果
μg(マイクログラム)は、100万分の1グラムなので、mgに換算すると、1μg=0.001mgになります。
ポテトスナック(ポテトチップス)を60g入を1袋食べると、中央値で計算すると36.6μg、最大値で276μgのアクリルアミドを摂取したことになります。
国が食品製造業者にアクリルアミドを減らすように指導しているため、近年はポテトチップスなどに含まれる、アクリルアミド含有量はかなり低下しています。しかしながら、実は「アスパラキナーゼ」という食品添加物によりアクリルアミドを分解し減らしているのです。「アスパラキナーゼ」は、細胞障害薬として処方されるものでもあり、副作用も心配されます。
マウスの実験では、200㎎/kgのアクリルアミドを食べさせたところ、168時間以内に8割が死亡したとされています。また、継続摂取では、一日あたり0.17mg/kgで癌の兆候が表れ始めます。
人間とマウスは別の生き物ですが、人間(体重50㎏)に換算すると、8.5mgで、アクリルアミドたっぷりのポテトチップを毎日2kgという計算になります。フードファイター以外に、そんなに食べる人はいないから心配ないと考える人もいると思います。しかし、マウスの寿命が2年というのに対し人間の寿命はその40倍。アクリルアミドは体内で分解され、体に蓄積される量は少ないと言われているものの、人生80年以上、長い年月を考えると安心はできません。
結局のところ、動物実験のように人間で臨床試験をすることはできないため、どれくらいの量を食べたら、何が起きるのかなどと説明することはできません。
しかし、アクリルアミドは、様々な食品、加工食品、普通の水(若干)にも含まれるので、毎日の食生活に加えて、一日平均摂取分に相当するポテトスナックを毎日食べると、癌のリスクや神経障害、生殖不全等が増大することが予想されます。
実際、アクリルアミドと同じくAGEsの一種「TAGE」が血中7.24 U/mLは、妊娠率が大幅に低下すると報告されています。研究では、TAGEを下げることで、妊娠率が何割も回復することがわかっています。アクリルアミドも動物実験で、生殖異常をもたらすと分かっているため、血中アクリルアミドの高い方は、なんらかの体の異常をもたらす可能性は捨てきれません。
株式会社食環境衛生研究所さんが、【ポテトを150℃、180℃、200℃でそれぞれ揚げ、何度で揚げたフライドポテトが最も「アクリルアミド」濃度が低く、健康的なのか検証します!】という動画をアップしていますので、そちらをご参考下さい。(結果:15倍の違いが出たそうです)「アクリルアミド」濃度のお話で美味しさの検証ではないので、そちらはご了承ください。
動画:【検証】フライドポテト健康的な作り方 揚げる温度は何度がいい?
アクリルアミドは、糖分とグルタミンを高温調理で発生する有毒成分ですが、肉や魚の高温調理は安全なのか?というとそうではありません。
肉や魚に含まれるアミノ酸とクレアチンが高温調理で反応し、「テロサイクリックアミン(HCA)」が生成されます。こちらも、動物実験で発がん性が確認されています。
人間に対して発がん性があるかは、はっきりとされていませんが、WHOの基準で2A~2B「おそらく発がん性がある」と評価、米国国家毒性プログラムでも同様に評価されています。
どれくらい食べると危険なのかなどの基準、ガイドラインはまだできていません。しかし、米国国立がん研究所でも、胃がんのリスクを高めると注意喚起され、米国農務省や英国食品基準庁でも、HCAは発がん性物質であり、生成を避ける調理の仕方などを紹介しています。
できるだけ肉や魚の高温調理を避け、焦げた部分は食べないようにした方が良いというのは間違いなさそうです。
アクリルアミドやテロサイクリックアミンは、細胞の突然変異を誘発して発がん作用をもたらします。これらの発がん物質は、あらゆる食品に含まれるため、完全に避けることはできません。
そこで、発がん性物質である、アクリルアミドやテロサイクリックアミンが原因で起きる突然変異を予防する食品に注目してみましょう。その筆頭は、お茶(緑茶)です。お茶は、抗がん作用が広く知られていますが、アクリルアミドやテロサイクリックアミンなどの発がん性物質に対しても有効であることがわかっています。
フライドポテトやポテトチップ中に含まれる発がん物質であるアクリルアミドと茶カテキンをマウスに 投与して、D N Aのアクリルアミド付 加 体 形 成に 対 する 効 果 を調 べ たところ 、茶カテキンが この付加体形成を強く抑制しました [8]。 以上のように、茶および茶成分の抗変異原性は、変異・発がん物質の活性型に直接結合したり、薬物代謝酵素の活性を抑制したり、また変異原物質を体外に排出する解毒酵素(第II相反応酵素)を誘導することによって発揮されると考えられています[9, 10]。 また、茶はこれら変異原物質の生成に対しても抑制効果を示します。ヘテロサイクリックアミン類 やアクリルアミドは 、メイラード反 応と呼 ば れ るアミノ-カル ボニル反 応により生 成します [ 1 1 , 1 2 ]
静岡県立大学 食品栄養科学部 准教授 増田 修一
その他、テロサイクリックアミンの発がん性を抑制する成分として、乳酸菌やビールが挙げられます。
お茶には、あらゆる面で抗がん作用があり、高血圧、動脈硬化などを予防し、抗菌、抗ウイルス効果や強力な抗酸化・抗糖化作用も知られています。
ここまで、発がんを誘発すると言われる、アクリルアミド、テロサイクリックアミンについて説明しましたが、高温調理などで生成されるAGEは、その2つだけに留まらず多岐にわたります。お茶は、AGEの吸収を阻害する効果があるため、糖化による老化や病気を予防する効果があります。
高温で調理された食品を食べる際、そして日頃から、お茶を出来るだけたくさん飲むようにしましょう。高い濃度のお茶をたくさん飲んだ方が、効果が高いことがわかっています。皆様の癌のリスクを避け、日々の健康を維持していくため、緑茶が役立ってくれれば幸いです。
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