「食前に飲んだ方がいい?」
「食事中?」
「食後では遅い?」
緑茶にはカテキンが含まれ、なかでもEGCG(エピガロカテキンガレート)は、糖質の消化や食後血糖との関係について研究されています。
そのためインターネットでは、
「食前30分がいい」
「食後では遅い」
「食事中に飲むのがいい」
など、さまざまな情報を見かけます。
では、人を対象とした研究では、実際にいつ緑茶を摂取しているのでしょうか。
結論からいうと、血糖値が気になる場合、現時点で最も研究に沿っているのは「食事の直前~食事中に緑茶を飲む」方法です。
特に、EGCGを含む粉末緑茶と米飯を同時に摂取したヒト試験では、食後15分、30分、45分の血糖値が対照群より有意に低くなっています。
一方で、
「食事の30分前が最もよい」
「食前・食事中・食後では食前が一番」
と証明した十分な直接比較試験があるわけではありません。
この記事では、緑茶を飲むタイミングを食前・食事中・食後に分け、ヒト試験を中心に「現時点で何が分かっているのか」を詳しく検証します。
※本記事は緑茶・カテキンに関する研究情報を紹介するもので、糖尿病などの疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。治療中の方は主治医の指示を優先してください。
研究から現在分かっていることを整理すると、次のようになります。
| 飲むタイミング | 現時点での考え方 |
|---|---|
| 食事のかなり前 | 「30分前が最適」などとする十分な根拠はない |
| 食事の直前 | 食事と同時摂取に近く、取り入れやすい |
| 食事中 | ヒト試験があり、現時点では最も研究に沿っている |
| 食後すぐ | 飲んではいけないわけではないが、食事中より直接的な研究は少ない |
| 食後30分~ | その食事の食後血糖対策という目的なら、わざわざ待つ根拠は乏しい |
したがって、実生活では、
食事を始める頃に緑茶を用意し、最初の一口~食事中に飲む
くらいでよいでしょう。
「食前30分」「食後10分」など、細かな時間にこだわる必要はありません。
ご飯、パン、麺類などに含まれる糖質は、そのまま体内へ吸収されるわけではありません。
消化酵素によって細かく分解され、最終的にブドウ糖などとして小腸から吸収されます。
食事をすると血液中のブドウ糖が増えるため、血糖値が上昇します。
通常はインスリンが分泌され、血液中の糖を細胞へ取り込むことで、血糖値は徐々に下がっていきます。
問題になるのが、食後に血糖値が急激に上昇する食後高血糖・血糖値スパイクです。
空腹時血糖値では異常が見つからなくても、食後だけ大きく上昇する場合があります。
血糖値スパイクとは何か、食事・運動でどのように対策するのかについては、
血糖値スパイクとは?血糖値が正常なのに糖尿病なの?! 予防法・解決法を解説
で詳しく紹介しています。
緑茶には、
など複数のカテキンが含まれています。
なかでも特に研究が多いのが、
EGCG(エピガロカテキンガレート)
です。
EGCGをはじめとする茶カテキンについては、
など、糖質の消化・吸収に関係する仕組みが研究されています。
糖質を分解する過程に関係するため、
「糖質とカテキンが消化管内に存在するタイミングを近づけた方がよいのではないか」
と考えることができます。
この仕組みや緑茶と血糖値に関する研究については、
緑茶を飲めば、血糖値の上昇が緩やかに?カテキンの血糖値を下げる効果を解説!
で詳しく解説しています。
今回の記事では、その中でも特に**「いつ飲むか」**に絞って見ていきます。
食前・食事中・食後の中で、現在もっとも研究に沿っているのは食事中、正確には食事との同時摂取です。
非常に分かりやすい日本のヒト試験があります。
健康な成人20人を対象としたランダム化・プラセボ対照・二重盲検・クロスオーバー試験です。
被験者は、
EGCGを140.2mg含むサンルージュ粉末緑茶
または対照食品を、
米飯130gと一緒に摂取
しました。
その後、
の血糖値とインスリンが測定されました。
その結果、粉末緑茶を摂取した場合には、対照と比較して、
食後15分、30分、45分の血糖値が有意に低くなりました。
この研究で特に重要なのは、
「食事が終わってから緑茶を飲んだ」のではなく、「米飯と粉末緑茶を同時に摂取した」
ことです。
したがって、
「血糖値を意識するなら食事中に緑茶」
という考え方には、実際のヒト試験があります。
ここは非常に重要です。
別のランダム化クロスオーバー試験では、健康な14人が、
などからなる朝食と一緒に、
300mlの緑茶または水
を飲みました。
ところがこの研究では、緑茶を飲んでも、食後血糖やインスリンのAUCに有意な低下は確認されませんでした。
つまり、
食事中に緑茶を飲めば、どんな緑茶でも必ず食後血糖が下がるわけではありません。
先ほど効果が確認された試験ではEGCGを140.2mg含む粉末緑茶が使われています。
一方で、一般的な緑茶1杯に含まれるカテキン量・EGCG量は、
などによって変わります。
「緑茶」という食品名だけで、すべての試験を同じように考えることはできません。
「糖質を食べる前に緑茶を飲んでおいた方がいいのでは?」
と考える方も多いでしょう。
理屈としては不自然ではありません。
食事をする前にカテキンを摂っておけば、糖質が消化管へ入ってくる時点でカテキンも存在している可能性があります。
しかし、現時点では、
食事30分前・15分前・食事中・食後
を同条件で比較し、
「30分前が最も効果が高かった」
と示す十分なヒト試験は確認できません。
したがって、
「血糖値には緑茶を必ず食事の30分前に飲むべき」
とまでは言えません。
日常生活では、
食事の直前~食事を始める頃
で十分でしょう。
例えば、
という方法です。
実際に血糖値への影響が確認された日本の試験は「食事と同時摂取」です。
そのため、研究にない「食事30分前」などに無理に合わせるより、
食事の最初から緑茶を一緒に飲む
方が研究条件には近くなります。
興味深いことに、緑茶とは別の健康茶である桑の葉では、食前のタイミングを調べた研究があります。
桑の葉に含まれるDNJも、α-グルコシダーゼとの関係が研究されている成分です。
日本で行われたヒト試験では、
を摂取し、その15分後に白米200gを食べています。
この試験では、DNJ 6mg・9mg群で食後30分の平均血糖値がプラセボより有意に低くなりました。 (tea-sanrokuen.com)
ただし、これは桑葉DNJの研究であって、緑茶カテキンについて「15分前が最適」と証明するものではありません。
同じ「糖質の消化に関係する植物成分」でも、成分や作用は異なるため、そのまま緑茶へ当てはめることはできません。
桑の葉と血糖値については、
桑の葉で血糖値はどのくらい下がる?ヒト試験・研究論文から分かっていること
でヒト試験を詳しく紹介しています。
それでは、食後に緑茶を飲むのは意味がないのでしょうか。
食後に飲んではいけないわけではありません。
食後の緑茶は日本では一般的な習慣ですし、無糖の飲み物として日常的に飲むことには問題ありません。
ただし、
「今食べた食事による食後血糖の上昇を意識する」
という目的だけで考えるのであれば、現在のヒト試験では食事と同時に摂取した研究の方が直接的です。
糖質の消化・吸収は、食事を始めた段階から進みます。
したがって、
「食べ終わって30分してから緑茶を飲む」
より、
食事開始時から食事と一緒に飲む
方が、現在の研究には近い飲み方です。
食後すぐであれば、食事終了から時間がかなり経過した場合よりは、糖質の消化・吸収が進行している時間帯に近くなります。
ただし、
「食後すぐ」と「食事中」を直接比較した試験は十分ではありません。
そのため、
「食後すぐでも食事中と同じ」
と断定することもできません。
わざわざ食事が終わるまで緑茶を我慢する理由もないため、
血糖値を意識するなら、
食事中から飲んでおく
というシンプルな方法でよいでしょう。
「いつ飲む?」には、食前・食後だけでなく、
朝に飲むか、夕方に飲むか
という問題もあります。
2019年に健康な若年男性17人を対象として、カテキンを多く含む緑茶を朝または夕方に摂取した研究があります。
その結果、
夕方にカテキンを多く含む緑茶を摂取した試験では、対照と比較して食後60分の血糖値が有意に低くなりました。
一方、朝の試験では同じ結果は得られず、120分・180分では緑茶群の血糖値が高い時間帯もありました。
さらに2020年には、1週間継続して朝食または夕食とともにカテキンを多く含む緑茶を摂取する試験も行われています。
この研究でも、夕方の摂取の方が食後血糖への影響が現れやすい結果となりました。
現段階で、
「血糖値には必ず夕食時の緑茶が一番」
とまでは言えません。
研究人数が少なく、使用されたのもカテキンを多く含む試験飲料です。
普通の煎茶1杯で同じ結果になると確認されたわけではありません。
また、緑茶にはカフェインが含まれます。
カフェインに敏感な方が夕食後や夜遅くに濃い緑茶を飲むと、睡眠へ影響する場合があります。
そのため、
「夕方の研究結果があるから、夜でも大量に濃い緑茶を飲む」
という必要はありません。
研究と実用性の両方から整理すると、次の順になります。
現在もっとも直接的なヒト試験があります。
粉末緑茶と米飯を同時に摂取した試験で、食後15~45分の血糖値に差が確認されています。
普段の食事では、
「いただきます」の頃から食事中に緑茶を飲む
という方法で十分です。
食事と同時摂取に近いため、現実的です。
一口飲んでから食事を始め、そのまま食事中にも飲むとよいでしょう。
「30分前」などにこだわる必要はありません。
普通のお茶として飲むことに問題はありません。
ただし、今食べている食事の食後血糖を意識するのであれば、わざわざ食後まで待つより食事中から飲む方が現在の研究条件には近くなります。
野菜を先に食べる「ベジファースト」のように、
「緑茶を全部飲んでから食事を始めた方がよいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、
「緑茶を最初に全部飲む」
「食事をしながら飲む」
を比較して、緑茶を先に飲み切る方が優れていることを示した十分なヒト研究はありません。
そのため、
最初に一口飲み、その後は普通に食事と一緒に飲む
くらいでよいでしょう。
食後血糖への有意な影響が確認されたサンルージュのヒト試験では、粉末緑茶が使用されています。
粉末緑茶の場合は、茶葉を丸ごと摂取するため、
など、茶葉に含まれる成分をそのまま摂取できます。
一方、煎茶では、お湯へ抽出された成分を飲みます。
だからといって、
「血糖値が気になるなら粉末緑茶でなければ意味がない」
わけではありません。
普通の煎茶を食事のお茶として飲む方法は、毎日続けやすいという大きな利点があります。
重要なのは、研究用の高カテキン食品と普通の緑茶を同一視しないことです。
「カテキンが重要なら、緑茶を濃くすればよいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、
濃ければ濃いほど食後血糖への作用も比例して大きくなる
とは証明されていません。
緑茶を濃くすると、
などの摂取量も増えます。
人によっては、
などを感じる場合があります。
研究で使われたEGCG量へ無理に合わせようとして、通常より極端に濃い緑茶を大量に飲む必要はありません。
緑茶の研究を見ていると、
「食事中に緑茶を飲めば、糖質をたくさん食べても大丈夫なのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
もちろん、そうではありません。
食後血糖に大きく影響するのは、まず食事内容です。
例えば、
といった基本的な生活習慣があります。
食後血糖値の急上昇に対する食事・運動の対策については、
血糖値スパイクとは?血糖値が正常なのに糖尿病なの?! 予防法・解決法を解説
も参考にしてください。
血糖値との関係が研究されている食品は、緑茶だけではありません。
山麓園では、
などについても研究を調べています。
まとめて比較したい方は、
血糖値が高めの方必見!血糖値を下げる食べ物&飲み物ランキング5選&糖尿病予防、対策について
をご覧ください。
ただし、それぞれ成分も作用も異なります。
「健康茶なら全部同じように血糖値へ働く」わけではありません。
血糖値が気になる方から特に比較されやすいのが、
緑茶と桑の葉茶
です。
緑茶で主に研究されているのはカテキンの一種であるEGCGです。
一方、桑の葉の特徴的な成分は**DNJ(1-デオキシノジリマイシン)**です。
どちらも糖質の消化との関係が研究されていますが、同じ成分ではありません。
桑の葉では、DNJ摂取後15分で白米を食べるヒト試験など、食前摂取についても比較的分かりやすい臨床データがあります。
研究結果を数値で確認したい方は、
桑の葉で血糖値はどのくらい下がる?ヒト試験・研究論文から分かっていること
をご覧ください。
食物繊維を中心に考える場合には、菊芋もよく知られています。
菊芋にはイヌリンと呼ばれる水溶性食物繊維が含まれます。
緑茶カテキンや桑葉DNJとは異なる方向から、糖質を含む食生活との関係が研究されています。
菊芋の特徴や菊芋茶については、
血糖値が高めの方におすすめ スーパーフードとも呼ばれる菊芋の驚くべきパワー
でも詳しく解説しています。
食後血糖を抑える話になると、
「血糖値が上がらなければ痩せるのでは?」
という話につながりやすくなります。
しかし、
血糖値への作用と、体重・体脂肪が減ることは同じではありません。
体脂肪は、
などさまざまな要因によって変化します。
緑茶カテキンについては体脂肪・エネルギー代謝との研究もありますが、食後血糖とは別のテーマとして考えた方が正確です。
緑茶と体脂肪について詳しくは、
お茶でダイエット!緑茶を飲めば本当に痩せるのか?どれくらい体脂肪が下がる?効果を検証!
で研究結果を紹介しています。
糖尿病で治療を受けている方は、
「緑茶で血糖値を下げよう」と治療の代わりに利用しないでください。
緑茶は食品であり、糖尿病治療薬ではありません。
また、
など条件は人によって異なります。
普段のお茶として緑茶を飲むことと、高濃度のカテキンサプリメントや抽出物を健康目的で摂取することも区別する必要があります。
治療中の方は、主治医や薬剤師の指示を優先してください。
現時点では、食事の直前~食事中がおすすめしやすいタイミングです。
食後血糖への影響が確認された代表的なヒト試験では、緑茶成分と糖質を含む食事を同時に摂取しています。
ただし、食前と食後を直接比較して「食前の方がよい」と証明した十分な研究はありません。
「30分前」「15分前」が最もよいとする十分な緑茶の研究はありません。
食事を始める直前から用意し、そのまま食事中に飲む方法が研究条件に近く、実践しやすいでしょう。
意味がないわけではありません。
ただし、その食事による食後血糖を意識するのであれば、食事中から飲む方が現在のヒト研究には近い方法です。
すべての緑茶で「○mg/dL下がる」とはいえません。
EGCGを140.2mg含む特定の粉末緑茶を使ったヒト試験では、食後15~45分の血糖値に有意差が確認されていますが、普通の緑茶を食事と一緒に飲んでも有意差が出なかった試験もあります。
緑茶の種類やカテキン量などによって結果が異なります。
少人数の研究では、カテキンを多く含む緑茶について、朝より夕方の摂取で食後血糖への影響が現れた結果があります。
ただし、まだ研究数が少なく「夕食時が必ず一番」とは断定できません。
普通の飲み物としてはもちろん問題ありません。
ただし抽出温度によって抽出される成分の割合が変わります。
一般にカテキンは高めの温度の方が抽出されやすいため、カテキン摂取を主目的にする場合には温かいお茶の方が効率的な場合があります。
一方、飲みやすさやカフェイン量なども含め、目的によって飲み方を選ぶとよいでしょう。
食後血糖への影響が確認された研究の一つでは粉末緑茶が使用されています。
ただし、
粉末緑茶でなければ意味がない
という研究結果ではありません。
普段の煎茶を食事と一緒に飲む方が続けやすければ、それも一つの方法です。
緑茶を飲むタイミングについて研究を確認すると、
「食前・食事中・食後のどれが絶対に一番」と断定できるほど直接比較研究は多くありません。
一方で、食後血糖への影響が確認された代表的なヒト試験では、
緑茶や緑茶カテキンを糖質を含む食事と同時に摂取
しています。
EGCG 140.2mgを含む粉末緑茶と米飯130gを一緒に摂取した試験では、食後15分、30分、45分の血糖値が対照より有意に低くなりました。
一方、300mlの普通の緑茶を朝食と一緒に飲んだ別のヒト試験では、血糖・インスリンのAUCに有意な低下は確認されませんでした。
したがって、現時点で最も正確な答えは、
「血糖値が気になるなら、食事開始時から食事中に緑茶を飲むのが研究に最も近い。ただし、飲めば必ず血糖値が下がるわけではない」
となります。
実生活では難しく考える必要はありません。
食事を始める頃に緑茶を用意し、一口目~食事中に普通のお茶として飲む。
これくらいで十分です。
「食前30分」など根拠がはっきりしない時間にこだわるより、
無糖の緑茶を毎日の食事へ無理なく取り入れること
の方が実践しやすいでしょう。
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この記事は、日本茶・健康茶の製造販売を行う株式会社山麓園が、茶葉の仕入れ・製造・販売経験をもとに解説しています。お茶の魅力、健康効果などについて情報を発信。楽天やヤフーショッピングの店長としても活躍中。食前にサラダを山盛り、高温調理の食品は避け、米は玄米と決めていて健康オタクでもあります。