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2026年の新茶価格は2倍に?データで見る煎茶高騰と抹茶ブームの影響

「いつも買っていたお茶が急に高くなった」「同じ商品なのに内容量が減っている」「2026年は、なぜこれほどお茶が値上げされているの?」

このように感じている方は少なくないと思います。

結論からいうと、2026年のお茶の値上げは、単なる物価高や一時的な便乗値上げだけで説明できるものではありません。

世界的な抹茶需要の急増、煎茶として流通する茶葉の減少、生産者や茶園の減少、加工費・包材費・物流費の上昇が同時に重なっています。

なかでも大きいのが、抹茶の原料となる「てん茶」への生産転換です。本記事では、実際の市場価格と茶の製造・販売現場から見た状況をもとに、2026年のお茶がなぜ値上がりしているのかを、できるだけ分かりやすく解説します。

2026年のお茶の値上げは、どのくらい大きいのか

まず、実際にどの程度価格が上がっているのかを確認します。

国内有数の茶産地である鹿児島県の茶市場では、2026年の一番茶について、煎茶を中心とする「本茶」の平均価格が1kg当たり5,228円となりました。

前年の2025年は2,564円でしたので、わずか1年で約2.04倍です。2024年と比べると、約2.9倍に達しています。

鹿児島一番茶・本茶平均2024年を100とした指数
2024年1,827円/kg100
2025年2,564円/kg140
2026年5,228円/kg286

鹿児島県茶市場の一番茶「本茶」の平均価格。小売店で販売される仕上茶の価格ではありません。

しかも、値上がりしているのは高級茶だけではありません。これまで日常用のお茶に使われてきた比較的安価な原料も高騰しており、低価格帯の商品ほど従来価格を維持することが難しくなっています。

関連記事:鹿児島茶は2年で約3倍に迫る高騰——お茶は「安くて当たり前」のままでいいのか

お茶が値上がりした最大の理由は「世界的な抹茶ブーム」

2026年のお茶の値上げを考えるうえで、最も大きな要因が世界的な抹茶需要の拡大です。

抹茶は、茶道だけでなく、抹茶ラテ、アイスクリーム、菓子、パン、プロテイン、健康志向の商品など、幅広い用途で使われるようになりました。特に海外では日本産抹茶の人気が高まり、供給が需要に追いつきにくい状態が続いています。

農林水産省の公表資料によると、2025年の日本の緑茶輸出額は720億9,400万円となり、前年から98.2%増えました。増加の中心は、抹茶を含む粉末状の茶です。

つまり、日本国内で作られた茶葉を、日本の消費者だけでなく、世界中の事業者や消費者が求めるようになったのです。

煎茶と抹茶は、原料となる畑が重なっている

「抹茶が売れているのに、なぜ普通の煎茶まで高くなるの?」と思う方もいるでしょう。

その理由は、煎茶と抹茶の原料が、まったく無関係な作物ではないからです。

同じ茶畑で育てた茶葉でも、栽培方法や収穫後の製造方法を変えることで、煎茶にも、抹茶の原料である「てん茶」にもなります。当然ながら、同じ茶葉を煎茶とてん茶の両方にすることはできません。

てん茶の方が高い価格で取引される状況になれば、生産者が煎茶からてん茶へ切り替えるのは、経営上自然な判断です。

実際に2026年の鹿児島県茶市場では、てん茶の一番茶平均価格が、前年の6,013円/kgから13,910円/kgへ上昇しました。煎茶中心の本茶よりも、さらに高い価格で取引されています。

その結果、抹茶の生産量が増える一方で、急須で淹れる煎茶として流通する茶葉が相対的に減り、煎茶価格も押し上げられています。

関連記事:抹茶の原料である碾茶(てん茶)とは?生産量が増えている理由

理由2.煎茶を作る茶園と生産者が長期的に減っている

抹茶需要だけが、お茶の値上げ理由ではありません。

日本では長年にわたり、急須で淹れるリーフ茶の消費が減少し、煎茶の価格が低迷してきました。その間に、生産者の高齢化や後継者不足、茶園の廃園、製茶工場の減少が進んでいます。

農林水産省の資料でも、茶の栽培面積は長期的に減少し、主にリーフ茶に使われる一番茶の生産量も減少傾向にあります。一方、需要が伸びているてん茶の生産量は、2014年と比べて約3.2倍に増えています。

これまで煎茶の需要が減っていた時期に縮小した生産体制を、価格が上がったからといって、すぐに元へ戻すことはできません。

茶は、種をまいて数か月で収穫できる作物ではありません。新しく苗を植えても、安定して収穫できるようになるまで数年かかります。製茶工場の建設や機械の導入にも、大きな費用と時間が必要です。

そのため、需要が急に増えても短期間で増産できないことが、価格高騰を長引かせる要因になります。

関連記事:2026年の茶の生産量はどうなる?鹿児島が日本一

理由3.安いお茶に使われていた原料まで不足している

今回の値上げで特に影響が大きいのが、スーパーや通販で販売されてきた日常用の低価格帯です。

高級煎茶は、もともと原料価格に加えて、産地、品種、摘採時期、選別、火入れなどの付加価値を含んでいます。一方、低価格帯の商品は、原料価格の割合が大きく、仕入れ価格の上昇を吸収できる余地があまりありません。

これまで日常用のお茶には、一番茶だけでなく、二番茶や三番茶、茎、粉などを用途に合わせて配合してきました。しかし、現在はこれらの茶葉にも、ペットボトル飲料、粉末茶、食品原料などから強い需要があります。

以前なら比較的安く仕入れられた原料にも買い手が増えたため、低価格帯のお茶を作るための原料そのものが、安値で確保しにくくなっています。

高級茶だけが値上がりしているのではなく、「安いお茶を作るための茶葉」が特に不足していることが、2026年の大きな特徴です。

理由4.茶葉以外の加工費・包材費・物流費も上がっている

店頭や通販で販売されているお茶の価格は、茶畑で収穫された原料価格だけで決まるわけではありません。

  • 荒茶の選別や仕上げ加工
  • 火入れや合組作業
  • 茶袋、段ボール、ラベルなどの包装資材(Y社6月30%値上げ、S社7月に20%値上げ)
  • 工場や店舗の電気代
  • 製造・包装にかかる人件費
  • 運送会社へ支払う送料
  • 通販モールの販売手数料

こうした費用も上昇しています。

茶葉の仕入れ価格が上がり、さらに加工費や資材費、物流費まで上がることで、販売店の努力だけでは従来価格を維持できない状況になっています。

原料価格が2倍なら、販売価格も2倍になるの?

必ずしも、原料価格が2倍になったから小売価格もそのまま2倍になるわけではありません。

市場で公表される価格は、主に仕上げ加工前の「荒茶」の取引価格です。荒茶は、その後に茎や粉などを選別し、火入れをして味や香りを整え、袋詰めして商品になります。

小売価格には、原料以外の費用も含まれるため、原料が2倍になっても販売価格が必ず2倍になるとは限りません。

一方で、原料価格の上昇幅があまりに大きい場合、販売店がすべてを負担することもできません。そのため、値上げ、内容量の変更、商品の配合変更、販売終了など、何らかの対応が必要になります。

100gの商品が70gや50gに減っているのはなぜ?

2026年は、従来100gだったお茶が、70gや50gへ変更される例も増えると考えられます。

内容量を減らす理由の一つは、1袋当たりの支払金額が急に高くなりすぎるのを抑えるためです。また、少量の商品は開封後に早く飲み切りやすく、鮮度を保ちやすい利点もあります。

ただし、商品を比較するときは、袋の販売価格だけではなく、100g当たりの価格を見ることが大切です。

例えば、70gで700円の商品は100g換算で1,000円、50gで600円の商品は100g換算で1,200円です。内容量が違う商品でも、100g当たりに直すと比較しやすくなります。

お茶が高騰して、茶農家は大きくもうかっているの?

市場価格が上がると、「茶農家や販売店が大きくもうけているのでは」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、すべての生産者が同じように恩恵を受けているわけではありません。

茶業界では、長期間にわたって煎茶価格の低迷が続いてきました。その間にも、肥料、燃料、農薬、農業機械、修理費、人件費などは上昇しています。価格が高い年でも、収穫量が少なければ、必ずしも農家の収入が大幅に増えるとは限りません。

また、抹茶向けの栽培には被覆資材や専用設備が必要となる場合があり、新たな投資や作業負担も発生します。

今回の高騰は、一部の事業者だけが価格をつり上げたというより、これまで低価格で維持されてきた日本茶の生産と流通が、需要の急変に対応できなくなっている結果と見る方が実態に近いでしょう。

お茶の値上げは、いつまで続くのか

今後の相場を正確に予測することはできませんが、2026年時点では、短期間で以前の価格に戻る材料は多くありません。

  • 海外の抹茶需要が拡大している
  • 煎茶からてん茶への生産転換が続いている
  • 茶園や生産者を短期間では増やせない
  • 製茶工場や加工設備の増設にも時間がかかる
  • 人件費、資材費、物流費が上昇している

天候や為替、海外需要によって一時的に価格が下がる可能性はありますが、2024年以前の水準へすぐに戻るとは限りません。

今回のお茶の値上げは、一時的な不作だけではなく、日本茶の需要先と生産構造そのものが変化した結果だからです。

値上げ後も、お茶を上手に選ぶ方法

価格が上がったからといって、必要以上に高いお茶を選ぶ必要はありません。飲み方や用途に合わせて選ぶことが大切です。

  • 香りやうま味を楽しみたい
    一番茶や品種茶を少量ずつ選ぶ。
  • 毎日たくさん飲みたい
    二番茶を含む配合茶、玄米茶、ほうじ茶なども選択肢にする。
  • 価格を比較したい
    袋の価格ではなく、100g当たりの価格を確認する。
  • 1袋を長期間置いてしまう
    50gや70gの小容量を選び、鮮度のよいうちに飲み切る。
  • 茶葉を無駄なく楽しみたい
    一煎目だけでなく二煎目も飲み、水出しも活用する。

価格だけで選ぶと、味が好みに合わず、結果的に飲み切れないこともあります。産地、摘採時期、品種、味の特徴、内容量まで確認し、自分の飲み方に合った商品を選ぶことが、値上げ後の失敗を減らす方法です。

2026年のお茶の値上げに関するよくある質問

すべてのお茶が2倍になるのですか?

すべての商品が2倍になるわけではありません。2026年に前年の2倍以上となったのは、鹿児島県茶市場における一番茶・本茶の平均取引価格です。小売価格の上昇率は、原料の種類、配合、在庫、内容量、販売店によって異なります。

安いお茶はなくなりますか?

すぐにすべてなくなるわけではありませんが、従来と同じ品質・内容量・価格を維持することは難しくなっています。低価格商品の値上げ、小容量化、配合変更、終売が増える可能性があります。

今のうちに買いだめした方がよいですか?

必要以上の買いだめはおすすめしません。お茶は光、熱、湿気、酸素の影響を受けて徐々に風味が低下します。日常的に飲む量を考え、数か月程度で飲み切れる範囲で購入するのがよいでしょう。

ペットボトルのお茶も値上がりしますか?

ペットボトル飲料に使われる茶葉も市場で取引されているため、原料高の影響を受けます。ただし、最終的な販売価格は、容器、物流、製造量、メーカーの価格政策などにも左右されます。

まとめ|2026年のお茶の値上げは複数の原因が重なっている

2026年のお茶が値上がりしている主な理由は、次のとおりです。

  1. 世界的な抹茶需要が急増している
  2. 煎茶から抹茶原料のてん茶へ生産が移っている
  3. 煎茶として流通する茶葉が減っている
  4. 低価格帯に使われていた原料まで高騰している
  5. 茶園、生産者、製茶工場が長期的に減少している
  6. 加工費、包材費、人件費、物流費も上昇している

鹿児島県茶市場では、2026年の一番茶・本茶平均価格が前年の2倍以上となりました。しかし、これは単なる一時的な価格変動ではなく、日本茶を取り巻く需要と供給の構造が変化していることを示しています。

販売価格だけを見ると驚かれるかもしれませんが、その背景には、世界的な日本茶人気と、国内の生産現場が抱える人手不足や設備不足があります。

私たち茶販売業者も、できる限り品質と価格のバランスを保ちながら、日本茶が日常から離れてしまわないような商品づくりと説明を続けていく必要があると考えています。


執筆・監修

株式会社山麓園 代表取締役 甲斐 宣史
日本茶・健康茶の仕入れ、製造、加工、商品開発およびインターネット販売に従事。茶産地や生産者から原料を仕入れ、自社工場で仕上げ加工・粉末加工・包装を行う茶販売業者の立場から解説しています。

参考資料

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お茶の山麓園