「桑の葉茶は肝臓に悪いの?」「毎日飲んでいて大丈夫?」と気になっている方もいると思います。
現在確認できる資料から、桑の葉茶を一律に「肝臓に悪いお茶」と決めつけることはできません。 人を対象とした短期研究には、肝毒性が認められなかったという報告があります。一方で、特定条件の動物実験では肝臓への影響も報告されています。
大切なのは、研究で使われたものと普段飲むお茶を区別し、量や飲み方、持病や薬との関係を確認することです。お茶専門店の山麓園が、公的資料と研究報告をもとに整理します。
桑の葉茶の原料や基本的な特徴を知りたい方は、
食品の安全性を考えるときは、特定の成分を抽出・濃縮して摂る場合と、普段の食事やお茶として摂る場合を区別することが大切です。 成分の量や組成、摂る方法が違えば、同じ植物由来でも評価は変わります。
緑茶は、その違いが公的に検討されている例です。欧州食品安全機関(EFSA)は、伝統的に淹れた緑茶と、それと同等の組成の飲料について、欧州で報告される通常の飲用範囲では一般に安全と評価しています。一方、緑茶抽出物を含むサプリメントでは、EGCGというカテキンの一種を一日800mg以上摂った試験で、肝臓の検査値が上がったという報告があります。[8]
EUでは、規制対象となる緑茶抽出物を使った食品の一日分に含まれるEGCGを800mg未満とし、注意表示などを求めています。従来の緑茶と同等の組成になる水抽出物は対象から除かれています。これは「ペットボトルのお茶が欧州で一律に販売禁止」という意味ではありません。なお、800mgはカテキン全体ではなくEGCGの量であり、この数字未満なら必ず安全という境界でもありません。[8][9]
緑茶についての評価を、そのまま桑の葉茶の安全性の証明にすることはできません。ただ、桑の葉茶でも、抽出成分を多量に摂る場合と、葉を日常の食品として取り入れる場合を同じ条件として扱わないことが大切です。
高濃度の抽出物に関する情報だけを見て、普段のお茶まで危険と決めつける必要はありません。 加工の有無だけで判断せず、原材料、使用量、自分の体調を確認して、日常の一杯を楽しみましょう。緑茶でも体質によるまれな肝障害の報告はあるため、体調の変化には目を向けてください。[8]
桑の葉をお茶として飲んだり、葉の粉末を料理に使ったりする方法と、特定の成分を抽出・濃縮したサプリメントでは、成分の割合や摂取量が異なります。消費者庁も、通常の食品形状は錠剤・カプセル状の製品より過剰摂取になりにくいと説明しています。濃縮成分についての注意情報を、そのまま普段の桑の葉茶に当てはめて、不安になる必要はありません。商品に記載された目安量を守り、日常のお茶として楽しむことが基本です。
米国の公的機関であるNIHのNCCIHは、桑の葉について、最長12週間の研究では重篤な有害作用がみられなかったと説明しています。ただし、人を対象とした研究は限られているともしています。[1]
肝臓について調べた研究もあります。2006年に公表された、2型糖尿病の患者23人を対象とする試験では、桑の葉抽出物を摂る群と比較用の群に分け、12週間の変化を確認しました。桑の葉抽出物を摂った群では、AST・ALT・γ-GTPが少し上昇したものの、研究で正常範囲とされる値にとどまり、肝毒性は認められなかったと報告されています。[2]
これは安心材料の一つですが、対象人数や期間が限られ、使用されたのも特定の抽出物です。すべての商品や、何年もの飲用にそのまま当てはめることはできません。
「肝臓に悪いと決まっている」という理解も、「誰がどれだけ飲んでも大丈夫」という理解も、研究の内容とは異なります。
桑の葉と肝臓の関係を説明するには、人の研究だけでなく、動物実験の条件も確認する必要があります。
| 資料・研究 | 調べた条件 | 報告されたこと |
|---|---|---|
| 国立健康・栄養研究所の平成15年度研究報告 | ラットに桑の葉を混ぜた飼料を与え、コレステロール添加の有無などを比較。飼育期間は81日間 | 桑の葉とコレステロールを組み合わせた条件などで、肝臓の組織に脂肪滴の変化が報告された |
| 2024年の桑の葉抽出物の毒性研究 | 雌マウスにエタノールで抽出した桑の葉成分を投与 | 高用量の条件で、ALT・ASTの上昇など肝臓への影響が報告された |
出典:[3][4]
前者は桑の葉を飼料に混ぜた実験、後者はエタノール抽出物を使った実験です。「濃縮エキスの研究だけだから、葉の粉末には関係ない」と片づけることも適切ではありません。
一方、動物の種類、飼料、投与量、成分の取り出し方は、私たちの日常の飲用と異なります。これらの結果から、そのまま「桑の葉茶を毎日一杯飲むと肝臓を傷める」と結論づけることはできません。
研究から日常の飲み方を考える際には、健康のために量を際限なく増やさず、製品の案内に沿って取り入れることが基本になります。
同じ「桑の葉」を使っていても、製品の形態によって摂り方が異なります。
| 形態 | 摂り方・特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 茶葉・ティーバッグ | お湯や水で抽出したお茶を飲み、茶殻は残る | 一回の茶葉量、水量、抽出方法 |
| 桑の葉パウダー | 乾燥した葉そのものを細かくし、飲み物や食品に混ぜる | 一回に加える粉末量、一日の使用量 |
| 抽出エキス・サプリメント | 成分を抽出したものを使用。ほかの原料が配合される製品もある | 抽出物の内容、含有量、原材料、摂取目安 |
粉末であることだけでは、葉を丸ごと粉砕したものか、抽出物を粉末にしたものかは判断できません。原材料表示や商品説明を確認しましょう。
山麓園の桑の葉パウダーは、熊本県産の桑の葉を細かく粉砕したものです。製法は
こうした違いは研究を読み解くうえでも大切です。葉の粉末と抽出エキスでは、同じ「1g」でも成分の量や組成が同じとは限りません。また、形態の違いだけで、肝臓に対する安全性の優劣を決めることもできません。
味や使い方で選びたい方は、
桑の葉茶は、食事や日常のお茶として取り入れられる食品です。続けるときは、次の点を確認してください。
「たくさん飲めば、その分だけ健康によい」とは限りません。商品に記載された量や淹れ方を目安にし、粉末を使う場合は、実際に加える量を確認しましょう。
粉末を多く入れたまま水を足しても、全部飲めば摂る粉末の総量は変わりません。濃さだけでなく、使った粉末量を見ることが大切です。
肝臓の病気で治療中の方、健診で肝機能の異常を指摘された方は、飲み始める前に主治医へ確認してください。原材料、飲む予定の量、ほかに使っている健康食品がわかると相談しやすくなります。
また、NCCIHは、桑の葉と糖尿病の薬の併用で低血糖が起こる可能性に注意を促しています。これは肝臓への影響とは別の注意点です。血糖を下げる薬を使っている方は、医師・薬剤師に相談しましょう。[1]
厚生労働省の資料には、健康食品やサプリメントに関連する肝障害も記載されています。ただし、健康食品全般の報告を、そのまま桑の葉茶の害とみなすことはできません。[5]
複数の商品を使っている場合は、桑の葉茶だけでなく、サプリメントや漢方薬なども含めて医師・薬剤師に伝えてください。NIHも、植物由来のサプリメントの安全性は、成分、加工方法、摂取量などによって異なると説明しています。[6]
飲みすぎや体質との相性など、一般的な注意点は
桑の葉茶を飲み始めたあとに健診の数値が上がっても、時期が重なったことだけでは原因はわかりません。使っている薬や健康食品、飲み始めた時期、量を医師に伝えて、確認してもらいましょう。
皮膚や白目が黄色くなる、強いだるさ、食欲低下、吐き気などが出た場合は、桑の葉茶や新しく始めた健康食品の使用を中止し、早めに医療機関へ相談してください。 黄疸など明らかな異変がある場合は、様子を見ながら飲み続けないでください。[5]
これらは桑の葉茶に特有の症状という意味ではありません。処方されている薬の中止や変更については、医師の指示を受けてください。
肝臓への好ましい影響を調べた研究もあります。2022年の研究では、実験的に急性肝障害を起こしたラットに桑の葉抽出物を使い、肝臓の組織や関連する指標の改善が報告されました。[7]
ただし、これは動物に特定の条件で抽出物を使った結果です。市販の桑の葉茶を飲めば、人の脂肪肝や肝炎が改善するという根拠にはなりません。
悪い影響の研究も、好ましい影響の研究も、対象・量・形態を確かめて読むことが大切です。 肝機能の数値が気になる方は、お茶で対処しようとする前に、原因や治療の必要性を医療機関で確認しましょう。
桑の葉茶について不安な情報を見かけたときは、「人の飲用を調べた結果なのか」「葉のお茶、粉末、抽出エキスのどれなのか」「どのような量で調べたのか」を確認してみてください。
食卓のお茶として楽しむ方は、原材料や使用量がわかる商品を選び、味や飲みやすさに合わせて無理なく取り入れましょう。持病や服薬がある方は、自分に合う飲み方を医師・薬剤師と確認すると安心です。
山麓園では、桑の葉をそのまま粉砕したパウダーと、抽出して飲むティーバッグをご用意しています。選び方や飲み方は、
確認日:2026年10月4日(緑茶とEU規制の資料は10月5日追記)。以下は記事で参照した資料です。当店商品そのものの臨床試験を示すものではありません。