ティーバッグの商品説明で、よく見かけるのが「無漂白フィルター使用」という表示です。
しかし、無漂白は素材名ではありません。
無漂白と書かれていても、そのティーバッグが紙なのか、ナイロンなのか、植物由来のポリ乳酸なのかは分かりません。また、紙のように見えるフィルターにも、袋を熱で閉じるための合成樹脂が含まれる場合があります。
ティーバッグを選ぶときは、「無漂白」という言葉だけでなく、正式な素材と袋の接合方法を確認することが大切です。
| 素材 | 主な特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 紙・セルロース系 | 細かな原料が漏れにくく、比較的安価 | 粉末、細かな茶葉、平型ティーバッグ |
| ナイロン・PET | 透明で丈夫。湯通りがよく、茶葉が広がりやすい | 大きな茶葉、紅茶、花、テトラ型 |
| PLA(ポリ乳酸) | 植物由来で生分解性を持つ | 細かな原料から大きな茶葉まで |
紙系フィルターには、熱で袋を閉じるため、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱融着性樹脂を混ぜたものがあります。
そのため、
という理由だけでは、プラスチック不使用とは判断できません。
ナイロン製フィルターには、透明で中身が見え、丈夫で抽出性が高いという長所があります。PLA製フィルターより安価なことも、広く採用される理由です。
問題はナイロンを使うこと自体ではなく、素材名を分かりやすく表示せず、「無漂白」だけを強調することです。
「無漂白」は漂白処理の有無を示す言葉であり、石油由来か、植物由来か、生分解するかまでは分かりません。
ナイロンやPET製ティーバッグを熱湯に浸したとき、マイクロプラスチックやナノプラスチックが放出される可能性は、複数の研究で報告されています。
2019年の研究では、95℃のお湯に5分間浸したティーバッグ1個から、
が検出されたと報告されました。検出粒子の組成は、使用したナイロンまたはPET製フィルターと一致したとされています。
一方、別の測定方法では、1μmを超える粒子が1袋当たり約5,800~20,400個だったとの報告もあります。
研究によって数千個から数十億個まで大きな差がありますが、測定対象となる粒子の大きさや分析方法が異なるため、単純には比較できません。最初の研究者も、指摘に対して元の結果を支持する回答を発表しています。
したがって、「数十億個という研究は間違い」と否定することも、「すべての製品から必ず同じ数が出る」と断定することもできません。
現時点でいえるのは、
ナイロンやPETなどの石油由来プラスチック製ティーバッグから、マイクロプラスチックやナノプラスチックが放出される可能性があり、その量は研究によって大きく異なる
ということです。
人体への長期的な影響は、まだ十分に解明されていません。ドイツ連邦リスク評価研究所は、食品から摂取するマイクロプラスチックによる健康被害を示す明確な証拠は現時点でないとする一方、評価に必要な情報は十分ではないとしています。
PLAは、トウモロコシなどの植物資源を原料とするポリ乳酸です。分類上はプラスチックですが、一定の条件下で微生物によって分解される性質があります。
PLA製フィルターにも、用途に応じて異なる構造があります。
粉末や細かな茶葉が漏れにくいため、健康茶や細かく粉砕した原料に向いています。
煎茶、紅茶、大きめの茶葉など、茶葉の広がりや外観を見せたい商品に向いています。
大きな茶葉、花、ハーブなど、袋の中で十分に広がる空間が必要な原料に適しています。
| PLAの構造 | 特徴 |
|---|---|
| 不織布 | 細かな原料が漏れにくい |
| メッシュ | 透明性と湯通りに優れる |
| ニット | 柔軟で大きな茶葉が広がりやすい |
このように、生分解性フィルターも一種類ではなく、原料の大きさや抽出性に合わせて選べます。
【ここにPLA不織布・メッシュ・ニットの比較写真を掲載】
フィルターの素材だけでなく、袋の接合方法も重要です。
一般的には、熱融着性樹脂や接着剤を使う方法のほか、超音波圧着があります。
超音波圧着は、接合部分へ超音波振動を加え、発生する熱によってフィルター同士を融着させる方法です。別の接着剤を塗布せず、同じ素材同士で袋を閉じられます。
「植物由来フィルター」と表示されていても、接着剤や熱融着成分が別素材である場合があるため、接着剤の有無と接合方法も確認する必要があります。
PLAフィルターは、一般的なナイロン製フィルターより高価です。
山麓園の仕入れ条件では、PLA不織布はナイロン系フィルターと比較して、2倍を少し超える価格になることがあります。
ナイロンには、安価、丈夫、透明、抽出性が高いという実用上の利点があります。一方、PLAには、
という特徴があります。
どの素材にも長所と短所があり、価格、抽出性、原料の細かさ、環境面のどれを重視するかによって選択が変わります。
山麓園では、ティーバッグ商品に植物由来のポリ乳酸100%で作られたPLAシリーズを使用しています。
商品に合わせて不織布、メッシュなど、適した構造を選んでいます。
袋の封止には接着剤を使用せず、超音波圧着によってPLA同士を融着しています。そのため、
という構成です。
ナイロン、PET、ポリプロピレンなどを使用材料に含まないため、フィルター本体や封止用接着剤を由来とする石油系マイクロプラスチックを避けられます。
ただし、PLAも分類上はプラスチックです。PLA由来の微細な粒子が一切発生しないと断定するものではありません。
資材メーカーからは「100%土に還る素材」と説明を受けていますが、分解速度は温度、水分、微生物などの環境条件によって異なります。庭へ埋めれば短期間で必ず消えるという意味ではありません。
ティーバッグを選ぶときは、「無漂白」という表示だけでなく、次の点を確認することが大切です。
ナイロンには価格や抽出性の長所がありますが、石油由来のマイクロプラスチックやナノプラスチックの放出を報告した研究もあります。
紙に見えるフィルターにも、熱融着用のプラスチックが含まれる場合があります。
「無漂白」「自然派」という印象だけではなく、実際に何で作られ、どのように袋を閉じているかまで確認することが、ティーバッグ選びのポイントです。
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