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抹茶は一番茶と二番茶で何が違う?8検体の成分分析で分かったこと

そのまま点てて飲む高品質な抹茶には一番茶が使われ、抹茶ラテや製菓向けには二番茶以降が使われることが多くあります。

しかし、なぜ一番茶は水で点てて飲む抹茶に向き、二番茶以降はラテやお菓子に向いているのでしょうか。単に、一番茶の方が高価だからでしょうか。

山麓園では、熊本県産抹茶の原料を選ぶ際に、味、香り、色だけでなく、茶成分分析計を使って全窒素、遊離アミノ酸、テアニン、タンニン、繊維などを測定しています。

今回は、山麓園が取り扱った一番茶5検体と、同一生産者が栽培した二番茶「さえあかり」3検体を比較しました。その結果、旨味に関係する成分と苦渋味に関係する成分に、はっきりした違いが見られました。

+56%一番茶の遊離アミノ酸

+57%一番茶のテアニン

+41%二番茶のタンニン

分析結果を先にまとめると

一番茶5検体と二番茶3検体の平均値を比べると、次の傾向が確認できました。

  • 一番茶は、遊離アミノ酸が約56%多い
  • 一番茶は、テアニンが約57%多い
  • 二番茶は、タンニンが約41%多い
  • 二番茶は、繊維が約16%多い
  • カフェインの差は比較的小さい

一番茶は旨味やまろやかさを感じやすく、二番茶は苦渋味や茶らしい力強さが出やすい傾向です。

ただし、これは「一番茶が良く、二番茶が悪い」という意味ではありません。飲み方や用途によって、求められる味の強さが異なります。

一番茶と二番茶の平均成分を比較

測定項目一番茶5検体平均二番茶3検体平均主な違い
全窒素6.44%5.27%一番茶が約22%高い
遊離アミノ酸5.18%3.33%一番茶が約56%多い
テアニン2.98%1.90%一番茶が約57%多い
繊維20.66%23.97%二番茶が約16%多い
タンニン7.02%9.90%二番茶が約41%多い
カフェイン2.38%2.60%二番茶が約9%多い
ビタミンC0.388%0.267%一番茶が高い
AFスコア75.2点34.7点一番茶が高い

※同一の茶成分分析計による山麓園の自社測定値です。検査票には水分基準0.0%と表示されています。

※AFスコアは使用した分析機器の内部指標であり、抹茶業界共通の品質等級ではありません。

一番茶は、春に最初に摘まれる新芽

一番茶は、冬を越した茶の木から春に最初に伸びた新芽を摘んで作ります。冬の間に蓄えられた養分を使って伸びるため、アミノ酸やテアニンを比較的多く含みやすい傾向があります。

今回の一番茶5検体では、遊離アミノ酸の平均が5.18%、テアニンの平均が2.98%でした。最も高い検体では、遊離アミノ酸6.0%、テアニン3.5%、タンニン6.2%という結果でした。

このような原料は、牛乳や砂糖を加えず、水で点てたときにも旨味、まろやかさ、余韻を感じやすくなります。山麓園が薄茶・飲用向けの高品質抹茶に一番茶原料を使用する理由の一つです。

二番茶は、一番茶の後に伸びた茶葉

二番茶は、一番茶の摘採後に再び伸びた芽から作ります。気温と日照量が高くなる時期に育つため、一番茶と比べてアミノ酸やテアニンが少なく、タンニンや繊維が多くなる傾向があります。

今回測定した二番茶3検体は、すべて同一生産者が栽培した「さえあかり」です。タンニンは9.8%、9.9%、10.0%と非常に近く、平均9.90%でした。

抹茶は茶葉を丸ごと飲むため、原料差が味に表れやすい

煎茶や玉緑茶は、茶葉にお湯を注ぎ、抽出された成分を飲みます。飲み終えた茶葉は急須に残ります。

一方、抹茶は茶葉を微細に粉砕し、水や牛乳の中に分散させて、茶葉そのものを飲みます。砂糖のように完全に溶解しているわけではなく、細かな茶葉の粒子が液体の中に浮いている状態です。

そのため、抽出して飲む茶よりも、原料に含まれるアミノ酸、テアニン、タンニン、繊維などの違いが、味や舌触りへ反映されやすいと考えるのが自然です。

もちろん、成分値だけでおいしさが決まるわけではありません。品種、被覆期間、摘採時期、香り、色、製造状態、粉砕粒度、鮮度も味を大きく左右します。

それでも、茶葉を直接味わう抹茶では、成分分析の数値は商品設計に使える重要な判断材料になります。

タンニンが多い二番茶は、必ず低品質なのか

タンニンが多い原料を水だけで点てると、苦い、渋い、刺激が強いと感じる場合があります。

ところが、抹茶ラテでは牛乳や植物性ミルク、砂糖、シロップ、氷などを加えます。繊細で苦渋味の少ない一番茶だけでは、抹茶の味が牛乳に負けてしまうことがあります。

二番茶以降の原料が持つ、はっきりした苦渋味や茶らしい力強さは、牛乳や甘味を加えても抹茶の存在感を残すという長所になります。

クッキー、ケーキ、チョコレート、アイスクリームなどでも同様です。小麦粉、砂糖、卵、油脂の中で、抹茶の味を残す強さが必要です。

二番茶は一番茶より単純に低品質なのではなく、ラテや製菓に向いた性質を持っていると考える方が適切です。

山麓園における飲用向け抹茶とラテ・製菓向け抹茶

山麓園では、薄茶・飲用向け抹茶を、水で点ててそのまま味わうことを想定した高品質な抹茶と位置づけています。

そのため、原則として一番茶原料を使用し、旨味と甘味、苦味・渋味とのバランス、香り、色、口当たり、飲み終えた後の余韻を重視します。

一方、抹茶ラテ・製菓向け抹茶には、主に二番茶以降の原料を使用します。ラテや製菓では、牛乳、砂糖、小麦粉、卵、油脂の中でも、抹茶の味や香りが残る力強さが必要になるためです。

より上質なラテ向け抹茶では、二番茶を主体としながら、一番茶原料を一部配合することもあります。一番茶を加えることで、色、香り、旨味、まろやかさを補いながら、二番茶が持つ茶らしい力強さを残せます。

成分値を見ながら、用途に合う味を設計する

山麓園では、業務用抹茶を作る際に、成分値を参考にしながら原料を配合することがあります。

タンニンが10%前後の二番茶だけでは、水で飲むと苦渋味が強すぎる場合があります。そこで、アミノ酸やテアニンが多く、タンニンが比較的少ない一番茶を加えると、味の角が取れ、旨味と厚みを補えます。

反対に、一番茶だけではラテにした際に味が弱い場合、二番茶を配合して抹茶らしい力強さを加えることもできます。

成分分析は、茶葉を単純に順位づけるためではなく、用途に応じた味を作る設計図として活用できます。

ただし、最終的な判断は数値だけでは行いません。粉砕後の抹茶を実際に点て、色、香り、旨味、苦味、渋味、舌触り、後味を確認します。ラテ用であれば、牛乳や植物性ミルクと合わせ、甘味を加えた状態でも試飲します。

数値で方向性を決め、最後は実際に飲んで確かめる。それが山麓園の抹茶作りです。

同じ一番茶でも成分には差がある

検体全窒素遊離アミノ酸テアニン繊維タンニンAF
一番茶A6.6%5.4%3.1%20.6%6.5%77
一番茶B6.8%5.6%3.3%19.7%6.5%87
一番茶C6.9%6.0%3.5%18.7%6.2%104
一番茶D6.2%4.6%2.6%21.0%7.5%60
一番茶E5.7%4.3%2.4%23.3%8.4%48

最も高い検体と低い検体では、遊離アミノ酸、テアニン、タンニンに大きな差があります。つまり、「一番茶使用」と書かれていても、すべてが同じ品質ではありません。

品種、茶園、被覆日数、摘採時期、芽の成熟度、肥培管理、製造、保管状態によって、一番茶の中でも品質は変わります。

二番茶「さえあかり」3検体の測定結果

検体全窒素遊離アミノ酸テアニン繊維タンニンカフェインAF
二番茶A5.6%3.9%2.2%22.7%10.0%2.7%44
二番茶B5.0%3.0%1.7%25.8%9.9%2.4%28
二番茶C5.2%3.1%1.8%23.4%9.8%2.7%32

用途別に一番茶と二番茶を選ぶ

主な用途向いている原料理由
薄茶として点てて飲む良質な一番茶旨味やテアニンが多く、苦味・渋味が比較的穏やか
茶道のお稽古一番茶中心香り、旨味、口当たりのバランスを楽しみやすい
上質な抹茶ラテ二番茶主体+一番茶配合牛乳に負けない力強さと、色・旨味を両立しやすい
一般的な抹茶ラテ二番茶以降牛乳や甘味を加えても抹茶の存在感が残りやすい
製菓・アイス味の強い二番茶以降砂糖、油脂、小麦粉の中でも風味が消えにくい

検査票の原本

以下は、記事で使用した分析計の出力票です。英語ページと共通の画像ファイルを使用しています。 一番茶5検体の検査票を見る

二番茶「さえあかり」3検体の検査票を見る

今回の測定結果に関する注意点

今回の分析は、山麓園が2026年に取り扱った一番茶5検体と、二番茶さえあかり3検体を比較したものです。日本全国のすべての一番茶と二番茶を代表するものではありません。

また、二番茶は同一生産者・同一品種ですが、一番茶は複数の原料を含みます。一番茶と二番茶の違いだけを厳密に調べるには、同じ生産者、同じ品種、同じ茶園の一番茶と二番茶を比較する必要があります。

今回の結果は学術的な大規模試験ではなく、山麓園の商品開発と原料評価のための自社測定です。それでも、一番茶ではアミノ酸やテアニンが多く、二番茶ではタンニンが多いという明確な傾向が見られ、実際の試飲結果とも一致しました。

まとめ|一番茶と二番茶は、優劣ではなく用途で選ぶ

今回の成分分析では、一番茶は遊離アミノ酸とテアニンが多く、タンニンが比較的少ない結果でした。一方、二番茶はアミノ酸やテアニンが少なく、タンニンと繊維が多い結果でした。

水だけで点てて飲む場合は、一番茶のまろやかさや旨味が長所になります。牛乳や砂糖と合わせるラテ、製菓用途では、二番茶の苦渋味や茶らしい力強さが長所になります。

大切なのは、「一番茶だから良い」「二番茶だから悪い」と単純に判断せず、飲み方や用途に合った原料を選ぶことです。

山麓園では、摘採時期だけでなく、成分分析、品種、色、香り、粉砕状態を確認し、最後は実際に飲んで、用途に合う抹茶を設計しています。

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