鹿児島茶 本茶価格の比較表
単位:円/kg
| 茶期 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 2025年→2026年 | 2024年→2026年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 一番茶・本茶 | 1,827 | 2,564 | 5,228 | 約2.04倍 | 約2.86倍 |
| 二番茶・本茶 | 730 | 1,522 | 未公表 | — | — |
| 二番茶・参考値:鹿児島茶市場全体平均 | 668 | 1,359〜1,444 | 2,454 | 約1.81倍 | 約3.67倍 |
※二番茶2026年の2,454円/kgは「本茶」ではなく、鹿児島茶市場の二番茶全体平均です。静岡茶市場資料では、2026年6月29日現在の鹿児島茶市場二番茶平均が2,454円/kg、前年比180.6%とされています。静岡茶市場
※2025年二番茶の本茶平均1,522円/kgは6月23日現在の数値です。鹿児島茶業会議所より
鹿児島茶 本茶価格の推移
単位:円/kg。2026年二番茶は参考値。
さらに、この価格高騰は、世界的な抹茶ブームの影響ですが、その抹茶の原料となる碾茶は、平均価格1万3910円で去年の6013円から2.3倍に上昇しました。
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2026年の鹿児島茶は、例年にない高値で取引されています。特に煎茶が中心となる「本茶」の一番茶平均価格は、2024年の1,827円/kg、2025年の2,564円/kgから、2026年には5,228円/kgまで上昇しました。わずか2年で約2.9倍になった計算です。2026年の一番茶本茶価格は、記録が残る1975年以降で最も高い取引額と報じられています。
この価格上昇の背景には、世界的な抹茶需要の拡大があります。抹茶原料である「てん茶」への転換が進んだことで、煎茶として流通する本茶の供給量が減少し、結果として煎茶価格が押し上げられました。2026年の一番茶では、てん茶の平均価格も前年の6,013円/kgから13,910円/kgへ大きく上昇しています。
茶農家さんからは、「この20年ほど価格が下がり続け、設備更新も難しい状況だった」「近年は辞めた人も多い」という話を聞きました。今回の価格上昇によって、ようやく機械の更新や茶園管理に投資でき、今後も茶業を続けられる可能性が見えてきたという声もあります。
実際、鹿児島県茶生産協会も、価格上昇について「低迷が続いた茶業経営の好転につながっている」としつつ、一方で下級茶価格の高騰や労働力不足により、上級茶の生産意欲低下が懸念されるとも指摘しています。
つまり、単に「お茶が高くなった」という話ではありません。これまで安すぎた価格の中で、茶農家が限界まで耐えてきた結果、ようやく持続可能な価格に近づいたという見方もできます。
お茶の場合は、特に収穫して終わりではないところが、他の農産物と違うところです。シーズン中、農家さんは、朝昼に茶を摘んでから、夜通しで機械を動かし、朝出荷し、またそれから茶を摘むという、かなりハードな毎日です。それでいてお茶が安くしか売れないという現実をずっと続けての今です。親から受け継いできた農地を守るという意識が強く、借金をして設備を購入している人も多いため、転職なんかも簡単にはできません。
一方で、茶業者にとっては非常に厳しい状況です。
原料価格が一気に2倍近くになれば、これまでの販売価格では採算が合わなくなります。特に影響が大きいのは、日常用のお茶、業務用のお茶、低価格帯の商品です。
高級茶であれば、ある程度価格に反映しやすい面もあります。
しかし、毎日飲むお茶は、価格が少し上がるだけでも消費者にとって負担感が出ます。
当社が聞いたある茶業者の話では、スーパー向けの契約商品では鹿児島茶が完全に赤字となり、販売量も7割に減少しているとのことでした。個別の事例ではありますが、茶業界全体がこれまでの価格体系では対応しきれなくなっていることを感じます。
さらに、原料だけではありません。
包装資材、人件費、物流費も上がっています。特に袋などの包装資材は、石油由来原料の高騰の影響も受けます。
仕入れは上がる。
資材も上がる。
人件費も上がる。
しかし、販売価格をそのまま上げれば、お客様に選ばれにくくなる。
茶業者は今、その板挟みの中にいます。
単純に「値上げします」で済む話ではありません。容量を見直すのか、品質を維持するのか、日常茶と上級茶をどう分けるのか。これからの商品設計そのものを見直す時期に来ています。
消費者の立場から見ると、お茶の値上がりは当然負担です。
毎日飲むものだからこそ、価格が上がれば家計への影響もあります。特に、これまで500円前後で買えていたお茶や、大容量のお徳用茶を利用していた方にとっては、値上がりを強く感じると思います。
しかし、お茶は工業製品ではありません。
茶畑を管理し、肥料を入れ、霜や天候に注意しながら新芽を育て、摘採し、荒茶に加工し、仕上げ、袋詰めして、ようやく商品になります。
農家が続けられなければ、将来そのお茶は作られません。
茶業者が適正に仕入れ、適正に販売できなければ、お茶は消費者のもとに届きません。
その意味で、今回の価格上昇は「消費者にとって不利な値上げ」とだけ見るのではなく、「産地を守り、品質のよいお茶を将来も飲み続けるための価格」と考える必要があります。
ただし、最も心配なのは、今回の高値が一時的なブームで終わってしまうことです。
抹茶人気によって一気に価格が上がり、来年以降に暴落するようであれば、農家は安心して設備投資ができません。
茶業に必要なのは、一年だけの高値ではありません。
農家が続けられる価格。
茶業者が販売を続けられる価格。
消費者が納得して買える価格。
この3つのバランスが取れてこそ、日本茶の産地は守られていきます。
日本では、お茶は昔からおもてなしのしるしでした。
食事処で無料で出てくる。
旅館で無料で出てくる。
会社や家庭でも、当たり前のように出てくる。
その文化自体は、とても素晴らしいものです。
しかし、その一方で、「お茶は安いもの」「お茶はタダで出てくるもの」という意識も根づいてしまいました。
コーヒーにはお金を払う。
抹茶ラテには高いお金を払う。
海外では、抹茶が高級品として評価されている。
それなのに、日本茶だけは「安くて当たり前」のままでよいのでしょうか。
この意識が変わらないまま、世界中で抹茶や日本茶の需要が高まり続ければ、将来、日本人が本当に良いお茶を今までのような価格で飲めなくなる日が来るかもしれません。
お茶が高くなった。
それは確かです。
しかし、見方を変えれば、ようやくお茶の本当の価値が見直され始めたとも言えます。
2026年の鹿児島茶価格は、数字だけを見ると大幅な高騰です。
しかし、その背景には、長年続いた茶価低迷、茶農家の離農、抹茶需要の急拡大、煎茶供給の減少、資材費や人件費の上昇など、さまざまな要因があります。
お茶の価格が上がることは、消費者にとって簡単に受け入れられることではありません。
それでも、茶農家が続けられなければ、良いお茶は作られません。
茶業者が適正に仕入れ、適正に販売できなければ、お茶は消費者のもとに届きません。
これから大切なのは、「安ければよい」ではなく、「適正な価格で、良いお茶を未来につなぐ」という考え方ではないでしょうか。
山麓園としても、産地の現状を正直にお伝えしながら、日常的に飲みやすいお茶と、価値ある上級茶の両方をお届けしていきたいと考えています。