碾茶は抹茶の原料となるお茶で、独特の製法と風味を持つことで知られています。碾茶の製造過程では、摘み取った茶葉を蒸してから、乾燥させる際に揉まずに乾かすため、茶葉が平らな形状を保ちます。この後、石臼で細かく挽くことで抹茶が作られます。碾茶の品質は、抹茶の風味や色、香りに大きく影響するため、特に重要視される原料です。
2020年に、鹿児島県が碾茶の生産量で全国1位となりました。これは、令和2年に鹿児島県が初めてこの栄誉を手にしたことを意味します。以下は、過去6年間(2018年~2023年)の主要な碾茶生産地の生産量推移です。
年度 | 鹿児島県 (トン) | 静岡県 (トン) | 京都府 (トン) | 愛知県 (トン) |
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2018 | 578 | 510 | 1181 | 545 |
2019 | 832 | 530 | 840 | 494 |
2020 | 800 | 455 | 622 | 364 |
2021 | 1007 | 442 | 710 | 407 |
2022 | 1392 | 435 | 898 | 397 |
2023 | 1585 | 505 | 970 | 365 |
この表からも分かるように、鹿児島県の碾茶生産量は年々増加しており、ついに京都府を抜いてトップの座に輝きました。
他で、京都が抹茶生産量1位と紹介しているサイトや情報もあるかもしれません。それは、鹿児島産の碾茶を京都などで粉末加工するパターンも多いため、抹茶の加工品としての量が京都が1位ということになると思われます。
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抹茶といえば、かつては茶道での使用が主流でした。しかし、現在では抹茶の用途が大きく変わりつつあります。抹茶ラテやスイーツ、抹茶ケーキやパン、アイスクリームのトッピング、水に溶かして飲む、プロテインのフレーバーとして利用するなど、さまざまな形で抹茶が日常生活に取り入れられるようになりました。その結果、点前で抹茶を使用する人の割合は少なくなり、日常的に抹茶を楽しむ人々が増えています。
さらに、抹茶には抗酸化作用や血糖値の低下など、健康に良いとされる成分が豊富に含まれており、健康維持を目的とした消費も増加しています。特に海外では、日本食ブームの影響で抹茶の需要が急速に拡大しており、その影響が国内の抹茶市場にも及んでいます。
2024年には、さらに大幅な生産量の増加が見込まれています。新たに5つの碾茶工場が稼働を開始し、これまで煎茶を生産していた畑の一部が碾茶生産へと転換されました。特に、中・遅場産地を中心に碾茶生産への移行が進んでいます。これは、これらの地域では煎茶の単価が上がりにくい傾向があり、高収益が期待できる碾茶生産が魅力的な選択肢となっているためです。
また、鹿児島県で生産された抹茶の多くは海外市場に向けて出荷されており、2024年の一番茶では生産量が大幅に増加する一方で単価も上昇した模様です。高い需要が背景にあり、鹿児島県の抹茶産業は今後も成長が期待されています。
鹿児島県が碾茶生産量で全国1位となったことは、日本茶産業における大きな変化を象徴しています。鹿児島の抹茶は、特に海外市場での需要に応えるために煎茶から碾茶への転換が進んでおり、これまでの伝統的な抹茶産地である宇治や八女と肩を並べる存在となりつつあります。
今後、鹿児島産の抹茶が国内市場でもコストパフォーマンスに優れた商品として流通することで、抹茶がさらに身近な存在になることが期待されます。また、鹿児島県ならではの品種である「ゆたかみどり」など、独自の魅力を持つ抹茶も注目されています。鹿児島県の茶業は、これからもその成長を続け、日本茶の未来を切り開いていくことでしょう。
参考:https://kagoshima-cha.or.jp/knowledge/kagoshima-chagyo/
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