お茶のイメージ
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2017年産新茶の相場と評価

今年の新茶はどうだったのか?

二十数年ぶりに遅くなった新茶の収穫

 

今年は本当に新茶が遅くなりました。個人的には、お茶屋をすることになってこんなにも新茶が遅くなったのは初めてでした。20数年ぶりのこととだとか。このような経験はなかったので、こんなことになるとは、想像がつかなく、相場も荒れた展開となりました。

2016年も割と新茶が遅れていたのですが、それよりも7~10日遅れ。4月11日に鹿児島で新茶の初入札が開催されましたが、出品されたのはなんとたったの25kg。形だけのおそらくPR目的で行われたといったところです。

知覧町の茶畑 新芽の伸長具合 2017年4月12日

*写真:2017年4月12日撮影 知覧町の新芽の状況

昨年は熊本地震があって散々な目に遭いましたが、今年もお茶に関しては大変な苦労をしたように思えます。皆様から新茶のご予約をたくさんいただいていただけに、プレッシャーで胃が毎日痛かったです。

 

品種別の新茶の出来具合と相場について

 

さて、2017年の新茶(鹿児島茶)の出来具合について、感想を述べたいと思います。

新茶の出来具合:新芽の画像

*↑知覧町:さえみどりの新芽 4月12日

あくまで私の個人的な意見としてご参考ください。

鹿児島の茶取引センター

*鹿児島茶取引センター(入札場):鹿児島県中の茶葉が集まりここで取引される

 

さえみどり

全体的にかなり出来が悪かったと感じています。水色の悪いものが多く、苦み渋みが例年より強めの印象でした。価格も最初は高く、中盤落ち着くも後から上がる傾向でした。なんとか良品を確保できましたが、いつものようにさえみどり頼りというわけにはいかないと感じました。

 

あさつゆ

さえみどりと同じ傾向だった思います。水色悪く、苦み渋み強い。全体的な出来は悪い。良品少ない。

 

ゆたかみどり

さえみどりと対照的に出来が良かったように感じた。水色は良好、味わいも例年よりまろやかで旨みも十分だった。終始価格は高めだったが、結果としては中盤が狙い目でした。終盤は品質の低いバサバサな品でも逆に価格が上がる展開に。安いところは結局なかった。

 

やぶきた

このころは、新茶の販売と製造に忙しく、あまり多くのサンプル試飲はしていないので、はっきりとは言えませんが、出来がどうこうというより、値段が高かったという印象。特に狙っていた安いやぶきたは出なかった。

 

 

 

全体的総評

 

当初、新茶は超短期集中型の相場展開が予想されていました。
短期集中型は、一般的に農家の摘み遅れや集中的大量出品によって、中盤以降は相場は下がる傾向が予想されるのです。

実際のところは、新茶がかなり遅れたことから最初は高値の展開に。中盤ある程度落ち着くも、最大の茶産地である静岡が大幅収量減とわかると相場が尻上がりの展開に。鹿児島茶も収量が十数パーセント減と言われているが、価格も十数パーセントから2割ほど高かった印象。特に終盤は値段が下がらず、一番茶の安い価格帯が全く出てこなくなった。

新茶の生育が遅ったことと、早摘みしたこと、新芽が少なかったことで、全国各地で一番茶の収量が大幅に減少しました。それにより価格が高騰、次の2番茶もかなりの高い水準になりました。

一言でいうと今年もさらにやりにくくなったというのが感想です。

相場は上がっても、消費者の方にはあまり関係のないことなので、品質を落とさず、いかに美味しいお茶を提供できるかをしっかりと考えることが必要な年になったと思います。

各社努力をしていると思いますが、当店も一層頑張ってまいります。